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【読書】SHOE DOG

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ナイキの創業者 フィル・ナイトの自伝。

78歳ころに書いているのだが,文章が軽快ですいすい読めます。久しぶりにページをめくるのがワクワクするような本に出合いました。ただ単純に自分が好きな事をとことん突き詰めるとこんな人生が送れる,こんな幸せになる…と思ってしまったら失敗すると思われる(笑)。彼はMBAも持ってて,経営に関するベースの知識はしっかり持っているし,陸上の選手としてもある程度の実績を持っていて,その縁に恵まれているのだろう。

この本ではマーケティング的なものはほとんど出てこないが,マーケティングで言えば,……という手法・技術だ…とあと付では語れるかもしれない。とにかく,靴が好きでこの靴を履いた陸上選手,テニスプレーヤーに勝って欲しい…ととことん思い,そのために最良の靴を作る,そしてそれを普及する…という事をやり続ける物語。この物語に実名で出てくる人物たち(特に悪役)は,この本が出た時は真っ蒼になったに違いない。特にアシックス(オニツカタイガー)は,株価が下がったのではあるまいか(笑)。実在の人物はこの本読んだら外に出れなくなったのでは。しかしやり方が汚いというか,もう少し違う観点でパートナーとして頑張れなかったのだろうか。

この話の中で,印象的なシーンはいろいろ残っているが,日商岩井の偉い人の自宅を訪ねて,人材不足について愚痴を言っている時に,庭の竹を指さして「この竹もまた来年の今頃お越しになれば30センチほど伸びております」と言われ,外から招へいするのではなく内部の人間を育てようとするシーン。これはどこの企業にも通じるものがあるのでは…。

とにかく,展開が速いうえに面白く,実話と言いながら奇想天外に近いシーンが続くものだから,本当に一気に読み切ってしまいます。若い人にぜひ読んで欲しい本です。

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