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【読書】風致の島 赤松利市

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この人は「ボダ子」で初めて読んで、おったまげました。多分この人は裏社会の人から殺されるだろうと思うほど。その「ボダ子」のエピソードゼロ的な小説で「女童」というのも読み,さらにオッたまげた。されからこの作者には注目していたのだが,今回の「風致の島」,今までのボダ子の流れとは全く違って,バリ島で世間を避けて暮らしている元大手ゼネコンのエリート社員の話。これがまたもういきなり吹っ飛んでいる。バリ島では,エリート時代につかんだ裏金で優雅に暮らしているのだが,その生活が無茶苦茶。特に飲むメンバーの性癖もとんでもなく,これは筒井康隆の再来か…と思えるほどの壊れよう。いやもっとグロいから新堂あたりか…。

のんびりした暮らしにちょっと面白い話が舞い込んで来て,その組織が日本のゼネコンを巻き込もうと,主人公に接触してくる。色気を出した主人公も話に乗り,面白くなろうとしたら,その事業が進められたら困る組織(国)から軍隊を送られて殺されるかと思ったら,逆に自分たちの組織の方が巻き返し相手軍隊を壊滅,日本に戻ってゼネコンを引っ張り込むことに成功,多額の謝礼を手に入れるはずが…。

その主人公は,ある日本人の女性を飼っており,自分の家の中の檻に入れている。その女性とのやり取りがこれまた無茶苦茶で読んでて面白いというかなんというか。最後の最後は無一文になり,日本で土木作業員として日銭を稼ぎつつもその飼っていた女性と一緒にぼろ屋に暮らしているのだが…。何となくこのまま終わるのではなく続編がありそうな感じで終わる。全体的な感想として,最初の頃のぶっ飛んだ発想からすると,終わり方はいまいちではあった。

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