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【読書】 新宿ナイチンゲール 小原周子

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先日紹介した「わたしはだれも看たくない」があまりにも衝撃的な本でしたので,この作者の本をもっと読もうと思い,Amazonでいっぱい買ってしまいました。まずは第一弾「新宿ナイチンゲール」。主人公は,ある理由で病院勤務をやめ「派遣」としてお呼びがかかれば家庭に出向き,家族が旅行などで家を空ける際に泊まり込みで介護をするという仕事。(途中でその病院をやめた理由も出てくる)

面白いのは,この子が家に住まずネットカフェで寝泊まりしながら,仕事があればその家に泊って生活している。また付き合っている彼氏はどうしようもなく,ミュージシャンになるとか言いつつ結局は何もせずに,主人公にたかって生きている感じ。で,主人公が仕事で人の家に泊まり込みで介護に行ったら,彼氏も呼び出して一緒に家の中で生活するという体たらく…。

こちらも各現場での介護の状況は本当にリアルで,これだけ読んだら介護に関する自分の心構えが出来よう…という感じ,読んでてもう切ないというか不安というか。今自分は介護される側でもする側でもないが,もしかしてこんな事になったらどうすればいいのだろう…と思いつつページをめくってしまう。短編集的に各家庭の状況の話が続くのだが,途中からそのだらしない彼氏にスポンサーがついて,デビューさせてくれるという話になってくる。ただ保証金的な物を払えという事で,これは騙されるのだなぁと思って見ていたら,実際に騙されて(笑),その彼氏は主人公をだまして保証人にしていたので,彼氏は蒸発した後,怖い反社の人たちが回収に来て,女性とはいえ容赦なくボコボコにされてしまう。

どうしていいものかわからず,とりあえず実家に帰ったのだが,顔がボコボコになっているわけで親も心配して事情を聞くが話すに話せない。ただ500万ほどお金で困っている…と言う事だけを伝えると,父親がこれから家で一緒に住もう…とお金を出してくれて,いったん平和になるかと思いきや…。今度はそのお父さんが脳とか心臓の病気で倒れてしまい,介護が必要な状態に…。母親も一人では心もとないので,主人公と一緒なら何とかやっていけるから,二人で頑張ろう!!と言った後にとった主人公の衝撃の行動。

やはり小原さんただモノではない。まさかこんな結末が用意してあったとは…。

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