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【読書】トヨトミの逆襲

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【読書】トヨトミの逆襲

もともと「トヨトミの野望」というフィクション小説が99%真実…として話題になり,名古屋におけるトヨタ王国の実態とか社内の権力争い,世界の車業界の中でのトヨタの状況…みたいな事がかかれていたらしいのだが,この小説はその続編。前編は読んでない(笑)

多分業界に詳しい新聞記者とか業界紙の記者が,トヨタの内部に深く潜りこんでというかスパイを使ってネタを仕入れて書いているのだと思われるが,「倍返しだ~」的な勧善懲悪のネタもあり,それでいて世界的な車業界の動きもわかり,なかなか読みごたえがあって面白かった。

しかし今これだけ売れている車(ガソリンエンジン)が,すべて電気自動車に舵を切る…という時代がいつ来るのだろうか。現在の車業界の勢力図が一気にぶち壊れて新しい会社が出てくる…というのがわかっていても,現在の儲けの柱がガソリン車だけにその工場のラインとか部品の下請けとか原料とかもう考えれば考えるだけ,先送りしたくなるだろう。(昔の学研の科学と学習みたい→訪問販売がダメになると皆わかっているのに,自分がいる間は何とかなると思って抜本的な対策の手を打たずに静観していたら思っていた以上に崩壊が速かった…。しかし学研はそこから這い上がったのが素晴らしいが…)

この本読む前までは,別にガソリンが電気に変わるだけで車作るのはそう変わらないんじゃないの…と勝手に思っていたが,全然違うというのがよくわかった。結局電気自動車はモーター回して車走らせればいいだけだから,相当簡素化できるらしい。タイヤ回りなどはそのまま使えるとしても,一番の肝であるガソリン燃やしてピストン動かして…という部分がすべてなくなるわけだ。

そうなると,今一番先頭を切っているトヨタは,何もしていなければ,いきなり一番後ろになる可能性もあるわけで間違いなくトヨタの社内ではこれに近いやり取りが行われているのであろう。世界規模での覇権の戦いなのでとても面白かった。本の中でソフトバンクの孫さんがモデルの人も描かれる。この人は車を作るのではなく,未来の都市づくりにおいて,社会インフラとして電動自動車を利用しようという発想でチャレンジしていた。トヨタの社長が銀のスプーンを咥えて生まれてきたのとは全く別の境遇だったろう孫さんとの戦いもそれらしく描かれていた。というかこの小説中ではトヨタの社長は,ボンボンとしか描かれておらずもし本当にこんな人ならトヨタも危ないかもしれない。

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