【読書】わたしは誰も看たくない  小原 周子

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大学生の息子と旦那の三人暮らしの主人公。今は都会に住んでいるがもともとの実家は山の中の温泉民宿。その民宿は両親と妹が頑張って切り盛りしている。ただし妹はその仕事を望んだわけではなく,ある事情から姉に押し付けられた形。そのため結婚も出来ず日々の仕事に追われる生活をしている。そのある事情というのが,とんでもない話なのだが,それを理由に姉は妹にいじめの限りを尽くす。
その旦那の方は実家に母がいて姉家族が二世代住宅で同居している。ただ旦那の実家と主人公の関係は悪く,行けばいつも喧嘩になる。

ある日,民宿の父親が脳か心臓の発作で倒れ,植物人間に。その際に妹と母親は延命治療をせずに自然死を望むのだが,主人公が大反対し,「そんなことしたら殺人罪で訴える!」みたいな話になりそのまま生かされるのだが,主人公は父親の生存を望んでいるのではなく,その植物人間の父親の面倒を見て妹が苦しめばよい…という理由なのだ。だから,妹が「だったらお姉さんの近くの病院に転院させて,あなたが面倒みればいい」というが,それは拒否。「あなたは旅館も継いでるんだから家の事は全部しなさい…」とそっけない。なぜここまで妹を忌み嫌っているのか…。それが最初に書いたある事情なのだ。それは妹も理解しているようで,その仕打ちを甘んじて受けざるを得ない。

今度は,旦那の母親も痴呆が進み,徘徊したり部屋の掃除が出来ずごみ屋敷みたいになってしまったので,たまたま足を折ったついでに病院に入院し,手足を縛られた状態で軟禁状態。それを見た主人公が義姉に,「こんな非人間的な事をするな」と怒るが,「だったら自分が連れて帰れ,自分が面倒見ろ」と言われたら何も反論できない。

読んでて,あまりの勝手さに,主人公に対して怒りがこみあげてくるのだが,例の事情を知ってしまってからは,まあ仕方ない面もあるのか…と思う。しかしそれにしてもあまりにも身勝手な女で,さらにこの主人公はパート先の上司と不倫をしており,時々ホテルでうまい事やっている。その事は誰にもバレてはいないと思っていたが,一人同僚のパートには気づかれてしまっていた…。

さあ…

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