【卒展2024 Making Process】#07 SNS運営
メインビジュアルを意識した統一感のあるSNS展開
今年のSNSでは、他の展開と同様に「お祭り感」を意識し、メインビジュアルのカラーを元にデザインしました。
今年のSNS展開を決めるにあたり、メインビジュアルをグリッドで分けて投稿する「分割投稿」を禁止としました。例年の展開から大きく変えたため、例年の投稿を見ていた方はお気づきだったかもしれません。
後から一覧で振り返ると迫力があり、デザイン展開として成功しているように見えますが、リアルタイムで投稿を追っているフォロワーにとっては投稿から得られる情報量が少なく、わずらわしく感じられてしまいます。
一投稿にすることで情報を確実に届け、ストーリー等で共有する際にも困らなくなります。
その上で、メインビジュアルのコンセプトである「点・線・面」をSNSに反映させるために、「一投稿で成り立ちながらも、全体で見るとつながりが感じられるデザイン」を意識しました。
同テーマの内容をある期間にまとめて投稿するのではなく、複数のテーマをミックスし常に飽きることがない運用を目指しました。
主に力を入れていた企画とその意図を紹介します。
1. 短い時間で興味を持ってもらう
まずはじめに動きはじめたのがインタビュー企画です。
各プロジェクトの印象的な学部生・院生をフューチャーし、プロジェクト間の違いを理解し、興味を持ってもらうことを目的としました。
特に意識したのは、テンポと尺です。
これまでインタビュー企画はプロジェクトの違いを知ってもらうための外部向けの企画でしたが、再生回数が少ないことが課題となっていました。
その問題点を分析し、「動画の尺は1分以内」、「OPとEDは極力なくし、インタビューの抜粋を冒頭に挿入する」、「画面を3秒以内に切り替える」という解決策を試してみることにしました。
Instagramのリールのユーザー動向を分析見ると、はじめの5秒が最も離脱率が高く、大体45秒くらいで離脱してしまうことがわかりました。
アルゴリム上、最初の数秒で離脱してしまうと再生回数にカウントされず、再生回数が低いとリコメンドに載りづらくなります。次のシーンを見せるためのシーン作りを行うことで、離脱するきっかけをなくしていきました。
多くの方にリーチするために最後までストレスなく動画が見続けられるようにできたのでないかと思います。
結果、例年に比べて再生回数は大幅に伸び、平均5380回、最大8000回再生まで到達しました。
2. すべての学生にスポットを当てる
図録班の相談に乗っていただいていた統合デザイン学科の卒業生であり、編集者の西山萌さんから「学内で活躍している学生以外にも面白い人に焦点を当てられないか」というお話がありました。
統合デザイン学科は、ひとつの領域にとどまらず様々な興味関心を持った学生で構成されています。一見まとまりのある学科に見えて、それぞれ個性的な一面を持っていることが垣間見えるというところで、今年の「点・線・面」のテーマにも繋がるのではないかと話が発展しました。
当初は図録内のみで全4年生をインタビューする企画におわる予定でしたが、さらなる話し合いで、SNSとも連携して展開しようと急遽企画を追加しました。
「Design Q&A」と題し、決まった質問に対し、不特定の4年生に匿名でインタビューを行いました。
同じ学科内でもまったく相反する回答が見られ、4年間いた自分たちでも驚くような結果となりました。
また、写真に白抜きの文字を載せることをルールとし、統一感のあるデザインを心がけました。
校舎の立て直しや卒業など、変化の渦中に立つ自分たちをアーカイブするという目的の元、写真は作業が行われるプロジェクトルームや解体される校舎など私たちの身の回りの風景を中心としました。
3. 教授と学生の境界を弱める
そうした企画を立ち上げる中で、教授の紹介をどのように行うかも議題に上がりました。
毎年、卒展のSNSで同じ内容が紹介され、今さら投稿する必要があるのかが問題でした。
また、学生の展示でありながらも教授を大々的に紹介することも今年の方針には適していないように思えました。
そこで、「Design Q&A」で統合デザイン学科の学生同士の境界を曖昧にして扱ったように、教授も学生と同等に紹介できるのではないかと考えました。
教授陣にも同様に「Design Q&A」に答えてもらい、文字ベースで同じトーンのレイアウトでデザインしました。
あえて教授の名前や顔を前面に出さず、概観して見るとどれが学生の回答で、どれが教授の回答かわからないようになっています。
学生の回答と真逆なこともあれば、同じ主張のこともある。そうした比較が楽しめるようになっています。
そうすることで、誰もがあくまで統合デザイン学科の構成要素のひとつであるといえるのではないかと考えました。
4. 最後に
これまでのSNS運用を見直し、今年のコンセプトとの親和性を加味しながら見ている人が楽しめるコンテンツを改めて企画しました。
その結果、これまで引き継いできたSNS展開とは異なる新しい方針を示し、数字の上でも成功したのではないかと思います。
たくさんの人の協力・理解があり成立させることができました。
インタビューに協力してくださった方々、編集に協力してくださった方々、学生のみなさま本当にありがとうございました。特に8期生のみなさんには、忙しい中たくさんの協力をしていただきました。この場を借りて改めて感謝申し上げます。
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