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2人に1人がかかるとされる「がん」。死亡率と難治がん

「日本人の2人1人が生涯でがんになり、3人に1人はがんで亡くなる」という通説は、国立がん研究センターがん対策情報サービスの最新がん統計データを見ても分かる通り、2018年データに基づいた確率で男性65.0%(2人に1人)女性50.2%(2人1人)という数字が根拠になっています。

2021年データに基づいたがんで死亡する確率は、男性26.2%(4人に1人)女性17.7%(6人に1人)です。

どこの部位に「がん」ができるか?なども影響してくるかと思います。そこで、各がんの生存率について調べてみました。

「がん」の生存率

「がん」と診断されてから、治療がスタートしていくかと思います。生存率は、あるがんと診断されてから治療でどれくらい助かるかを示す指標の一つです。確率の問題で「がん」と診断された人それぞれで状態や治療方針なども異なってくるので状況は異なるかと思いますが、やはり、確率が低い場合、治療が難しいがんという判断になるのだと思います。

しかし、日々、医療は進歩しています。がん治療の研究も進んでいます。今後、更にがん患者の生存率は高くなっていくでしょう。

国立研究開発法人国立がん研究センターより

筆者の家族はがんで亡くしているので、「がん」は他人事ではなく、やはり「怖い」という思いの方が強くあります。両親共に比較的若く5年生存率が40%以下とされているがんで亡くしている筆者は「自分は大丈夫か?」と心配な思いがいつもどこかにあります。

「日本人の2人1人が生涯でがんになる」と言われても元気な時は「自分ががんになる」なんて思う人は実際にあんまりいないように思います。分かっていても、実感はわかないものです。

平均寿命も延び、高齢化社会の日本ですから、比較的若年層で生存率の低いがんに自分がなってしまかもしれないと考えるより、老後の生活不安や何年生きるかの方を心配する方が正解かもしれません。しかし、人間ですから、誰もが「難治がん」になってしまうかもしれないリスクはあると思います。難治がんになってしまうかもしれないということも心に留め、後悔がないように日々を送ることが大事だな、と思います。

生存率が低い「すい臓がん」「胆のうがん・胆管がん」とは?

恐ろしい「すい臓がん」

すい臓がんは、男性の5年生存率が8.9%、女性では8.1%、全体でも8.5%と他のがんと比べても群を抜いて生存率が低いです。罹患者数と死亡数がほぼ同数という表現をされることもある難治がんです。

5年生存率が著しく低く、2019年の部位別罹患者数では、男性で8番目、女性で7番目に多かったがんです。日本人の40人に1人が生涯にすい臓がんにかかるという記事ありました。40人に1人が多いと考えるか、少ないと考えるか・・・・
筆者のオフィスには今40人ほどいるのでこの中の1人はすい臓がんになるのか、と考えると怖いです。

すい臓は、食べ物を消化するすい液を作り、十二指腸(じゅうにしちょう)に送り出す働きや血液中の糖分の量を調節するインスリンなどのホルモンを作り、血液の中に送り出したりしています。

すい臓は胃の後ろ(背中側)にあり長さは20cmほどの細長い形をした臓器で、初期には自覚症状がほとんどないため、早期発見が遅れる傾向にあります。症状が出て診察を受けたころには手術治療ができる患者は全体の20~30%と低く、非常に転移しやすいがんでもあるため生存率が著しく低くなることが難治がんの代表となっている理由だそうです。

臓器の中でも胃や肺などと比較すると印象の薄い臓器で意識することもなかったすい臓。筆者の家族は50代で「すい臓がん」と診断され、比較的、統計通りの闘病生活の末、亡くなってしまったのですが、最初、聞いた時には、「すい臓がん?」「手術すれば治るんでしょ?」くらいの感じでした。まさか、こんなに恐ろしいがんに罹患してしまっただなんて思いもよらず・・・・

すい臓がんの原因は、はっきりとは分かっていません。しかし、飲酒やたばこ、糖尿病の人、家族にすい臓がんの人がいる人はすい臓がんリスクが高いと言われています。ただ、すい臓がんで亡くなった筆者の家族は、お酒も飲まず、たばこは吸ったことがなく、糖尿病でもなく、比較的やせ型で適度な運動をしているタイプだったので、聞いたときには、驚くしかなかったです。ですから、どんな人も早期発見のために定期的な検診が最重要だと思っています。

個人的に、家族にすい臓がん経験者がいるので、自分も他の人よりすい臓がんリスクが高いと考えられる身としては、すい臓に負担をかけない食生活が大事だな、日々意識しています。(一切、医学的な知識はありません。)

胆のうがん・胆管がん

胆のうがん・胆管がんは、男性の5年生存率が26.8%、女性では22.1%、全体でも24.5%とすい臓がんに次いで5年生存率が低い怖いがんです。

肝臓で作られた胆汁(脂肪の消化を助ける消化液)は胆のうで濃縮し蓄えます。それは、胆管を通って、十二指腸へ流れ出ます。胆のうと胆管を合わせて胆道といいます。ここにできたがんを胆のうがん・胆管がんといいます。

胆のうがんには初期の症状がなく、進行すると黄疸が現れるようになりますが、胆管がんも肝臓内に黄疸が出ます。皮膚が黄色くなる黄疸は全身の皮膚を見ただけではわからないことが多く、黄疸の症状が出ていても患者自身が気付かないことも少なくないようです。

胆のうがんは胆石と関係があることがわかっているようです。石があることでそれが刺激になり、炎症がおこって、この炎症が長期にわたるとがんの発症につながると考えられているみたいなのです。胆管がんに至っては患者数が少なく今だに解明されていないことも多いのだとか。

筆者の周りに胆のうがん・胆管がんと診断を受けた人はいませんが、筆者の家族がすい臓がんで闘病中に女優の川島なお美さんが胆管がんで亡くなられました。がんと闘っている本人はもちろんでしたが、家族にとってもショックで辛いニュースだったことを覚えています。

医学的な知識などない私にとって、胆のう・胆管のような臓器への労わり方
は分からないので、とりあえず、基本的な生活習慣の見直しや野菜中心の食事などが重要なのかな、と思っています。

5年生存率が低い「がん」の特徴

5年生存率が低いがんは、肝胆膵領域の臓器にできるがんが多いです。この、肝胆膵領域には主要な血管が多く、臓器が漿膜(しょうまく)とよばれる膜につつまれていないため、早期にリンパ管などに転移してしまうのだそうです。初期症状もなく、転移が早い。健康診断などでは見つかりにくく、腹部内にガスや脂肪が多かったりすると画像が見えにくかったりと診断が難しい臓器とされています。さらに、がんになる原因がはっきりとわかっていないとなると予防にも困ります。

医学は日々、日進月歩で進歩しており、確かに、「がん」は治る病気となってきています。しかし、まだまだ、恐ろしいがんも存在しています。恐れすぎることはよくありませんが、「日本人の2人1人が生涯でがんになる」ということですから、心構えはしておきたいですよね。どんながんになってしまうのかもわかりませんし。

主ながんの三大治療

「がん」と診断を受けると主な治療法には、三大治療といわれる治療方法を医師と相談しながら行っていくことになります。

【がんの三大治療と免疫療法】

  • 外科治療

  • 放射線治療

  • 薬物療法

  • 免疫療法

外科治療

がん組織をメスで切り取る局所療法です。がん組織を残さないように、正常組織を含めて切除します。

すい臓がんや胆のうがん・胆管がんは手術が難しいことも多いです。

放射線治療

がん細胞は、放射線によるダメージが修復されにくい特徴があります。エックス線やガンマ線といった放射線をがん組織部分に照射し、がん細胞の増殖妨げ、消失させていきます。

薬物療法

化学物質によってがん細胞の分裂を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。がんは、転移し全身に広がっていくため局所対応しかできない手術療法や放射線療法では対処できない全身への対処として薬物による化学療法が有効な手段として行われています。

免疫療法

免疫療法も薬物療法と同じく全身への対処で、免疫の働きを強くし、がん細胞を排除する方法です。免疫の力を利用し免疫力でがんを治療していく治療法です。

光免疫療法に期待!

TBS放送の「情熱大陸」で2022年12月11日に放送された密着では「光免疫療法」の研究をされている久林久隆先生(がん治療研究者)が紹介されていました。

 光免疫療法(ひかりめんえきりょうほう、英:Photoimmunotherapy)とは、光に反応する薬を投与し、薬ががんに十分集まったところでがんに対してレーザー光をあてることで治療する、新しいがん治療法です。日本においては、「切除不能な局所進行又は局所 再発の頭頸部癌」に対する治療として2020年9月に承認され、現在は保険診療として治療を受けることが可能です。

関西医科大学

手術療法・化学療法・放射線療法・免疫療法に続く、第5のがん治療法として“光免疫療法”が様々ながんに適応されるように研究を進められているそうです。保険診療として治療を受けることが可能とありますが、実際は、まだ、治療を受けられる施設が少なく保険適用になるがん種も限定されていたりするようです。しかし、手術が難しいがんや再発した進行がんの治療が可能なうえに、副作用も少ない治療法というのは希望ですよね。第5のがん治療法として治療の選択肢が増えることは喜ばしいことです。

がん治療と先進医療

先進医療とは、新しい医療技術、患者ニーズに対応することを目的に特定の医療機関で行われる高度な医療技術等をいいます。「重粒子線治療」や「陽子線治療」など、多くの医療技術が提供されています。

先進医療は、将来的に保険適用が検討されている技術ですが、現時点では「健康保険が適用されない治療」で自己負担になります。

そして、その費用は高額です。難治がんなどで、実際に自分が先進医療を受けることとなった場合には、資金的を保険でカバーできると安心して治療をうけることができるだろうと思います。

がん保険の「先進医療特約」は付けた方がいい?

「がん」と診断されたら、自分はどうしたいのか?「がん」だって治るとい認知も高くなってきましたが、やはり怖い病気には変わりないように思います。がんと診断されたら「どう生きていくのか?」。自分の人生、家族のこと、お金のことなど、いろいろ考えてしまうことがあります。

2人に1人ががんになるなら、自分はこの「がん」にする、なんて選ぶことはできないので、がんと診断されたら「どう生きていくのか?」ということを考えて準備しておくことも必要かな、と考えています。その一つにがん保険で備えておくという方法があります。がん保険は資金面だけのサポートだけでなく、がんに関する情報提供や悩みの相談窓口を設けている会社もあったり、いろいろな商品があり、充実してきています。

がん保険の加入率は医療保険の加入率73.1%に対して低く42.6%(※1)だったそうです。いきなり「がん」と診断されても少しでも動揺せず、前向きに自分にとって最善の治療に専念できるようにがん保険に限らずですが、何かしらの「がん」に対する備えができていれば安心だと思います。

※1 公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度『生活保障に関する調査』」

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