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【韓国語】잘생기다には、なぜ過去形が必要なのか?



잘생기다という単語があります。

「かっこいい」とか「ハンサムだ」という意味で、
基本的に男性の顔に使う言葉です。

韓流好きの女性なら
韓国語ができない人でも
覚えてしまう単語かもしれません。


잘생기다は必ず過去形にして使う。

で、
この잘생기다という単語には少々クセがあります。

そのクセとは
必ず「過去形」で使わなくてはいけないというものです。

例えば、
「その人は本当にハンサムです」であれば

그 사람이 정말 잘생겼어요

ですし、
「かっこいい顔」であれば

잘생긴 얼굴

になります。

述語に잘생기다を使うのであれば
었と一緒にして過去形にする必要がありますし、

名詞を修飾する連体形であれば
過去連体形のㄴをつける必要があるんです。

멋있다は現在形で使う

ちなみに
似た意味の単語に
멋있다というものがあります。

こっちは

그 사람이 멋있어요.
멋있는 얼굴

というように
一切過去形にする必要はありませんので

こちらは気楽に使ってください。

なお、
잘생기다は
”造形”に特化した”かっこいい”なのに対して

멋있다は
雰囲気も含んだ”かっこいい”で
잘생기다より意味が広いようです。

なので、
雰囲気イケメンには
멋있다を使うといいかもしれません。

잘생기다を過去形にしないといけない理由とは?

話がそれました。

ところで
잘생기다は、なぜ過去形にしないといけないのか?

これが長らく疑問でして、
私個人の予想としては

잘생기다が
・잘(うまく、上手に)と
・생가다(生ずる、発生する)の
合成語なので、

(お母さんのお腹の中で顔の造形が)
うまい具合に + 生じた

みたいな経緯があるのかな?
と想像していたんです。

잘생기다につける었は過去形ではない!?

しかし、先日
韓国政府機関である「国立国語院」の
ニュースリリースを読んでいたら、

・었が結合した잘생겼다は、過去ではない現在の状態を表します

・잘생가다が現在を表現するためには、었が結合しなくてはなりません

という、
目を疑う記述が出てきました。

었が過去じゃなくて現在?

었が過去じゃなかったら
私が受講者のみなさんに教えていたことは
何だったんだ?
ということになってしまいます。

過去形었の語源とは?

ただ、
その文章をもう少し読み進めていくと
事情がわかりました。

そもそも
었の語源は
中世韓国語の-어 있-だったそうで、

これは、現在の
・눈이 쌓여 있다(雪が積もっている)
・글이 쓰여 있다(文字が書かれている)
・옷이 걸려 있다(服がかかっている)
という文章で使われる

~어 있다(〜ている)

という文法に相当するものです。

「〜ている」という意味ではあっても、
~고 있다とは違いますからね。

보고 있다(見ている)や
먹고 있다(食べている)などで使われる文法の

「~고 있다」は
「現在進行形」と呼ばれていますが、

詳しく訳すと

「今まさに〇〇しているところだ」

という、
いま現在行動が行われている点に
フォーカスした意味なのに対して、

~어 있다の方は
行動ではなく、

「過去に出来上がった状態が、
 そのままの形で現在まで維持されている」

という状況を説明する言い回しなんです。

文法用語では
「状態」を表す語尾
などとも言いますが、

「状態」を表すための
어と있が合体して

「었」が生まれたようなんです。

韓国語の었がもつ過去以外の意味

つまり、
現在の었は過去を意味する言葉ですが、
もともとは「状態」を表す言葉で

잘생겼다に含まれている었は
過去ではなくて
「状態」の意味だったんです。

ということは

잘생겼다 =
(お母さんのお腹の中で顔の造形が)
うまい具合に + 生じた

という
私が想像していた説も
当たらずとも遠からずなのかもしれません。

なお、
었には「状態」の意味がある
ということを知っておくと

例えば

「今日スーツを着ています」を
韓国語にすると、

なんで

오늘 양복을 입었어요

になるのかも
わかってくるかと思います。

この었も
「状態」の意味ですよね。

ご参考いただければ幸いです。

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