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[決算][Enphase Energy] 2024年第2四半期(4~6月)

出典


エンフェース・エナジーとは

太陽光発電、蓄電システムを開発、販売するカリフォルニア地盤のエネルギー&テクノロジー企業。


財務状況

売上高と粗利益率

縦軸(左)の単位は1,000ドル。つまりグラフの上限は8億ドル(1ドル=150円換算で1,200億円)。USAの会社の中では小型の部類です。

売上高、粗利益率の推移
粗利益率はNon-GAAP基準

22年4Qから23年2Qにかけて7億ドルを超えていた売上高は、24年1Qには半分以下の2.6億ドルにまで落ち込みましたが、24年1Qが底になりそうです。3Qにはさらに売上が回復して4億ドルに迫る見込み。

売上の急激な減少に比べて粗利益率の低下がずいぶんと穏やか。固定費の比率がとても低いんでしょう。良いことです。


営業利益

売上高が急減する中でも、営業利益は黒字を確保。

ただこれはカラクリがあります。
この営業利益はNon-GAAP基準。GAAP基準にすると、24年1Qは3,000万ドルの赤字になります。
Non-GAAPの営業黒字4,000万ドルとGAAPの営業赤字3,000万ドル、この差額7,000万ドルの大半は、株式報酬費用5,665万ドルで説明がつきます。株式報酬は現金の流出を伴わないので、Non-GAAPの営業経費に含まれないのです。出世払いというやつでしょうか。報酬を現金で支払っていたら、間違いなく営業赤字です。固定費が低いのもこのあたりに理由があるのでしょう。

営業利益(Non-GAAP)の推移

GAAPとNon-GAAPの差異は、Reconcilation of Non-GAAP Financial Measures という表で確認できます。事業売却損(divesture)、償却費用(amortization)、のれんの減損(impariment)のような一過性の項目ならあまり気にしなくてよいことが多いですが、株式報酬のような継続的に発生するものは少し注意した方がいいでしょう。
現金流出を伴わない費用なので会社の資金繰りの心配はしなくてもよいですが、中身を見ないで「営業利益率めっちゃ高いじゃん!いいじゃん!きゃ😍」とか思っているとイタイ目を見るかもしれません。
わかりやすいところで言えば、株式報酬を受け取った取締役や従業員が市場で株を売却すれば需給が悪化(株価が下がるor上がらない)します。


キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、23年4Qの3,545万ドルの収入、を底に少しずつ回復傾向にあります。

営業キャッシュフローが細ったここ1年くらいは投資キャッシュフローも抑え気味。ただ、この会社の投資キャッシュフローで最大のものは、債券の購入です。余資を債券で運用しているのでしょう。余資が減ったら債券購入も連動して減らしてるだけ、といった感じです。

ここ1年くらいの財務キャッシュフローのマイナスは、大部分が自己株式の買付費用です。21年Q1の財務キャッシュフローの大幅なプラスは、convertible note(転換社債)の発行に伴う収入です。その後特に大きな設備投資や買収などをしている様子もないので、資金調達しやすい時にしておこう、くらいのものだったのかもしれません。で、有り余るお金で債券運用していたのではないかと思います。



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