編集デザインファーム_IN_メンバーが選ぶ__21_

編集デザインファームinquireのメンバーが選ぶ「#今年の一冊」10選

2018年12月某日、inquireの運営メンバーが集まり、オフサイトミーティングが行われました。

オフサイトミーティングは、普段リモートで関わるメンバーにも会える貴重な機会。一人一冊、今年読んだおすすめの本を持ち寄り紹介しました。

編集者やライター、チームマネジメントや広報など、さまざまな立場で仕事に取り組むメンバーたちが選んだ書籍を、noteでもみなさんとシェアしたいと思います!

モリジュンヤ(@JUNYAmori

■プロフィール:
株式会社インクワイア代表取締役 / UNLEASH編集長。1987年岐阜県生まれ。2010年より『greenz.jp』にて編集を務める。フリーランスとして独立後、『THE BRIDGE』などの編集を経験。2015年にinquireを創業。NPO法人soar副代表 / IDENTITY共同創業者 / FastGrow CCO など。

■2018年のベスト本:
『情報を捨てるセンス 選ぶ技術』(講談社)

■選定理由:
2008年に私たちが消費した情報量は1960年代の3倍で、2020年には2014年の44倍になると予測されていた。2014年に日本で発売された同書では、あふれる情報の海の中で、いかに正しい決断を下すべきかについて書かれている。情報爆発の時代に、どう情報と向き合うかは個人個人も身に着けなくてはならないこと。

小山和之(@kkzyk

■プロフィール:
inquire編集者/weaving inc.代表取締役/designing編集長。1989年生まれ。Apple Retail、建築の意匠設計、デザインコンサルファームでPM/編集ディレクター、フリーの編集者を経て起業。デザイン・ビジネス領域での編集・情報発信支援に従事。

■2018年のベスト本:
『悲劇的なデザイン』(ビー・エヌ・エヌ新社 )

■選定理由:
目をひくカッコいいビジュアルやプロダクト作りの側面がフィーチャーされやすいデザインですが、その裏で、あらゆるものはデザインされています。その“デザイン“を意識するか否かにかかわらず、人とインタラクションを繰り返し、利便性と不便さを提供している。その事実を、極例である“悲劇的な“ものを通し伝えています。
誰もがデザイナーになりえていること、そして、デザインの被害者にも加害者にもなりうることを理解するという意味で、デザインに関心の無い方こそ読んでいただきたい書籍です。

向 晴香(@m___hal

■プロフィール:
1993年石川県生まれ、同志社大学文学部文化史学科卒業。在学中にソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、複数のウェブメディアにライターとして携わる。卒業後は教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後独立。関心領域はメディア全般と海外コメディー、ビジネス、テクノロジー。趣味はラジオとハロプロ。

■2018年のベスト本:
『あなたを選んでくれるもの』(新潮クレスト・ブックス)

■選定理由:
脚本執筆が進まないミランダが、新聞の個人間売買広告(メルカリの新聞版みたいな感じ)に載っている人を一人ずつ訪ね、インタビューしていく様子を綴ったノンフィクション。

革ジャン、ドライヤー、クリスマスカードの表紙部分50枚など。新聞に紙の広告を出す彼らは、ミランダにとって“ゆるぎなく無限大にみえる“インターネットの世界を知らない。そんな彼らの人生をたずねる旅を通して、脚本執筆は思わぬ方向に進んでいく。

相手の言葉や行動、服装、家の中の様子を、細かく観察し、そこから何が読み取れるのか、それにより感情がどのように揺らいだのか。ミランダは丁寧に記録し、自らの考えを更新していく。わたしもいつかこんな対話の旅をしてみたいと思った。

庄司智昭(@thompson2580

■プロフィール:
ライター・編集者。inquire編集者。シビレ株式会社インハウスエディター。「ローカル」と「テクノロジー」の領域に関心があります。情報発信を通して、挑戦する人や自分の軸を持って生きる人々を後押しできればと思っています。最近は、ローカルWebマガジン「おきてがみ(http://note.mu/okitegamilocal )」を始めました。

■2018年のベスト本:
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』(日経BP社)

■選定理由:
楽天にて当時最年少で執行役員となり、現在はシリコンバレーでスタートアップを経営するシバタナオキさんによる著書。コンテンツプラットフォーム「note」での連載「決算が読めるようになるノート」をもとに書籍化された。noteでの連載も面白く読んでおり、購入を決めた。この本では「決算書が読めるようになる」わけではないが、決算書から見えてくる各社のビジネスモデルや戦略が分かりやすく学ぶことができる。

特に、SquareやPayPalなどのFinTechビジネスやFacebookやLINEなどの広告ビジネス、Yahoo!やAmazonのECビジネスなど、編集で関わっているメディアで扱う業界の経営戦略を、あらためて頭の中で整理できたのは良い機会になった。数値の見比べがしやすいように、部分部分で分かりやすく表にまとめられているので、日常的に決算書を見ない人でもオススメの一冊だ。この年末にまた読み返したい。

中楯知宏(@RossNakatate

■プロフィール:
1988年大分県生まれ、福岡県育ち、現在北海道在住。東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。新卒でネットの八百屋に入社。プロジェクトマネージャー、統合マーケティングマネージャー、ブランドマネージャーを担当後、独立。現在複数の企業のブランディングや経営、組織づくりに携わる。

■2018年のベスト本:
『道をひらく』(PHP研究所)

■選定理由:
松下幸之助さんが人生についてや事業のことから得た気づきや学びを書き綴ったもの。一つひとつの項目は1ページほどですが、短い文章の中に、これからの人生で大切にしたくなるような言葉がたくさん詰まっています。

個人的に2018年は子どもが生まれ、日々の暮らしを見直すようになったり、仕事では経営の意思決定に深く携わるようになるなど公私共に変化の激しい1年でした。目の前のバタバタに追われながら、「これからどう生きていこう」と考えていた時に出会ったのが、ちょうど50年前の1968年に初版が出たこの本でした。

章立てを見た瞬間、とても興奮したのを覚えています。半世紀経っても全く色褪せていない。むしろ、今の時代の人にぜひ読んでほしい。きっと素敵な言葉に出逢えますよ。最後に各章を載せておきますね。

- 運命を切りひらくために
- 日々を新鮮な心で迎えるために
- ともによりよく生きるために
- みずから決断を下すときに
- 困難にぶつかったときに
- 自信を失ったときに
- 仕事をより向上させるために
- 事業をよりよく伸ばすために
- 自主独立の信念をもつために
- 生きがいある人生のために
- 国の道をひらくために

なかがわ あすか(@asupon0609

■プロフィール:
フリーライター。1994年生まれ。学生時代に国際交流事業に携わるなかで、スロバキアに興味を持ち、長期留学を決意。その体験記を旅行メディア「REISEN」で執筆し始めたことをきっかけにWEBメディアの魅力を実感。帰国後は名古屋・東京の複数メディアで本格的に執筆を始め、フリーペーパーの営業・編集を経たのち、フリーランスの道へ。執筆領域はグルメ、ビジネス、スポーツ、ライフスタイルなど。

■2018年のベスト本:
『犬も食わない』(新潮社)

■選定理由:
クリープハイプのボーカル尾崎世界観さんと、千早茜さんによる共同恋愛小説。「恋愛」とは言うものの、まったくと言っていいほど甘酸っぱい要素はない。“最悪の出会い“から、なぜか付き合うことになった男女の気怠い同棲生活が、男と女の二つの視点に別れて描かれている。

男にとってはどうでもいいことも、女にとってはすごく大事なことだったり、女にとっては何気ない場面でも、男にとっては重たいことだったり。この本を読みながら、今一緒に同棲している彼と自分を重ねて、「心臓が痛いなあ」と感じるくらいには、登場人物の「彼女」に感情移入していた。

実用書ではないので、この本から何が得られるとか、何が学べるとか、そういうのは正直ない。感じてほしいのは、同じ日常を生きていても、人によって見える世界はまったく違うということ。それが、広くもないアパートで、同じ空気を吸い、同じ料理を食べ、同じ布団で寝ている恋人同士でもだ。

寝室でこの本を読み終わったあと、なぜだかよく分からないけれど、リビングで真剣にテレビゲームをしている彼を、後ろからぎゅっと抱きしめたくなった——。

梅田ゆりか(@yuri_____flower

■プロフィール:
1996年生まれ、福島県出身。立教大学経営学部経営学科在学。2019年春からブライダル企業へ就職予定だったが、内定辞退。リアルイベントとコミュニティをメインに企画/ディレクションを行う新卒フリーランスへ転向。

■2018年のベスト本:
『四月になれば彼女は』(文藝春秋)

■選定理由:
"あのときのわたしには、自分よりも大切な人がいた。それが、永遠に続くものだと信じていた。”

川村元気さんによる、残酷に感じるほど現実的な、恋愛小説です。思うようにいかない人生と、ドラマのように綺麗にはいかないそれぞれの愛や恋が、映画を観ている気分になる圧倒的な構成と描写で描かれています。
その中には、目をそらしたくなるほど身体にズシンと来るシーンや、強く深く、人生や恋愛についての気づきになる言葉がありました。

年末年始のゆっくり時間のある時に、じっくり味わって読んで見てください。

木村和博(@kimu0117kazu

■プロフィール:
「ささいな違和感」に執着してしまう劇作家・編集者・ライター
編集デザインファーム inquire所属 。平田オリザ氏が主宰する演劇人育成機関"無隣館"に在籍しており、ほそぼそと演劇活動に携わる。関心のあるテーマは「老い」と「コミュニケーション」と「いきづらさ」。

■2018年のベスト本:
『本を読むときに何が起きているのか ことばとビジュアルの間、目と頭の間』(フィルムアート社)

■選定理由:
小説に書かれた文字のかたまりを捉え、頭のなかに、あるイメージを描く。描かれたイメージは、次のかたまりを目にすることで移ろう。

本を読むときに頭のなかで起きている現象をことばと図解で捉えている一冊です。今年読んで「想像力」や「イメージ」という語の解像度があがったので、こちらを選びました。

仙田 凌(@sendaryo91

■プロフィール:
フリーランスプロジェクトマネージャー。新卒採用のコンサルティングを行うベンチャー企業に新卒入社。法人営業、社内のメンバーマネジメント、採用、広報などを兼務したのち、2018年11月より独立。同社の仕事を業務委託契約で請け負いつつ、2018年11月からinquireにもジョインし、採用広報や組織づくりに携わっている。フライングディスク競技アルティメット元日本代表、現役選手。

■2018年のベスト本:
『極上の孤独』(幻冬社)

■選定理由:
NHKアナウンサー、民放キャスターを経て作家になった著者の『家族という病』に続く著作です。著者の経験をベースにしつつ、著者が好きだというアーティスト、文筆家、スポーツ選手らを例に出して、「孤独を好み、味わっている人は、人として品があり魅力的である」ということを説いており、孤独は寂しく辛いものではなく、味わうべきものであり自分を強くするものだと教えてくれました。

私にとって新卒入社した会社で立場が変わることが多かったり、人生において大切にしたいものに変化があったりと、変化の多い1年でした。しかし、これらは自分自身で答えを出すしかないことであり、変化を受け入れることが容易ではない時期もありました。人に相談することもありましたが、最終的には一人で孤独に決めなければならない辛さを感じる1年でした。そんな2018年において、孤独こそが人を強くし、魅力的にすることを教えてくれた本書は、私にとっての今年の印象深い1冊です!

イノウマサヒロ(@ino22u

■プロフィール:
早稲田大学卒業後、ロンドンへ留学。フリーライターを経て、ウォンテッドリー株式会社へ入社。採用/採用広報、カスタマーサクセスチームに関わる。2019年より編集デザインファーム「inquire」へジョイン。編集から組織作りまで携わる傍ら、個人でも企業のコピーライティングや広報サポートなどに関わる。ジャズのセッションのように働くのが理想。バイブルは「ジョジョの奇妙な冒険」

■2018年のベスト本:
『自殺会議』(朝日出版社)

■選定理由:
就活に失敗した大学4年生の春。周りの友達にどんどん置いてかれていくような気がして「あー、もう死にたいわ」と思ったことがある。物質的に全く不自由してないにも関わらず、僕らはふと気づくと、空虚さに襲われる。

気軽に死んでしまえる世の中だからこそ、もっと「死」について向き合って、「死」を「生」と同じくらい理解できるものとして捉える必要があるのではないか。本書は著者が「自殺」をしようと思った人、「自殺」を止めようとしている人、誰かの「自殺」を受け入れようとしている人など、10人に話を聞き、その内容を編集したものである。

何らかの形で「死」と向き合ったからこそ、浮かび上がってくる「生」を本書を通して、じっくりと感じて、あなた自身も「生」と「死」について考えて欲しい。そして、生きていることに意味はないかもしれないけど、生きているだけで誰かに意味を与えているのだと、感じてもらえたら幸いだ。

■ 最後に


いかがでしたでしょうか?読んでくださった皆さまも「#今年の一冊」のハッシュタグで、おすすめの一冊を教えていただけると嬉しいです。

2018年も大変お世話になりました。来年もどうぞinquireをよろしくお願いいたします!


-----------------

■ inquireでは複数の職種でメンバーを募集中です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?