性別の在り方について

長年ネットで男性として生きてきた。と、いうのは語弊があるか。かわいい女の子キャラクターのアイコンでありのままをツイートしていたら、女性だと思われてヘテロ男性フォロワーに優しい言葉をかけられた。それがなんだか嘘をついているようで申し訳なくて、いつからか一人称として"俺"を使うようになって、かわいいものが好きな男性としてネット上で振る舞うようになった。

昔のネットは、今よりもかなり男性中心の世界だったと思う。少なくともインスタやツイッターが普及するまでの2ちゃんねるを中心としたネット社会では、全く性別とは関係ない話題についての書き込みをしていた主が女性だとわかっただけで「なんだ女かよ」というレスが付くような雰囲気だった。もちろん有名な鬼女版(既婚女性が集まる板)のように"女性の為のインターネット"も確かに存在していたとは思うが、その他の全てが男性の空間で、女性で昔から2ちゃんねるを利用していた人はわざと男口調を使って書き込み、「自身が女性である事」がバレないよう工夫していた人も多いのではないだろうか。それは女である事がバレたら、そのスレの流れを止めてしまうからだ。女は来るなといったレスや冗談めいたセクハラレスが多数付くから。そういった女性は自分を守る為と言うよりかは「いまここで、この話題を他のユーザーと同じように楽しむ為」に男性ユーザーを装っていたのだと思う。
そして「かわいいものが好きな男性」も同じく、ネット上で存在を消していたと思われる。ポケモンのぬいぐるみが好きとかそういった趣味を持つ男性はたくさんいたと思うが、例えばファッションのひとつとしてスカートを選ぶ、などと言ったら「どういう事?」「女装?」と質問攻めにあっていただろう。

今でこそツイッターでかわいい服やぬいぐるみ、アクセサリーを自慢する男性を度々見かけるが、それも俺が見ている範囲がたまたま"そこ"なだけで、普通にツイッターやってるけどそんな人見たことない、という方も多いと思う。でも、いま自分は男性としてツイッターをやっていて、かわいいものをネットにあげて、同じくかわいいものが好きな男性フォロワーからいいねが来て、ああこんな場所がインターネットにできて良かったなあ、と思う。
最近では無理に男口調にしようとも思わなくなってきた。男性が女性的な口語文章体でツイートしても誰も何も言わないし、そういったツイートはそこら中にあるからだ。普通に、人と会話する感じでツイートしている。

しかしネットが楽になればなるほど、リアルが窮屈になってきた。人が人と対話するとき、男女という性のどちらかに当てはめて"それ"として会話を進められるのが普通に苦しい。苦しいというか、なんというか、俺はここに居てもいいのかなという気持ちになる。

俺は知らない人からお兄さんともお姉さんとも声をかけられた事があるが、どちらにせようまく反応できない。結局否定も肯定もせず、「その人の中では俺はお兄さん/お姉さんなんだなあ」と思いながら会話を続けた。
そういえばコンビニ夜勤時代、酔っ払いに「お兄さん?お姉さん?どっち?」と聞かれた事があったが、当時は本当に客と接客用語以外の会話をしたくなく、更に作業中レジに呼ばれてうぜぇなと思っていたので「どっちでも……」みたいな曖昧な返事をしたが、もしかしたらそれが俺にとっての、性別問題の答えだったかもしれない。俺はどっちでもいい。"どっちも"でもいいし。

まあ俺自身は背が低くガリガリに痩せていて骨格も猫背だからなのかなんなのかグニャっとしているので、シルエットだけだと服装によっては男性にも女性にも見えるから、そう思えるのかもしれない。太っていたり背が高ければ、俺の考えすぎる性格だともしかしたら、こんな風に割り切れる事はなかったかもしれない。

あと俺が"性別なんて特に決めてないし、どっちでもいい"という態度でリアルを歩いて行けるもう一つの理由は、友達がいないからかもしれないですね。他人と行動するとなると、TPOに合わせた服装を求められる頻度が増えるものなあ。もちろん自分の服装好きにするし、お前も好きにしなって言ってくれる友達がいたらとってもいいですけど。でも俺はまあ普通に対人関係が面倒くさいのでこちらから友達作り活動はしないです。一人が一番楽しいし、楽だし……。
あ、ネットの友達は欲しいので引き続きよろしくお願いします。ネットではかわいいものが好きな男性としてやっています。そうだな、やっぱり「男性をやっている」という感覚だなあ。

あと、性別非公開のアカウントに「この人絶対男性/女性だよな」と言及したり、中性設定のVtuberを指して「俺はプロだから声の出し方でわかる。この人は男性/女性だ!」とか言うのは本当にあの、こっちが虚しくなってくるので辞めた方がいいと思います。その人は俺がネットで男性をやっているのと同じように、「性別非公開をやっている」「中性をやっている」から。それをわざわざ明かそうとするのは、着ぐるみの中の人の素顔を拡散しようとするぐらい失礼な事だと思う。
ネットで性別を明かした事により過去にトラブルがあったり、リアルで男女どちらかに当てはめられるのが苦痛でネットぐらいその他・無回答で居させてよと思っていたり、俺のようにただそうしたくてやっている人もいるだろう。何れにせよ、「その人が見せたいと思う、その人」以上のことを探ろうとする事はかなり失礼な事だということが周知されて欲しい。
まあ俺はこうして書いたからと言って、沢山の人になるほどなと言って貰えるほどの影響力はないので、このnoteがいつか誰かに見つかって「そういう人もいるんだなー」って思ってもらえたら嬉しい(^^)


物心ついた時から父親がおらず女系家族で育って、引きこもってた時はその人達としか会話してなかったから、俺はかなり女性寄りの喋り方だと思う。なのに声が変わってからなんか、口から出せる音の範囲がぐっと狭まって、5音ぐらいしか発声できなくなった気がして、そのせいで歌う事に苦手意識があった。更に俺は病的な絶対音感みたいな感じで、生歌がCD音源よりほんの少しズレていただけで多大なストレスを感じてしまうので(もちろん歌い方による。"聴かせる"歌い方じゃなかったり、歌以外に集中できる要素があったりすると気にならない)、自分の声が自分が想像しているキーで出ない事がストレスに感じていた。
でも昨日なんとなく好きな男性ボーカルの曲を音楽に合わせて口ずさんで、録音して聴き返してみたら「まあ音痴だけど、その辺にいっぱいいる音痴な一般人」って感じだったので、カラオケ店でキーを調整すれば、"自分自身が出ると思い込んでいる音程が実際は出ない"というストレスを感じずに気持ちよく歌えるんじゃないかなあ。と思う。今度機会があれば初めてカラオケに行ってみようかな。一人で。平日昼間にね。夜のカラオケはなんか人多そうで怖いから。

とりあえず俺は明日ってか今日、数時間後には家を出なければいけないので、でっかいリボンが付いたヘッドドレスをつけて行こうと思います。
てか今気付いたけど、俺ら世代がジジイババアになってもやっぱり現実世界ではジジイかババアのどちらかにしか分類されないのかな。だとしたらやっぱ孤独死しかないよなあ。めんどくさい世の中ですね、早く全部AIに乗っ取られろ!それか落ちろ!隕石。
俺らが老害と呼ばれるまでに、世界を、社会を、この人生を、ぶっ壊してくれ。


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