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年齢を重ねても「世の中に役立つ仕事」がしたい。ベテラン人材が語る仕事論。

ベテラン人材向けジョブ型マッチングサービス「Inow」です。

年齢を重ねても自分らしく活き活きと活躍しているInowユーザーをご紹介するシリーズ記事を開始しました。第1弾は、フリーランス広報の神谷 敦子さんのご紹介。

神谷さんは50代後半で起業し、現在は東京と大阪の2拠点生活を送りながら、企業の広報支援を行っています。そんな神谷さんが年齢を重ねても働き続ける理由や一緒に取り組みたいと思える仕事、これまでの成果や理想の働き方などざっくばらんに語ってくれました。

神谷 敦子 フリーランス広報
【経歴】

1961年 名古屋市生まれ。大学卒業後、機械系メーカーへ就職
結婚に伴い退社。飲料メーカーのルート営業他パート勤務
2000年 夫の転勤で大阪へ。WEBマーケティングの仕事を在宅ワーカーとして請け負う
2009年 ITベンチャーにてパートから正社員へ
2012年 和装業界へ転職
2015年 個人事業主として独立(WEBコンサルタントの仕事をメイン行う)
2017年 単身東京へ(フリーランス広報として現在に至る)
取引先は伊藤手帳株式会社の他、越境EC支援サービス企業、ビジュアルソリューション企業等

これまでの経歴は?

大学卒業後、一度は地元の機械系メーカーへ就職しましたが、時代的な背景もあって結婚してすぐに退職し、その後出産。子どもが保育園へ入った後は、夫の扶養範囲内でパート勤務をしていました。

2000年に、夫の転勤に伴い地元の愛知県から大阪へ家族で引っ越しました。すぐに仕事を探しましたが、小学生の子どもが3人、ワンオペ育児に近かったので中々条件に合う仕事が見つかりませんでした。そんな状況の中でも、あるきっかけから在宅ワークでWEBマーケティングの仕事を引き受ける事ができました。今のようにオンラインツールが普及していない時代だったので、Skypeやメーリングリストを使ってプロジェクトを進めていました。プロジェクトメンバーと対面では一度も会わないまま仕事を進めていく、当時では珍しい働き方だったと思います。

その後は、IT系のベンチャー企業へ転職。
最初はパート勤務からはじめ、準社員→正社員とステップアップしていきました。正社員とはいえ、子どもたちはまだまだ中学生〜高校生あたりで、フルタイムでの勤務が難しかったため、月のうち14日間ほどは出社、残りは在宅勤務という形態をとっていました。

現在はフリーランスとして働いていて、1ヶ月のうち東京で3週間、大阪で夫と共に1週間ほど暮らし、それぞれでお仕事をしている、そんな状況です。

フリーになったきっかけは?

色々な理由がありますが、主な理由は3つです。

1つ目は、ベンチャー企業の後に転職した会社で、未来のキャリアパスが描けなかったことです。支社採用でしたので昇進や昇給の仕組みが整っておらず、理想のキャリアを描いても実現する方法が当時の私には見い出せませんでした。何を目標として働けばよいのか。やりたい事は胸のうちにしまい「このままずっと同じ仕事を続けるのか」と随分悩みました。

2つ目は、体力的な問題です。9時-17時のフルタイム勤務は当時の私にとって心身ともに負荷が大きかった事があげられます。その頃は50代後半でちょうど更年期とも重なっており、勤務中に体調不良で倒れてしまうこともしばしば。帰宅中に駅で倒れ救護室で休ませていただくこともありました。

とはいえ、もちろんネガティブな事ばかりではなく、新しい事にもチャレンジさせてもらったり、今の仕事をしていく上で役立っている事も沢山あります。ただ、「キャリア」という面で考えると、昇進も昇格も望めないという心の壁が大きかったように感じます。

3つ目は年齢的な問題。当時の年齢(50代後半)での転職は、非常に厳しいと判断し、思い切って起業しフリーランスとなる道を選びました。

思い切って起業、その後は?

コネも人脈も本当に何もないゼロからの起業だったので、収支見通しは非常に厳しいものでした。

どうしたらよいものかと悩みに悩んでいた頃、知人から「今までやってきた仕事をベースにお客様を見つけていくと良い。そのためにもキャリアの棚卸しをするべき」とアドバイスをもらいました。

まずは逆年代式(※)で過去のキャリアを振り返り、いつどこでどのような事をしたか、それに対してどのように感じたかを事細かに書き出していきました。「キャリアの棚卸し」という言葉はよく聞きますが真剣に向き合うと、アウトプットするのにもかなりの時間がかかります
(※)逆年代式:直近の仕事から順番に記載する職務経歴

キャリアの棚卸しが終わったところで、事業スタイル・売上シミュレーションなど、どのように事業を軌道に乗せていくかかなり綿密に作り込んだ事業計画書を作りました。当時は、ECサイトの運用相談を柱に事業展開を行い、その中の1つとして広報業務の相談も請け負うスタイルでした。

最初は、経営者が集まる交流会に何度も足を運び、そこからの繋がりで仕事が少しずついただけるようになりました。私は本来ならば、交流会に参加して名刺交換、そして自分のことをアピールするというあの独特の雰囲気はあまり得意ではありませんが、それでも、当時から今に至るまでお仕事をいただいている方々もおり、ありがたい出会いもたくさんありました。

とはいえ、今はビジネスマッチングサービスも充実していますので、得意でない分野で自分をどう伸ばしていくかと頭を悩ませるよりは、自分が活きる場所・得意な場所を早めに見つける方が良いだろうなと思います。

現在のお仕事は?

今は、企業の広報活動を請け負ったり、広報担当者を育成したり広報業務全般をメインで行っています。ECサイトの運用施策の1つとして広報活動を強化しましょうと話をしているうちにこちらが本業になりました。

私が広報として目指しているのは「人×モノ×企業をつなぐ架け橋になる」こと。このビジョンのもと、日本のモノ作り企業とエンドユーザーを繋ぐお仕事を「広報」という手段でできればいいなと考えています。その役割を全うする中で、私が大切にしていることは、お互いに気持ちよくお仕事ができるかどうかです。

私個人としては、雇用や契約という概念を越え「共に創り上げる事」に重きを置く企業様とお取引をしたいと考えていて、フリーになった今、私がお仕事を選ぶ上で重視するのは、やりがいがあるかどうかです。私にとってのやりがいとは、目標に対して結果を出したり、それに対してきちんと評価をしてくださる事でしょうか。

キャリアの転機は?

私のキャリアの転機は56歳でした。
仕事の幅を広げるため、思い切って単身で東京へ出る事にし、別の仕事でお世話になっていた伊藤手帳株式会社さんと本格的に仕事ができるようになりました。広報担当者として、メディアアプローチやプレスリリースの定期配信、広報戦略の設計と実行といった幅広い業務を担当しています。

東京での仕事は地縁知人もゼロからのスタートでしたが、「高い目標にチャレンジする」姿勢を尊ぶ伊藤手帳の企業姿勢もあり、様々な事にチャレンジさせていただきました。4年ほどかけてメディア取材が途切れない状態にまで持っていけたことは自分の中でも「やってよかった」と誇らしい出来事です。

2021年 愛知大学キャリア支援センターとの産学提携プログラム発表会

2021年には、愛知大学のキャリア支援センターと伊藤手帳の産学連携プログラムに企画から運営まで携わらせていただきました。伊藤手帳には地域の次世代を担う人材との交流や育成機会の提供を行い、地域社会への貢献を行うという目標があり、今回みなさまのご厚意により無事、形にする事ができました。私自身は外部のフリーランス広報ではありますが、チームの一員として携われた事がとても嬉しかったです。

ベテラン世代から見た「仕事」とは?

私は、何かを見た時に「なぜこうなっているのだろう」と考える癖があります。Inowさんの場合も最初にサービスをみて考えたのは、私たちのように年齢を重ね、人生経験も豊富なユーザーは、それぞれバラバラの価値観や成功体験を持っているので、そこをサービスと重ねていくのはかなり難しいだろうな、ということでした。

「定年後の働き方」については皆さん様々な想いを持つのではないかと思っています。あくまでも個人的な見解ではありますが、例えば「今まで長く働いてきたのだから定年後は一休みしたい」「現役世代のように働きたいが体力的な問題もある」「ボランティアも良いがやはりインセンティブもある程度欲しい」などといったように個々人によって温度差があると思います。

また、皆さん「なにかやりたい」とは思いつつ、従来の週○回、☓時間という固定の就労形態がネックだったり、希望と現状がマッチしないことで結局、働かないという選択をしている人もいるのではないでしょうか。

以前、 檜山敦 氏(東京大学 特任准教授)が新居佳英 氏(株式会社アトラエ 代表取締役CEO)との対談でお話しされていた

「従来の日本型企業の働き方のように、正社員として採用し、月曜日から金曜日まで出勤するといったスタイルではなかなかベテラン人材とマッチしないでしょう。1つの決まった場所で、フルタイムで働くというこれまでの当たり前を変え、プロジェクトに合わせて複数の人材をモザイクのピースのように柔軟に組み合わせる『モザイク型就労』の考え方が必要だと考えています」

https://toyokeizai.net/articles/-/447967

という部分は、私にとってはまさに理想の働き方です。

思えばフリーランスになった頃から「自分らしい働き方」を探し求めていたような気がします。その答えが「世の中の役に立つ仕事」「喜ばれる仕事」に自分のペースで取り組むことなのかなと思うこの頃です。

なので、Inowさんにチャレンジしていただきたい事としては、その企業や経営者がどのような理念を持っているのか、何を目指そうとしているのか、もっと言えば「どう世の中に役立ち、喜ばれる仕事なのか」をInow流の言葉で紡いでくれると良いのかなと思います。仕事内容を紹介するサービスというよりも、こちらの方が私達のような世代には重要なのではないでしょうか。そこに柔軟な形で参画していけると私達もすごくワクワクします。

私は、完成されていないけれど、どこか”キラッ”と光る仕事を好む傾向があります。価値観や理念の一致する方々と共に”キラッ”を”キラキラ”っと輝くまで磨き上げていきたい

そういう仕事があれば業界や業種問わずどんどんやりたいなと思っていますし、応募させていただきたいです。すごく抽象的ですが、Inowさんには「想いが見えるサービス」であってほしいと思っています。

最後に

定年して、今日からいきなり「フリーランスです!」という状態は厳しいと思うので、定年前にお試し副業なんかできると良いですね。これからは、企業側からもなんらかのサポートは必要でしょう。

フリーランスは自分のスキルも活かせますし、自由にやりたいお仕事を続けられますが、その一方で収入が安定しないことも事実です。ある日突然仕事がなくなるという状況はやっぱり誰しも怖いですよね。なので、会社を辞める前に、自分がどんなことができるのかスキルを正しく認識しておくことが必要だと思います。私は逆年代式のキャリア棚卸しシートを作りましたが、これは自分を振り返る・自分の強みを可視化できるという効果があり、ぜひおすすめしたいです。

オフラインの交流会では、なかなか仕事につながることは少なかったのですが、オンラインツールを活用すると、事前にFacebookなどSNSの情報を見てくださるので、その後の仕事につながることも多い印象です。そのあたりも得手不得手、向き不向きがあると思うので自分にあった手法を模索しておくとよいかと思います。

私自身は、これからも体力が続く限り、企業さまの成功体験を共につくれるよう邁進していきます。 「あの時にこうしておけば良かった」という後悔が無い人生にしたいので、自分がやりたいこと、できることに全力で取り組んでいきます。


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