アマネムを目指す伊勢志摩旅行記【③アマネムにチェックイン】
※文章書くのしんどい・・・小割にしてちょこちょこ投稿します。
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アマネムを目指す伊勢志摩旅行記 【①全体行程編】
鳥羽駅から賢島駅へ
鳥羽国際ホテルをチェックアウトし、いよいよアマネムに向かいます。
今回、旅プロ姫の裏技でアーリーチェックインができるので、12:00に着くように動きました。
通常のチェックインタイムは15:00。観光というよりはホテルでの滞在自体を楽しみに訪れるホテルで、通常よりも3時間も早くチェックインできるのは、とても嬉しい特典です。ホテルラバーの人たちは、このアーリーチェックイン、レイトチェックアウトの特典のために、クレカの年会費を払ったり、ステータスのグレードアップを狙って宿泊回数を重ねたりと、かなり出費をしているようです。それだけ、価値のあるものだということです。
鳥羽国際ホテルのプライベート送迎(これまた一休ダイアモンド会員の特典)で鳥羽駅に送ってもらい、鳥羽駅から40分ほどかけて、近鉄志摩線の終点、賢島駅に到着。車窓もとても美しく、列車の旅を楽しむことができます。
賢島駅到着。アマネムへ
賢島駅からは、アマネムからお迎えがあり、プライベート送迎をしてもらえます。送迎車は全車レクサス。お迎えはセダンで、帰りはSUVというのがパターンのようです。
アマネム到着
美しい志摩の風景とスタッフの方との会話を楽しみながら、15分ほどで到着しましたが、ゲートには2台ほど車が待機中。
あれれ?なんかトラブル?
トラブルなんかではなく、チェックインを1組ずつ行うために、混み合う時はゲートで待機する必要があるそうです。
ゲートで待つ前提であれば、送迎のレクサスは、レセプションの待合室のような役割を果たすわけですね。
ところで、、、
なぜレクサスなのでしょうか。高級ブランドとはいえ日本人にとっては身近な国産車。同様に気になったのがドライヤー。部屋のもスパの更衣室のも、パナソニックでした。パナソニックのドライヤーが優秀なのは自分でも使っているのでよく分かっていますが、多くの高級ホテルはレプロナイザーなど高級外国ブランドの製品を使っています。日本人の我々からすると、あれ?と拍子抜けしますが、ひょっとすると、外国人宿泊者を意識した世界戦略として、あえて「メイドインジャパン」にこだわっているのでしょうか。などと勝手に想像させるのがアマンブランドの凄いところ。他のホテルであれば、「ケチったな?」と思ってしまうかも。
それにしても、この守衛室のカッコいいこと。
サインも守衛室も、とても丁寧にデザインされているのが分かります。裏方のデザインにも手を抜かない姿勢。ゲートでしばらく待つ時間ができたことで、思いがけず、ケリーヒルとの最初の出会いを果たす事となりました。同じようにゲートで待機させられる方がいたら、暇つぶしに車を降りて、ぜひ守衛室やサインを観察してみてください。(しないか笑)
パビリオン棟到着。チェックイン
15分ほど待っていると、ゲートスタッフからゴーサインが出て、チェックイン専用のパビリオン棟に到着。
チェックイン専用の棟が用意されているのは、とてもリッチなホスピタリティだと思います。運営側や作り手側からすると、イニシャルコストもランニングコストもかかるので、レセプション機能はなるべく何かと兼ねたいところ。でも、滞在する側からすると、チェックイン・アウトの喧騒から無縁でいられます。そして、滞在のプロローグとエピローグにフォーカスした演出を楽しむことが可能になります。
パビリオン棟は、住宅規模の小さな建物です。リゾートホテルにありがちな迫力のある大空間や、きらびやかな演出を期待していると、拍子抜けしてしまうかもしれません。
しかし、このあり様こそが、伊勢志摩という地におけるアマンの歓迎のカタチとしての答えなのでしょう。
外観は、銀黒の瓦屋根に、保護塗料で黒く着色された木素材で、田舎の古民家のような佇まい。インテリアはモノトーンをベースに、ナラ材と思われる木材がアクセント的に用いられています。
とても上品にシンプルにまとめられていますが、色っぽさや艶やかさも感じます。
こうしたデザインからは、建築の主張は少し控えて、伊勢志摩の風景を主役にしようとする建築家の意図がみてとれます。その想いは、サッシ(窓)のデザインに強く現れています。アプローチ側も、その反対側も、同じように水平方向に大開口部になっています。サッシが両側にスライドしていくことで大開口が生まれ、レセプション空間は半屋外状態になるのです。
オーストラリアのオペラハウスを設計した、デンマークの建築家、Jorn Utzon (ヨーン・ウッツォン)が日本(や中国)の建築の本質を、「基壇と浮遊する大きな屋根」だと示したスケッチを思い出します。
気候が穏やかな東南アジアのリゾートホテルの多くは、レセプションが半屋外となっていて、これからの滞在への期待感を高めるのに一躍買っています。これは、豊かな敷地環境に建つホテルにおいて、とても有効な演出手法です。
日本において、どれだけの期間、この大開口を楽しむことができるかは分かりませんが、この日はそこまで寒くもなく、スタッフの方がサッシを全て開いてくれました。
外観の特徴である大きな切妻状の屋根は、内部空間にも反映されています。中央付近(専門用語で「棟(むね)」といいます)は天井が高く、大らかな空間を作り出す一方、軒先はぐっと低く抑えられていて、合わせて開口部も高さは抑えられつつ、先述のように左右に大きく開くことで、水平方向の広がりがより強く演出されます。
開口部が大きいということは、その先に何があるかが問題です。作り手目線でいえば、「何を見せるか」が問われます。
特にこのレセプションは、初めて訪れる人も、常連も、必ず滞在の最初に目にする風景となり、体験の序章としてとても重要な設定です。
小さな芝生の広場、草原、原生を思わせる木々、宿泊棟と思われる建物の屋根が2つ、英虞湾、その向こう側の島・・・。こんな何気ない風景が、水平方向に切り取られて目に飛び込んできます。
海がバーン!と見えるとか、プールなどで人工的な演出が凝らされているといったものではありません。
どちらかというとシュールな光景。インテリアが控えめなのと同様、近景の庭もどこか控えめで、むしろ意識は遠く遠くに誘われていくように感じます。
この建物から最初に見た風景は、まさに、アマネムの敷地環境の本質が凝縮されています。そして、ケリーヒルが建築家としてその本質をどのように捉え、演出しているか、という方法論も凝縮されています。
ケリーヒルがこの広大な敷地に立ち、歩き回り、地形を分析し、ゲニウス・ロキ(地霊)と会話し、それぞれの建物の場所を選び・・・
「ほら。やっぱり、最初に見るべきはここだろ?」という声が聴こえてくるかのようです。
はい。ケリー。アマネム滞在の序章としてこれ以上相応しい演出はありません。
いよいよ、チェックインを終えて、カートに乗ってパビリオン棟を後にします。
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