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アマネムを目指す伊勢志摩旅行記【②伊勢神宮詣編】

アマネムを目指す伊勢志摩旅行記【①全体行程編】に続き、今回は途中立ち寄った伊勢神宮について書いてみます。

伊勢神宮

アマネム泊の前日に伊勢市に立ち寄って、伊勢神宮をお参りすることにしました。

建築家ケリーヒルがアマネムをデザインする上で、伊勢神宮の影響を受けていないワケがありません。伊勢神宮には以前何度か訪れていますが、アマネムを体験する前に、改めて復習をする良い機会になりました。

九州に住んでいると、伊勢神宮は決して気軽に行ける場所ではありません。三重県にすら行ったことが無いという人がとても多い印象です。

専門学校や大学で建築学科の学生に教えていますが、建築系の学生ですら、8-9割が伊勢神宮ヴァージンです。かくいう僕も伊勢神宮に初めて訪れたのは、だいぶ大人になってからでした。

伊勢神宮を日本屈指のパワースポット観光地としてだけ捉えると、もともと神話の発祥の地である九州にもたくさんあるので、どうしても訪れるモチベーションが低くなってしまうのでしょうか。

しかし、伊勢神宮はパワースポットであるということを超えて、日本という国を建築や環境デザインを通して明快に表現する上での一つの重要な事例なのです。それを学生達には伝えたい。

「ヨーロッパをみろ。何百年も前の建物が大切にされて残っていて、古いほど価値を増している。やはり石の文化は素晴らしい。一方で日本の建築事情はというと数十年でスクラップ・アンド・ビルドを繰り返し、恥ずべきことだ。」

なんとなく日本に漂うこの西洋讃美の感覚。西洋技術に立脚した日本の建築や環境の教育でも、しばしば感じる雰囲気。

これはある意味事実です。しかし、20年ごとに隣接地に社殿を新調し、祀っている大御神に遷っていただくという高度な儀式を1300年以上に渡り続けているという伊勢神宮の式年遷宮の詳細を知っていれば、単純にスクラップアンドビルドという言葉を卑下し、西洋至上主義でいるわけにはいきません。

極端な愛国主義に陥る必要もありませんが、海外でのグローバルな活動を目指すのであればなおのこと、日本人として最低限知っておくべき日本の文化の結集が伊勢神宮にはあるのです。

Think Globally. Act Locally.”
(地球規模で考え、足元から行動せよ)

これは、環境問題を論じるときに使われる言葉ですが、どの分野においても共通の考えであるべきです。世界の事を考える必要があるからこそ、まずは最も足元のことを学ぼうよ、と学生には伝えたいのです。

なるべく若いうちに、伊勢神宮を正しく知り、訪れてもらいたいと思うのは、僕が右寄りだとか、皇国主義だとか、愛国者だからという理由ではありません。

この20年で、「皇国教育」と言われることに配慮して、伊勢神宮への修学旅行が激減しているそうです。とても残念なことです。

せめて、僕が教える学生には、自分の足元を確認するために、意を決して伊勢神宮を訪れてもらいたい。そんな感覚で、今回の伊勢神宮参りを細かく記す事にしました。

決して、ベストな行程ではありません。(今回はアマネムがメインなので、、、)しかし一つの事例として参考にしていただけると幸いです。

旅日記

13:10 伊勢市駅到着

伊勢神宮の玄関口、伊勢市駅に到着しました。
(ここまでの行程は①全体行程編を参考にしてください)

まずは荷物を預ける必要があります。列車旅の場合、荷物の取り扱いが問題です。キャリーバッグを転がして歩き回るわけには行かないので。

外宮の最寄駅、伊勢市駅には、手荷物預かり所があります。1000円で伊勢志摩エリアのホテルに送り届けてくれるサービスも。配送サービスの締め切りは13:10。列車が13:10ちょうどに到着する便だったので、数分遅れるかなと思い、事前に電話をいれました。期待していたのは、「大丈夫ですよー、待っておきまーす」という博多っぽい答え。でも、ピシャリと断られました。この厳格な運用ぶり。さすがは伊勢神宮のお膝元。凛とした感じが電話からも伝わってきます。伊勢市駅で配送サービスを利用するなら、余裕を持って到着しましょう。

今回の旅の行程は、伊勢神宮参拝後、伊勢市駅から再び近鉄線で鳥羽駅に向かうことになっていたので、駅の構内にあるロッカーに預けました。700円で、そこそこ大きなキャリーケースを入れることができます。

調べた限り、内宮にはあまり大きな預かり所が無さそうでした。まず内宮に到達する人は、ご注意ください。(空港からの連絡船のリムジンバスは内宮に着きます)

13:20 伊勢うどん山口屋

ロッカーに荷物を預けて身軽になり、伊勢うどん山口屋へ。駅から徒歩10分かからないくらいのところにあります。

「わらわは美味しい伊勢うどんを食べたいのじゃ♪」との姫の要望に応えるべく、伊勢市を拠点に建築家として活躍している後輩の湯谷君(湯谷建築設計)に相談したところ、、、

「伊勢うどんはここ。今も手打ちの自家製麺でやってるのはここだけです。」とのアドバイスをもらいました。

ということで、迷う事なく山口屋へ。

今の当主は3代目だそう

いつもは行列ができているそうですが、運が良いことに空いていました。

伊勢市には何度か訪れていますが、伊勢うどんを食べるのは初めての体験。

伊勢うどんは麺が柔らかいという事前情報があり、ヤワ麺が苦手な僕としては、あまり期待せず、姫に付き合う程度の感覚で訪れました。

食の都、博多に住んでいつも美味しいものに恵まれていると、旅先の食で感動することが少なくなります。特に、これからの人生においてうどんなんか(失礼)で感動することは無いだろうと思っていました。

しかし、、、

外側はフワフワ、中はしっかりコシがある麺

なんだこれは!!美味(うま)ー!!!!!!
うどんカルチャーショック!!!!

真っ黒で濃い味のツユも美味しいですが、何よりも印象的なのは麺。この食感は間違いなく初体験でした。この店が近所にあったら、週2で通うなー。

たまには姫のワガママも役に立つもんです。もちろん姫も大満足。

ポイント
伊勢市を訪れる時は、山口屋で伊勢うどん。
ゼッタイ。

13:50 別宮、月読宮へ

建築クラスタ、寺社仏閣クラスタの人にとって、山口屋を訪れる事で嬉しい副産物が1つ。

山口屋から徒歩10分ほどのところに、伊勢神宮の別宮、月夜見宮(つきよみのみや)があるのです。

「伊勢神宮」とは、正宮・別宮・摂社・末社・所管社の125宮社の総称です。

月夜見宮は、豊受大神宮(外宮)の別宮の一つ。

本来正しいとされる伊勢神宮の参拝順番は

①外宮の正宮
②外宮の別宮
③内宮の正宮
④内宮の別宮

と言われています。ですから、順番では②にあたる別宮を一番最初にお参りすることになりますが、天照大御神はきっとお許しくださることでしょう。

月夜見宮

小さいながらもとても美しいプロポーション。
写真の手前は、古殿地(後述)のようで、正宮と同様この小さな宮も遷宮するようです。

14:30 伊勢神宮 外宮へ

伊勢神宮にお参りするというよりも、おかげ横丁で赤福を食べることにしか興味がない姫は、外宮ヴァージン。内宮に、というよりも、おかげ横丁に、というよりも、赤福本店に行きたがる姫をなんとか説得し、月夜見宮から歩いて伊勢神宮外宮へ向かいます。月夜見宮の鳥居をくぐって正面にある道(神路通り)を10分ほど歩くと着きます。

神路通りから月夜見宮を見る。
鳥居の軸線上にある道。まさに神路通り。

実は、姫のように内宮だけをお参りする人は多いそうです。でも、それは「片参り」といって、あまりよろしくないと言われています。

正宮の塀

御正宮が建っている隣には、砂利敷の大きな空地があります。ここには、前回の遷宮が行われた2013年まで、20年の歴史を刻んだ正宮が建っていた場所で、「古殿地(こでんち)」と言います。別名「新御敷地(しんみしきち)」

「新」と「古」という真逆の言葉が使われている2つの名称が両方とも正式名称というのが、まさにこの空間の本質を示しています。

ご正宮に向かって右側面の塀

跡地でもあり候補地でもあり、、、古くもあり新しくもある不思議な場所。

「永遠性」が感じられる世界でも唯一無二の場所なのです。

古殿地/新御敷地
奥に見える小さな小屋の下には心御柱(しんのみはしら)が埋まっています

2013年に初めて訪れた時は、新築された新殿(今の御正宮)と古殿が共存していました。それは20年に一度しか見ることのできない貴重な光景でした。

でも、古殿が解体され、次の遷宮を待つ「空白」のこの場所こそ、実は物凄いパワースポットなのです。古殿地は、内宮よりも外宮の方がしっかりと見ることができます。

15:20 内宮・おはらい町・おかげ横丁へ

15:00頃外宮を出て、バスで内宮に向かいます。

今回列車移動で利用した「伊勢神宮参拝きっぷ」は、3日間の有効期間中、三重交通のバス乗り放題。内宮外宮をタクシーで移動すると3000円以上かかるので、バスを利用すると金銭的にはかなりお得です。

20分ほどで内宮前に到着。バス移動がちょっと残念なのは、いきなり内宮の前に着いてしまうこと。僕は、おはらい町を通って内宮に到達するという順序が好きなのですが、、、。

おはらい町とは、内宮に隣接する街路状の鳥居前町。伊勢神宮へ向かう街道沿いに妻入りの木造建築が立ち並び、様々なお店が軒を連ねる楽しい参道です。その一角には、おかげ横丁というエリアがあります。おかげ横丁は平成5年に赤福が私財を投じて完成した比較的新しい商業空間ですが、今や、おはらい町全体を指して、おかげ横丁という呼び方の方が一般的になっているかもしれません。

内宮に向かう人と逆行しながらおはらい町を進み、おかげ横丁へ。コロナが明けた事を感じる賑わいぶり。目指すはもちろん赤福本店。

おはらい町

おかげ横丁といえば赤福。姫によれば、本店で食べる赤福は格別なのだそうです。赤福なんてどこで買っても美味しいやろ?と言うと、「分かってないなー!」と姫。確かに、おかげ横丁で赤福を食べるって、ベタ過ぎて興味がなかったのですが、たまにはベタも良いかも。

本店に向かうも、整理券をもらった人しか入れず断念。こんなに混雑しているとは予想外。代わりに、近くの団五郎茶屋で、赤福ぜんざいをいただきました。

お餅をこんがりと焼いてくれます


ぜんざいなんて大抵美味しいけど、赤福ぜんざいはやはり格別の美味さ

おかげ横丁が楽しすぎて、うっかり内宮にお参りするのを忘れるところでした。17:00には閉館するので、おはらい町を引き返し、急いで正宮へ。すでに日も暮れかけています。

伊勢神宮は、内宮と外宮、両方とも素晴らしく、お参りの趣旨からも両方お参りするべきなのですが、どうしてもどちらかだけしか参れないというならば、僕は内宮をお勧めします。

おはらい町やおかげ横丁を楽しめるという理由と、五十鈴川を取り込んだランドスケープが素晴らしいのです。

鳥居をくぐった後、大きな橋で五十鈴川を越えるアプローチ
御手洗場(みたらしば)


特に、参拝者が身を清めるためにある御手洗場(みたらしば)は素晴らしい場所です。

御手洗場のすぐ近くに「滝祭神」という小さな祠(?)があります。ここは別名「とりつぎさん」
正宮へ行く前にお参りすべき場所だそうです。

個人的なお願い事は、伊勢神宮ではご法度なのですが、いくつかの場所ではそれが許されます。この滝祭神は、天照大御神に個人的な願い事を取り次いでくれるそうです。親父に直接言うと喧嘩になるから、母親を通してやんわり伝える、みたいな感じ???

なんとか17:00前に正宮にたどり着きました。

内宮の御正殿は、階段の上にあります。ここから先は撮影禁止。
平面的な広がりの外宮に対して断面的展開がある内宮。参拝者を飽きさせない演出(?)

本来、夕方の神社はあまり良くないとされていますが、神宮の神職の方達に言わせると、そんなことはないようです。この時間帯の方が人も少なくて私はむしろ好きですよ、と言われる神職の方も。

個人的なお願い事を聞いてくださる荒祭宮

17:30伊勢市駅付近に到着、夕食。


すっかり暗くなった外宮を出て、荷物を預けている伊勢市駅付近に戻ります。

荷物を預けていなければ、わざわざ伊勢市駅に戻る理由はなく、五十鈴川駅が、内宮の最寄り駅となります。

今回、伊勢市駅に戻る理由は、荷物をとるのはもちろん、夕食のため。内宮付近よりも、外宮付近の方が夕食のためのお店は充実しているのです。ホテルでは夕食を予約しておらず、伊勢市内で探していました。

アドバイスを求めた後輩の湯谷くんお勧めのお店も、伊勢市駅付近に集中していました。そして湯谷君が内装を手がけた店も同じエリアに集中していました。後輩の仕事ぶりも見たかったので、伊勢市駅付近で食事をすることにしました。

配送サービスが利用できて、荷物を取りに戻る必要がなくても、夕食のために伊勢市駅付近に戻っていたことでしょう。

ちなみに地元民湯谷くんのお勧め店舗は以下。

一月家

ぎょうざの美鈴

一月家で軽く食べて、美鈴で締めの餃子というのが湯谷くん一番のお勧めコースとのことでした。でも、お腹がそこまで空いていなかったのと、時間の問題で、次回の楽しみに回すことにして、お勧めの店の一つ「ハーフクレイジー」で、おばんざいを楽しみました。

店名からして、何やらぶっ飛んだお店をイメージしていたのですが、女将さんが丁寧につくる美味しいおばんざいのお店でした。

湯谷くんが内装を手掛けた精肉店 めし勇で、松坂牛コロッケなどを夜食用にゲット。その場であげてくれる揚げ物はどれも絶品でした。

一つ、揚げたてを店前でいただきました

美味しくお腹も満たし、後輩の素晴らしい仕事の一部を見ることもできて、満足感いっぱいで伊勢市を後にすることにしました。

19:10鳥羽国際ホテル到着

18:43伊勢市駅発の列車で19:00には鳥羽駅に到着。この夜は鳥羽国際ホテルに宿泊しました。鳥羽駅から車で5分ほどの場所で、駅から無料送迎してくれます。

鳥羽国際ホテルは、部屋からの眺めもよく、真珠メーカーのミキモトと共同開発したというパール風呂はすごく気持ち良かったです。伊勢市付近にはあまり宿泊施設が無いので、電車で15分ほどの鳥羽エリアはお勧めです。

美しい入り江を望むオーシャンビューの客室は広くて快適でした
パール風呂。真珠の成分が粉末状で混じっていて、キラキラと綺麗。お肌にも良いようです。

伊勢神宮編まとめ

こんな行程で、朝の9:00頃福岡を飛び立って13:00頃伊勢市に降り立ち、伊勢神宮をお参りして、19:30にはホテルでのんびりしていました。

伊勢神宮参りをしっかりしたい場合は、ちょっと時間が足りない行程。広い敷地内には別宮など魅力的な場所が沢山あるのですが、それらをゆっくり参拝するのは不可能な行程です。特に冬は日が暮れるのが早いので、閉館ギリギリまでいようとすると、真っ暗になってしまいます。

伊勢神宮巡りをメインにしたい場合は、九州エリアから行くならば、2日に分けるか、関西か伊勢エリアに前日入りして、次の日の早朝からお参りするのがお勧めです。

今回はアマネムがメインだったので、伊勢神宮が前入りという感じで、、、(天照さまごめんなさい)

日帰りプランや、同じようにアマネムメインで伊勢志摩を巡る予定の方には少しは参考になったのではないでしょうか。

次回はいよいよ、アマネムについて記したいと思います。

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