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アマネムを目指す伊勢志摩旅行記【④アマネムの共用部でのんびり】

アマネムを目指す伊勢志摩旅行記 【①全体行程編】

アマネムを目指す伊勢志摩旅行記【②伊勢神宮詣編】

アマネムを目指す伊勢志摩旅行記【③アマネムにチェックイン】

アーリーチェックインするつもりで12:00に到着したものの、前日が満室で、まだ部屋の準備ができていないとのことでした。もともと、特典のアーリーチェックインは確約はされておらず、前日の稼働状況によるのでこれは致し方ない事。事前に確認しなかった我々のせい。

チェックインの手続きだけ済ませた後、準備ができるまで共用部でのんびりと過ごすことにしました。結果的にこの時間はとても豊かなものになりました。直接部屋に入っていたら、はしゃいだりのんびりして、共用部で過ごす時間は減っていたでしょう。アマネムは、客室はもちろんですが、共用部の素晴らしさが際立つのホテルなのです。

アマネムの共用部は、大きく分けて3つのゾーンで構成されています。

チェックイン時にもらえるマップ

・チェックイン・アウトのためのパビリオン棟のレセプションゾーン

・サーマルスプリングやフィットネス・ヨガ棟、エステ棟で構成されるスパゾーン(Aman spa)

・ライブラリ棟、ダイニング棟、バーラウンジ棟、インフィニティプール、オープンデッキで構成されるサロンゾーン(正式名称が無いので勝手に名付けました)

最初に案内されたのは、サロンゾーン。

サロンゾーンのレセプション

案内してくださったのはTさん。Tさんは元外務省の職員という経歴の持ち主です。外国からのVIPはTさんが担当になるとのこと。アマネムの立ち上げから関わり、ケリー・ヒルとも直接の交流があったそうです。

ケリー・ヒルが、完成後に奥様を伴って来日した時の小咄を教えてくれました。

10cmに満たない段差。
このくらいが最もけつまずきやすい。

この、レセプション入り口にある小さな段差は、水やホコリなどをなるべく室内に入れないためにどうしても必要になるものなのですが、ここでケリーの奥様が蹴つまずいたそう。確かにカートを降りてすぐの場所にあるのと、微妙な高さなので転びやすい段差です。奥様が「いったい誰が設計したのよ!」と・・・。奥方から叱られる建築家あるあるネタです。

このいわくつきの段差は、横から当てる照明を追加したり、スタッフが入念に注意喚起することで、大きな問題にはなっていないとのことでした。ちょっと危ないからといって、黄色と黒のシマシマ模様のテープを貼ったりせずに、運営でカバーしているというのは建築家からすると嬉しいことです。アマンの、建築家への敬意が感じられるエピソードでした。

この小さな段差を転ばずにクリア(?)して、レセプション棟に入ります。チェックイン用のパビリオン棟同様、フルオープンにできるサッシにより、半屋外のような開放感が演出されています。

中間期は常に開け放っているのだろうか
インテリアの構成は全ての棟で統一されている

そして、ここからの眺めは、アマネムを訪れた人がSNSにアップする写真の代表的なアングルです。

アシンメトリーな建物配置により
奥行き感が強調され、
その視線の先に英虞湾を望む

回廊を通ってライブラリー棟へ案内されました。

高い低い、明るい暗いのメリハリが、
艶やかで色気のある空間をつくる

ほどよいスケール感の空間に、大きなテーブルが設置され、厳選されたであろう書籍が品よく置かれています。

サッシを全開にしてもらいました

壁で囲まれた中庭に面していて、ここでもサッシは全開口できて、内外が完全に繋がります。

独特のスケール感の中庭。
正面はプールの更衣室・トイレ棟の壁も兼ねている。

設計者のケリーヒルの写真とサインがさりげなく置いてあります。宿泊施設で、こんなカタチで設計者が紹介されることはそうありません。隈研吾や安藤忠雄でも、ホームページで紹介されこそすれ、ここまで大切に扱われることはないと思います。

For the guests & staff of AMANEMU
A shared journey.
Kerry
March 2016

ケリー・ヒルはアマネムを遺作として2年ほど前に他界されていたということもあり、写真に思わず手を合わせました。(それを見たTさんは爆笑。結構真面目だったんだけどな・・・)

宿泊棟の模型

ライブラリー棟を出て、回廊を通りバーラウンジへ。

棟間の移動空間であるのと同時に、
美しいシークエンスを作り出す回廊

このバーラウンジに面して、アマネムの目玉の一つ、インフィニティ・プールがあります。

インフィニティプールとバーラウンジ棟

インフィニティ・プールは、プールのエッジ(端部)が工夫されていて、水の表面張力のような状況が生まれ、プールの水が遮るものなく向こう側の風景に溶け込むような現象を楽しむことができます。

インフィニティな状況をつくるプールの端部

シンガポールにあるマリーナ・ベイ・サンズの屋上にあるものが有名ですが、実はインフィニティプールの元祖はスリランカにある、「ヘリタンス カンダラマ」というホテル。このホテルの設計者は、リゾート建築設計の名手、ジェフリー・バワです。ケリー・ヒルはバワとも親交が深く、影響を受けたと言われています。

水の塊が置いてあるみたい

スリランカは、海岸線が岩であることが多く、ビーチサイドを楽しむことができないため、ホテルの敷地内にプールを設け、その人工的な水面を海の水平線と一体化させるという、あまり恵まれていない状況の打開策として生まれたのがインフィニティ・プールの起源です。

スリランカの海沿いと、このアマネムの敷地の状況は近いものがあるかもしれません。少し離れたところにある英虞湾との関係性を、このインフィニティプールは美しく演出しています。泳ぐとさらにその効果を感じるのだろうなぁ、、、。

プールに浸かって視線が低くなると、
英虞湾や空はどう見えるのだろう

冬にアマネムを訪れる唯一の残念な点は、このプールで泳げないことかもしれません。この日は冬とは思えないほど暖かく、気合いを入れれば泳げるのではないかと思うほどでしたが、姫に止められました。

空が切り取られて降りてきたみたい

プールサイドで、インフィニティプールが生み出す風景を堪能した後は、バーラウンジでお酒をオーダーして、外のデッキに掘り込まれたアウターラウンジ(?)でのんびりと過ごしました。日曜日で、通常チェックイン前の時間帯ということもあり、ほぼ貸し切り状態。

デッキが彫り込まれたスペース

部屋に籠もるのも良いですが、ぜひ時間を作ってこのエリアでのチルタイムを楽しんでもらいたいです。インフィニティプールを楽しむためにも、やはり温かい季節が良いのかな・・・。

写真を撮ったりお酒を楽しんでいるうちに、あっという間にチェックインの用意が整い、部屋へ案内されることになりました。

つづく

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