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全社で1つの課題に向き合う場をつくる 社内ワークショップの設計とファシリテーション5つのポイント

こんにちは!カミナシHRの井上(@INOUERAY)です。

今回は、最近取り組んだ社内ワークショップ企画・運営を振り返り、「社内ワークショップの設計とファシリテーション」というテーマでお話してみたいと思います。

  • 「人事施策の手段としてワークショップやってみたいけど実際どうなんだろう?」という方

  • 「”ちょっとワークショップやって!”と急なオーダーをされたけど何も分からないー!」みたいな方

にとって参考となるようなお話になれば幸いです。

💝 ワークショップで全社メンバーがカルチャーと向き合う場を設けることになった

本筋に行く前に、まずは今回の背景について簡単にご紹介できればと思います。

ことの始まりは、CEO諸岡を中心に進めていた、カミナシのカルチャーを見つめ直すという取り組みでした。
(もう少し詳しめの経緯や、やってみた学びなどはこちらのnoteで記載しているので今回は割愛)

なんやかんやあって私がワークショップのプログラム設計と当日のファシリテーターを担うことになったので、企画運営にチャレンジしてみて学んだことや他でも活用できそうな知見、あとは純粋な感想などを書いてみます。

あらかじめお断りしておくと、コンテンツの具体的な中身を詳細に解説すると文字数が大変なことになってしまうので、今回は企画方法や当日運営の知見にフォーカスしてご紹介します。

中身について知りたい人は、どこかでお会いした際にご質問いただければと!

▼ヒント(ヒントになってない)

🤔 ワークショップってなんですか?

”ワークショップ”という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、その特徴について明確にご存知の方はどれくらいいるでしょうか?

私も自らの言葉で語れるほどの人間ではないので、とても参考になる記事をリンクしておきます。

● ワークショップの4つの特徴

記事内ではワークショップの本質的特徴として以下の4つを挙げています。

ワークショップの4つのエッセンス(リンク記事を元に筆者にて図を作成)

(1)非日常性
参加者が日常では経験しないような、普段とは異なる視点や方法で取り組むテーマや活動を設定します。
(2)民主性
公的な権力を排除し、課題の関係者(ステークホルダー)や、場の参加者ひとりひとりの意見を尊重します。
(3)協同性
専門知識や能力の高い個人に頼ろうとするのではなく、多様な集団のコラボレーションから生まれる創造性を重視します。
(4)実験性
あらかじめ設計図や正解を用意するのではなく、場のプロセスを通して答えを探る姿勢を重視します。

引用:イノベーションになぜ「ワークショップ」が重宝されるのか:100年の歴史から紐解くエッセンス

単に付箋をペタペタやって参加者の意見を集めるのがワークショップなのではない、ということがわかりました。

● オフサイトなどの社内施策で用いるなら「共同性」が肝になりそう

この記事を読んだ上で、今回オーダーがあったテーマやシチュエーションが、ワークショップという形式に極めてフィットするな、という印象を持ちました。

なぜなら、

  • 普段の業務を離れ、まとまった時間が確保されている状況(非日常性)

  • カルチャーへの取り組みが経営のトップダウンで決めたものを浸透させるのではなく全メンバーで見つめ直すというスタンス(民主性)

  • 経営陣含めあらかじめ答えを知っているわけではないテーマに対して、全メンバーで力を合わせて良いアウトプットを出す場にしたいという前提(実験性)

があったからです。

4つのうち3つはシチュエーションが満たされていたので、プログラム設計においては、ひとりひとりの見解をただ集めるのではなく、相互作用によって良いアウトプットを生み出せるような「共同性」も担保される設計にすることを意識しました。

📝 ワークショップのプログラム設計、どうやった?

自己紹介では触れていませんでしたが、私は人事コンサルにいた経験もデザインファームにいた経験もないので、プロとしてワークショップ設計をしていたことはありません。

ということで、今回は関連する情報ソースを色々漁ったり試行錯誤しながら泥臭くプログラム設計をしていきました。正直かなりヘビーでした。

大いに参考にしたのが下記の書籍で、ちゃんと体系的にキャッチアップしたいと思われる方なら必読です。

書籍に書いていることをなぞっても仕方がないので、一個人の体験談として特に重要視した、あるいは苦戦したところについてご紹介してみようと思います。

● ポイント01. 課題設定を明確にしておく

まず苦戦したのがプログラム設計の足がかりを探すことで、何から手をつけたら良いのか・・・と思っていたのですが、課題設定の認識が自分の中でも感覚的で、具体的に言語化できていなかったことに気が付きました。

ワークショップを実施する背景にある根本の課題設定をきちんと押さえると、ワークショップ全体のゴール設定や、どのような体験を作りたいかを具体的にイメージできます。

自分自身、ここをフワッとしたまま進めていた時は何となくアイデアが芯をくってない感覚があり、また試行錯誤しているうちに企画の筋が元々の狙いからズレていくなど、いまいち上手く企画をブラッシュアップ出来ていない感覚でした。

特に経営や事業部リーダーなど他者からの依頼でワークショップを企画する場合、その背景にある課題感をしっかりキャッチアップしておくことが重要だと思います。

● ポイント02.無茶を言わない

社外含めワークショップに参加する機会はちょくちょくある中で、たまに遭遇するのが、「さあ、今から自由にカルチャーについての意見を話してください。さあどうぞ!」みたいな「それが全員できたら苦労しないわ!」というような振り出しが繰り出されるパターンです。

多くの人は何を喋っていいか分からず困ってしまい盛り上がらなかったり、当たり障りのない会話に終止してしまったり、あるいは議論が盛り上がったとしても企画者の狙いとはズレた展開になってしまうことも多いのではないでしょうか。

ワークショップデザインにおいては、参加者の創造性の発揮や参加者同士のアイデアのコラボレーションを参加者の素養に委ねず、それを生み出す仕掛けを企画者側で用意することこそが妙味だと感じました。

ということで、プログラムの設計では参加者全員がしっかりとワークショップのゴールに向かって登っていけるよう、その足場をかけていくようなコンテンツの構成をしていくことに気を配りました。

具体的には、ワークショップ全体で想定する参加者の体験をプロセスに分割して複数ワーク化する、という進め方です。実際には以下のような体験の設計を行いました。

ワークショップ全体の体験. 言語化されていないカルチャーを見つける

step 1. 価値観や行動を表すような一般的なワードから、「言語化されていないカルチャー」としてちょっとでもピンとくるものを選ぶ

step 2. ピンときたものの中から、特に強く「言語化されていないカルチャー」と言えそうなものを3つくらいに絞り込んでピックアップする

step 3. ピックアップしたワードに対して、それを選んだ理由や具体にイメージされるシチュエーションを補足コメントする

いかがでしょうか?「さあ、今から言語化されてないカルチャーを自由に考えてみてください!さあどうぞ!」と言われるよりは、だいぶ安心感が増した気がしませんか?

作成したワークシートのチラ見せ

実際参加者からも「やりやすかった」というようなコメントももらいました。よかった。

● ポイント03. 真の全員参加の場にする

全社系のグループワークを企画したり、あるいは参加したことがある方なら心当たりがあるかもしれませんが、グループでワークを行うと、参加者の取り組み方・熱量に濃淡がでることがあります。

その結果、発言量やアウトプット量にも差が生まれたりグループメンバーの一部が傍観者となってしまい、残りの数名の意見で大半が構成されるアウトプットになっている、なんてこともありえます。

ただこれは仕方がないことで、純粋にグループでの議論が得意/苦手という性質の違いによるところもありますし、また自分の意思で参加するような社外のイベントと違い元々温度感や前提の理解度に差あるケースもあります。

なので、プログラムの仕掛けで可能な限りこれをフォローすることを考えました。

具体的には、以下のようなポイントを押さえました。

  • 前提を揃えるためのインプットをきちんと行う

    • ワークの意図やワークのゴール設定、またこのワークのアウトプットがどのように活かされるのかなどをワーク前の導入として説明し、参加者全員で共有しました。

  • 個人ワーク  ペアワーク  グループ内共有というステップを踏む

    • 肝はペアワークで、1対1のコミュニケーションできちんと全員がアウトプットする機会が持てるということ、かつグループ内共有の時間で各自のアウトプットがグループ内に共有されることも担保しました。

    • ちなみにグループワークでは「”ペア相手”のアウトプット内容をグループにシェアする」という設計にすることで、真剣にペア相手の話を聞いておかないとヤバい仕組みにしたりもしました(ちょっと性格悪いですよね笑。ただ、お昼ごはん明けのワークだったので眠気覚ましには良いかなと思いまして)

  • 素直に「価値のある時間にしたいので、いい時間になるよう頑張ってほしい」とお願いする

    • 最後は力技な感じもありますが、ワークショップは参加者全員で答えを導き出す創発の場。どんなにプログラムが秀逸でも、参加者の態度1つでワークの成果は良くも悪くもなると思いました。

    • プログラムで担保できるところは担保しきったら、あとは参加者に覚悟感を持ってもらうようにストレートにお願いするのもありだと思います。

どストレートにお願いしている、の図


🎤 ワークショップのファシリテーション、どうやった?

プログラムが設計できたら、あとは当日です。

正直、プログラム設計が8割、みたいな感覚なので当日のファシリ―テーションについては情報が薄めですが、いくつかポイントをご紹介します。

● ポイント01. 時間配分は柔軟に変更していく

当日話し足りないのも、変に時間が余ってしまうのも体験としてイマイチです。

そこで、各ペアやグループの状況の様子をみながら声がけをして、必要に応じた時間延長などをしていきました。

そもそも今回はテストプレイ的な時間も取れず本当に設計通りの時間が適切なのかを測る術もなかったので、実際やってみて時間を調整することを前提としてスタート段階からワークショップに臨んでいた部分もあります。

プログラムデザイン側のポイントだったかもしれませんが、時間をガチガチに組むと想定外のことが起こったときに柔軟な対応が全くできなくなってしまうので、余裕をもったタイムラインの設計と、その場で都度時間配分を組み替えていくというファシリテーターの柔軟なスタンスはワークの成果を高める上でも重要ポイントかなと思います。

時間に余裕があると心理的にも落ち着くことができるので、柔軟な対応をしたり、そのための情報を得るために参加者それぞれの様子を細かく観察する心のゆとりも生まれます。

実際に私が実施した時も参加者を観察する余裕があったおかげで、「話が弾んでいるな」とか「話題がひと段落していそう」などタイムスケジュールの調整をかけるかどうかを判断するヒントを色々と見つけることができました。

● ポイント02. 楽しみ、楽しませる

プログラム設計と当日のファシリテーション両方にかかる話なのですが、便宜的にこちらに載せています。

途中までワークの骨子を真面目に作っていたのですが、なにかあと一歩届いていない感覚がありました。ワーク全体のまとまり感や、当日グルーヴ感を生み出せるような何かが足りない。

そこで、これまでと真逆に超ふざけて考えてみようとしてみたり、色々と視点や思考を変えて試行錯誤した結果、真面目なコンテンツを彩るように程よく遊び心や楽しさ要素が加わり、肩の力が抜けた良い雰囲気をまとったコンテンツにすることができました。

これは実施後の結果論なのですが、程よい遊び心やゆるさは場の雰囲気作りをする上でも非常に良い武器になってくれました。

ワークショップ当日も、遊び心あるコンテンツを笑顔でファシリテーションをしながら参加者もノリよく答えてくれる、そんな一体感が生まれ、結果としてワークへの没入感も促進してくれたのかなと思います。

ただ、ここらへんの塩梅は企画者の芸風次第なところもあると思います。私の場合はこれがハマった、という感じでした。

最終的にこんな仕上がりになりました。

🎀 ワークショップを通じて組織課題に向き合ってみて

企画は大変でしたが、ワーク後のアンケート内容をふまえると、参加者が楽しみながら同時に意義を感じられるような時間をつくることができたようで一安心しています。

また実際にワークショップを企画・運営してみて、改めてワークショップという手段の可能性の高さを感じました。

そこらへんを少し深堀りした振り返りは、先日出したnoteに書いてますので、よろしければぜひ!

ワークショップを有効に活用することができれば、組織が一丸となり一つの課題に向き合う濃密な時間を作り出すことができるなと実感しています。

今回苦労した部分も多かったですが、学びも大きかったです。今後もワークショップという手法も適宜活用しながら社内施策を推進していきたいなと思います。

💡さいごに

ここまでお読み頂きありがとうございました。

カミナシは良いカルチャーをこれまでに築き、そしてこれからもこういった時間を設けながら維持・醸成していきます。

そしてこれからのカミナシのカルチャーを共に作っていきたいという方を大募集中です!

もし少しでも興味のある方、ぜひMeetyやキャリアページなど覗いてみてくださいね!


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