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総勢100名規模のオンラインワークショップを運営成功するために工夫したポイント 〜「バリューを見つめ直す」がテーマの全社ワークショップ〜

こんにちは、カミナシHRの井上です。

今回は、社内ワークショップの企画・運営ネタを書いてみたいと思います。

カミナシではミッション・ビジョン・バリューに向き合う機会をさまざまなかたちで設けていますが、今回は「全社員でバリューに向き合う」というテーマのワークショップをオンライン形式で実施しました。
その企画実施に関する試行錯誤や、実施した学びについてご紹介したいと思います。

今回は特に、Zoomのブレイクアウトルーム機能を用いてグループワークを実施したり、グループごとにファシリテーターをアサインするなどといった、初めてやってみたこともありますので、そこらへんで気がついたことなどもまとめてみようと思います。

  • 企業でのオンラインワークショップの実践例について知りたい

  • オンラインでグループワークってできるの?

  • ファシリテーターってなんですか?

という方には特に参考にしていただける内容かと思いますので、ぜひご覧ください〜。

今回のワークの目的

はじめに前提情報として、今回のワークショップを実施した背景や目的について簡単にご説明します。

まず今回のメインテーマは「バリュー」でしたが、カミナシでは「バリューは不変ではなく、その時の組織状況や目標にあわせ、定期的にチューニングされるべきもの」という前提を持っています。

この考えを前提に、今のカミナシのバリューは2022年7月にアップデートされてから1年半ほど経過していることや当時から人数規模も事業環境も変化している状況をふまえて、「今のタイミングで一度見直しておきたいね」という話が諸岡をはじめ経営陣からあがりました。

現在のバリューたち

実際、経営陣の頭の中には、日々の業務や個別にメンバーと話す中で「バリューの解釈の幅が広がっているのではないか」「今のバリューではカバーできていない、必要な価値観や行動があるのではないか」という仮説もあり、それを確認しながら現状に即したバリューにチューニングしていこう!という流れです。

そしてバリュー見直しの過程で「全メンバーから今の解釈やバリューに対する意見・考えを吸い上げる」というプロセスを設けることになったのですが、そのプロセスこそが今回のワークショップにあたります。

つまりこのワークの目的は「今メンバーひとりひとりが持っているバリューに対する解釈を具体的に知る」ことと「メンバー一人ひとりが今のバリューに足りないと感じている要素を把握する」という2点になっています。

なぜワークショップという手法をとったか

ただ「メンバーの解釈や意見を知る」という目的だけ見ると、アンケートのような非同期の形式でもいけそうな気もしますよね。

確かに欲しい情報の性質によっては、そちらのほうがリーズナブルなこともあると思います。ただ今回のテーマであるバリューのような組織の価値観や組織文化というものは、必ずしも言語化され整理された状態でひとりひとりの中にあるわけではなく、言葉になっていないニュアンスレベルであったり、ある種身体的な感覚レベルで共有されているような性質のものかと思います。

そのようなものを、例えば一問一答のアンケート形式のようなかたちでストレートに聞かれたときに独力で言語化しアウトプットするのは結構きついというか、(できる人もいるかもしれないですが)全員から本来持っているものをしっかり引き出すことを目標にしたときにはベストな選択肢では無いんじゃないか、という印象がありました。

ということで、全員の持っている解釈や感覚を余すことなく知りにいく、という目的を考えると、ワークショップという形式で、プログラムデザインや参加者同士のコミュニケーションの力を思考の補助にしながら、ひとりひとりが解釈や感覚を段階的に言語化しアウトプットすることのできる場づくりを行うことが、目的に対してベストな打ち手だという結論になっています。

(ちなみに、代表の諸岡からは「これこれの理由でワークやりたい」という話を初手でもらっていたので、結果的にその通りの打ち手になっているという話なのですが、目的次第では「いや、それは●●●という手法のほうが良いです」というリアクションも全然ありえたというか、しっかりHRとしてのViewを持って判断することが重要だと思っています)

オンライン?オフライン?

最近はワークションもオンラインとオフライン両パターンを目にしますが、カミナシではこれまで全社規模でMVVに関するトピックを取り上げるのは半期に1度のAll Hnads Meeting(全社員総会)などの対面の場が多く、今回も対面の場という前提がなんとなく経営陣の中にありました。

しかし自分がオーダーをもらったときに諸々考えて「オンラインのほうが良くないですか?」と思い、それを提案し方向転換するに至りました。後述しますが、ワークの目的を考えると今回は必ずしも対面にこだわらなくてもよく、むしろオンライン実施のほうがメリットが大きいのではと整理できた、という感じです。

もともと対面を前提としたときには遠方在住者にとって移動が負担になるなど、対面でやることの論点というか懸念も出ていたこともあり「形式などチャレンジがいくつかありそうですが、そこも含めて挑戦してみる価値があるね!」と提案に対してポジティブにGoサインを出してくださった経営陣には頼もしさを感じました(ありがとうございます)。

ちなみにカミナシには、β版マインドという、不確実な状況の中での挑戦を後押ししてくれるバリューがあります。今回のシーンではこのバリューがまさに背中を押してくれたなと感じました。

背中を押してくれてありがとう

ちなみにオンラインのメリットとしては以下のような点と考えています。

  • 録画ができるので議論過程まで記録しやすく(※)、「今後、今回のワークのアウトプットを材料にバリュー検討をしていく」というプロセスを考えると、より多くの素材を残しておけるという点

  • 遠方在住メンバーの移動負荷などもかからない(半期に1回の対面の場であるAll Hnads Meetingとは別のタイミングで実施しているため)

  • 会場の空調(暑い寒い)の影響だったり、説明時の投影スライドが見えづらい、などといった物理面での影響をうけず、普段の自宅での業務環境と変わらない状態で参加できる点も実は大きい

※録画について
今回はグループごとにファシリテーターがついており、彼らに録画役も担っていただきました。ちなみにブレイクアウトルームの録画がMeetではできず、Zoomのみだったので、今回はZoomを用いてワーク実施しています

一方で、以下のことはトレードオフだと考えました。

  • オンラインだと、物理的に一堂に介するよりは全員で取り組んでいる雰囲気は感じづらいと思います。しかし、今回の目的が一体感の醸成が第一目的ではなかったので、問題ないと判断しました。

  • 似たような話で、外部会場を利用することによる「非日常感」の演出も実はワークの場づくりにおいては効果的な要素なのですが、今回はトレードオフとしました。

  • またワーク前後の余白の時間もなかったり、グループメンバーでの雑談や交流といった関係性構築の面では対面に及ばない性質もあるのですが、これも今回のワークの主目的ではないので、許容できるトレードオフと判断しました。

ワーク運営の工夫

コンテンツの詳細は文字数の関係で割愛せざるを得ないのですが、特徴としては、3-4名1グループのグループワークを主体にしたコンテンツになっており、ブレイクアウトルームの機能を用いながら実施する流れになっています。

そういった部分も含めて、今回いくつかワーク運営で意識したことや、工夫したことをご紹介します。

1.ファシリテーターをグループごとに配置した

最大の特徴というか工夫は、グループごとにファシリテーターをつけたところかなと思います。これまで何回か社内ワークショップをやっていますが、対面実施の場で、前方の壇上から全体の進行役がファシリテートするスタイルが基本で、各グループにファシリテーターをつけたことはありませんでした。

今回はオンラインでのグループワークなので、一人の進行役が壇上から各グループの様子を見る、というようなオフライン同様のフォローができません。それに対応するために、各グループのブレイクアウトルームにファシリテーターが入り、そこで細かいグループの様子の観察や、ディスカッションが円滑に進むようなフォローが行えるようにしました。

また、今回は経営陣とHRを中心にファシリテーターをお願いしましたが、当然ワークショップのファシリテーションの経験値の差もあり、また「ファシリテーション」というものの認識も一致していない可能性もあったので、実施前には簡単な「ファシリテーター’sガイド」なるものを作成し、ファシリテーションに関する目線を合わせたもしました。

内容は+ボタンで拡大して見ていただければと思いますが、こんな感じです(ほんとに簡単に作ったので、トンマナが雑・・・)

個別にレクチャーしている中で特に「そうだよね〜」というリアクションをもらったのが「うっかり輪に入りすぎない」というものでした笑(キャプチャ2枚目下部)。グループディスカッションが得意だったりする人がファシリテーターをする場合に陥りがちな罠なのかもしれないですね。

また、ワークの実感をもったうえでファシリテートできるよう、ワーク理解と事前のプログラムの検証を兼ねて、事前にファシリテーターチームが参加者となるテスト実施を行いました。

2. 進行表の作成など、ロジ周りは手厚く準備した(役割分担もした)

オンラインのワークショップの中でも、今回はブレイクアウトルームなども利用することから「表」で進行する担当と「裏」でブレイクアウトルームを設定したり、出欠確認を行う担当で分かれて運営することになりました。

つまりは複数名で運営するフォーメーションになっていたので、進行表などをある程度詳細に作り込み、認識共有をできるようにした。

ちなみに、今回HRメンバーに共同運営をお願いしたのですが、依頼が超直前になってしまった中で超絶円滑に役割を全ういただいたのでは本当にありがたかったです。この場を借りてお礼申し上げます。
(学び:運営フォーメーションの設計は早めにしよう!)

進行表の一部。タイムマネジメントしやすいように、進行のセリフなどもある程度詰めて、スライド単位で記載しています。その他、裏方担当の作業なども記載してます

3. ファシリテーター同士で裏でコミュニケーションをとれる場所(チャンネル)を用意

実は対面よりも、ファシリテーター同時の裏のコミュニケーションはオンラインのほうがやりやすい感覚があります。対面だとどうしても物理的な場の方に集中してしまって、同時にオンラインのチャットツールなどを期にするを忘れてしまいますが、オンラインの場合は、Zoomの画面の横にチャットをおいて横目で常に意識することができます。

今回については、トラブルシューティングはあまり発生しませんでしたが、ちょっとした進行時間の調整などをタイムリーに行えて有益でした。

実践してみての感想(感じている成果など)

今回、「一人ひとりのバリューに対する解釈や感覚を知る」という目的に沿って、ワークショップという形式を選択して実践しました。

その結果として、目的としたアウトプットを得ただけでなく、参加者同士のコミュニケーションを通じて解釈が深まったり、立場の違いによる解釈の違いを一人ひとりが実感することもできていそうだったのが感想コメントからも伺え、参加者個人にとっても意義を感じていただける場づくりをできていたのかな、と一安心しています。

また「人による解釈の違いがあることも分かって、このタイミングで見直す意義を感じた」といったコメントももらい、バリュー再点検の意義自体も感じてもらえる場づくりにもなっていたのかなと思っています。

他には、今回バリュー検討のコアメンバーが各グループにファシリテーターとして入ったことで、グループの議論の質も担保するだけでなくグループごとの議論過程からファシリテーター自身が示唆を得る部分も非常に多かったようです。これは今後のバリュー検討プロセスにおいても非常に意義があったと思います。

こぼれ話

ちなみに、本稿の中盤で「挑戦してみる価値がある、やってみよう!」と背中を押してくれた経営陣のβ版マインドな頼もしさに触れましたが、実は私個人としては結構自信がありました笑。
というのも、実は昨年夏ごろから約半年、青山学院大学が主催する『ワークショップデザイナー育成プログラム』というものを自腹で受講してまして、このプログラムの中でもオンラインワークショップ特化のコースを自分は選択していたので、結構運営のイメージができていた、という背景があったりします。

実際、今回受講後初めてガッツリとしたワークショップを設計しましたが、このコースでの学びや実践がかなり役に立ったという実感があるので、ワークショップデザインを体系的に学んでみたいぞ、という方には超絶オススメします。授業120時間+自主学習という時間をかける価値はあります。

さいごに

バリューの再点検においてこのワークショップははじめの一歩にすぎず、まだこれからが本番という状況です。このnoteの執筆時点も現在進行系で次のステップの進め方に思考を巡らせています。

今回はバリューの見直しプロセスにおける一部であるワークショップについて紹介しましたが、今後最終的に見直しが完了した際には、バリュー再点検のプロセス全体での学びなども発信できればと思います。

それでは!

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