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日本と違ってびっくりした働き方の違い 香港編

「日本の常識は、世界の非常識」なんてことも言われますが、もともと日本で就職して、典型的とも言える日本の組織の中で教育を受けてきたわたしは、それが普通と思っていました。きっと多くの方が自分の国を出るまで、今の常識を不思議に思うことなんてないでしょう。

香港に来る前には、オーストラリア。その後はバックパッカーとしてさまざまな国を見てきました。だから、香港に移住をしてもそんなに驚くことはないと思っていたけれど、やっぱり働き方の違いはあるもので、当たり前だけど、オーストラリアとは全然違ったし、同じアジア、同じ中国人でも出身によって違うのは正直びっくり。

今回は、香港での職場で感じた日本と香港での働き方の違いを書いていきます!


1、個人主義

すごく違いを感じたのは、日本人が「和」を優先するのに対して、香港人はあくまで「個人」を優先すること。また、自分の仕事に対してプライドを持ち、仕事の範囲内ではプロの働きをしますが、自分の仕事の範囲外のことは基本しません。

例えば、日本では当たり前にあった?事務所の掃除や上司のお茶汲みなどは、自分の仕事ではないので全くしないのが普通です。また、同じ部署内でも「困った時はお互い様」というような日本では当たり前のような助け合いもなく、特別な時や上司のどうしてもの指示以外はしません。

あくまでも、仕事をする上で大切なのは「会社」ではなく「自分の人生」「自分の生活」。香港人は「この会社は自分に合わない」と思えば、すぐに辞めて別の会社を探しますし、他の会社の方が条件がいいと思えば、すぐに他の会社へ移ります。その見切りのつけ方は日本人の転職活動とは比になりません。

2、就業時間は結構ルーズ


9時始業、18時終業の場合、日本人の一般的な感覚からすると、始業の少し前に出社して、就業時刻前には、仕事が開始できるように着席しているのが当たり前だと思います。

香港人の中にも早く出社して、仕事の準備をちゃんとして、1日に備えるというよなスタッフもいますが、それはかなり少数派。

多くの香港人スタッフは、始業のギリギリの時間に着席します。そして、そこから、お茶を準備したり、メールチェックをしながら、朝ごはんを食べ始め、ちゃんと仕事に向かい始めるのは、決まって始業時刻の20〜30分後というのは当たり前の風景というのも多いです。私がいたのは日系企業でしたが、それでもこの風景は普通でした。

3、服装はカジュアル寄り

近年、日本でもスマートカジュアルなどがもてはやされるようになりましたね。随分と働くスタイルも自由にカジュアルな傾向になったなと思います。
香港では、ホワイトカラーの職業で、エグゼクティブクラスの方、営業の方なら、ビシッとスーツを着こなしていますが、それ以外であれば、比較的カジュアルな傾向。

わたしも法人営業の時には、毎日、スーツやジャケットにワンピース、ハイヒールのスタイルで仕事をしていましたが、それ以前のマーチャンダイザー時代は、中国の地方の工場に行く機会も多かったし、キレイな格好をしていくと狙われるということで、カジュアルな格好で仕事をしていたものです。

4、転職は最大のキャリアアップの機会

転職を何度もしたことのある人が多いのが、香港人の特徴です。2、3年の間に新しい会社で自分のスキルや知識、経験を磨き、さらに自分を「高く買ってくれる」会社を求めてどんどん転職していきます。転職はキャリアアップの証と言わんばかりにプラスのイメージで捉えています。

日本では、今は少し減ったものの「転職を繰り返している人に対して、仕事が長続きしないのでは」というマイナスのイメージがありますが、香港では逆に、ひとつの会社に長くいる人は能力がないからそこにしがみついている、と思われます。

なので、経営者の目から見るとせっかく育った人材がいなくなるという悩みもよく聞かれました。

ちなみに履歴書にも堂々と書く転職歴

香港でも、ひとつの会社で継続的に働いているのは安定していいこと、という考え方はありますが、転職歴があるからといって、仕事ができないのではと思われることは少ないです。ただし、あまりにも転職ばかりしているのはもちろん考えものです。反対にあまりにも長い会社勤めをしている人は「「向上心」がない」ととられる時もしばしばあります。

日系企業で香港人スタッフを募集すると、転職歴のない履歴書を書いている人は、ほとんどいません。みな多かれ少なかれ複数の会社を経験しているのです。というわたしも香港では、3社の経験があります。

5、会社の飲み会はない

香港人は仕事上の付き合いでの飲み会というものがありません。上司に誘われて飲みに行くとか、取引先の人と飲みに行くとか、そういうことがまったくないわけではないけれど、ほとんどあありません。また、親しくなった仲での付き合いはありますが、建前で付き合うというのもないです。

そもそも、お酒を飲みながらコミュニケーションをして親しくなろうという考え方がなく、仕事の話は仕事の時間にというのが基本です。そもそも香港人、飲まない人が本当に多いですから……。

6、香港人はプライベート優先


香港人は、プライベートな時間、家族を大切にします。上司から残業を頼まれても「今日は両親の結婚記念日だからダメです」「今日は子供の友人たちがうちに来て食事をする約束があります」など、プライベートな理由を出して堂々と断ります。そして、これは、彼らにとって当然の権利です。

日本だと、プライベートな理由はなかなか口に出しにくいものですが、香港人はプライベートを優先することは当たり前だと考えています。そのため、上司も割とあっさり「そうなのか。じゃ、無理だな」などと言ってくれます。

7、オフィスは冷蔵庫並みの寒さ

夏の冷房の室内気温設定も日本人の標準よりは、かなり低いです。夏は15〜18度の設定をしつつ、上着をしっかりと着ています。暑がりの人が外出から帰社すると、一気に12度くらいまで下げる人もいて、オフィス内の温度設定をめぐって、イタチごっこな戦いを繰り広げたことも多々あるわたしです。

また、これが日本人的にはびっくりだったのですが、冬場であっても冷房が付いています。冬はオフィスで薄手のダウンジャケットやフリーズを来たりしているのです。誰かが、冷房を止めても「誰が消したの??冷房が付いていないと死にそう」「冷房が付いてないと空気が止まって気持ち悪い」とすぐにつける派が大多数。「空気清浄機じゃないからそれは関係ないよ。」と伝えても、夏冬関係なく、冷房は彼らにとって必須なものです。

8、デスクはプライベート空間


日本の会社では、デスクに個人的な物を置く人はそんなにいないと思います。(引き出しには、お菓子や多少のプライベートなものもありますけどね)

香港は、世界一高いと言われた土地や建物が密集していることもあり、狭い空間を大切に扱っているような印象があります。また、かつてイギリスの植民地だった背景も影響しているのでしょうか、現地スタッフはデスクの上に家族写真やお気に入りの雑貨やキャラクターものの人形、小さな観葉植物まで置いて、完全にプライベートエリア化しています。

9、有休消化はマスト

香港では「有給休暇は消化して当たり前」という考え方が非常に一般的です。また、有給休暇の消費がきちんとできていない会社は、その分を精算して、社員に支払う義務があるので、会社も有給休暇を消費してもらう方がありがたいのです。

一応他人とかぶらないように配慮はしますが、有休を取ること自体に気を使うという文化はありません。「ちなみに有休と公休を使って、いかに長期的にホリデーを取るか!どこにチャンスがあるか?」そんな情報も年末になると出てくる香港です。

日本では有給休暇があっても消化がなかなかできない状況がありますが、長年そのような環境で働いてきたので、もともと消化できないものをぶら下げているブラックな環境という印象を受けてしまいます。

10、世界一優秀と思うビジネスパーソンで溢れる街


時間が多少ルーズな面があったり、始業時間が朝ごはんで始まるなんていう日本ではあまり考えられない慣習がある香港。だからと言って、彼らは仕事ができないのでしょうか?

いいえ!

多くの香港人と一緒に働いてきましたが、香港人の仕事の効率の良さ、ビジネスセンス、そして、2ヶ国語、3ヶ国語はできて当たり前の環境の中での仕事の効率、センスは、世界でもかなり優秀だと思います。アジアの金融都市とも言われ、世界中から人々が集まってきた香港の中で育まれたインターナショナルなビジネススキルとビジネスのスピード感が素晴らしいと思うスタッフは本当に多くいました。

日本はもっと世界的に通用するスタンダートに立たないと、グローバルなビジネス環境の中では置いてけぼりになると危機感を常に感じていたのは、正直なところ多いにあります。

香港は、現在、さまざまな社会環境の変化があり、多くの香港人が世界中に散らばりましたが、今も香港人の優秀さは抜きに出ていると思っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

日本とは違うなと感じる部分は結構あったのではないでしょうか?いい悪いではなく、これが彼らにとっては、意外な標準であり、働き方です。もちろん、会社によって文化が違うことはありますが、傾向としては多いにあるものです。

こんな働き方なんだなとイメージしてもらうことで、香港で働く方も、香港とビジネスをしているからにも少しでもお役に立てたら嬉しいです。

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