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仕事力アップ!地方公務員が身につけたいこと:スーパーマーケットで学ぶ「ニーズの多様性」と「政策パッケージ」

 スーパーマーケットは私たちの日常生活に欠かすことのできない場所です。私も家族とともに頻繁に行き、食料や日用品などを購入しています。家で料理をすることがないため(決して褒められたものではありませんが…)、自分が食べたいものを中心に見ています。また、ショッピングモールに行けばスーパーマーケットだけでなく書店や家電量販店、専門店などもあるので、そうした店を見て回るのも楽しいです。

 地方公務員にとって、スーパーマーケットは基本的にプライベートの活動の場です(以前、織田裕二主演の映画「県庁の星」では、県庁のエリート職員が寂れたスーパーマーケットに派遣されていましたが、ごくまれなケースでしょう)。しかし、スーパーマーケットには、地方公務員の仕事に大きなヒントとなるものもたくさんあるように思います。それは、品揃えと配置から分かる「ニーズの多様性」と「政策パッケージ」です。

 スーパーマーケットに行くと、多くの品物が整然と並んでいます。私たちはその中からごく一部を選び、購入しています。毎回購入するものもあれば、いつも見ることさえしないものもあるでしょう。個人にとっては、スーパーマーケットには買いたい商品さえあれば良いのでそれで構わないのですが、自分が買わない商品でもそこに置いてあるのならば、誰かが買う可能性が高いことになります。つまり、ニーズがあるわけです。

 例えば、牛乳や卵でも、激安のものから高級なものまであり、価格も数倍の差があります。とても高い牛乳を見て「こんなもの誰が買うのか?」と思うかもしれませんが、他に買っている人がいるから置いてあるわけです。お肉でも、特売品から海外産の格安のもの、さらには国産のブランド肉まで多様で、小さなパックでも数千円の値札が付いている場合があります。野菜や魚も同じです。これも「こんなに高いものを平気で買う人もいるんだな」と思いつつ、自分は手が伸びないだけなのです。

 このように、スーパーマーケットは自分が買わない商品でも誰かが買うものが置いてあるので、それに注意を向けることで「住民ニーズの多様性」を理解できるチャンスになると思います。「どんな人が高級な肉を買うのだろう」「これで何を作るのかな?」など、想像を巡らせることによって、行政サービスにもどんなものが求められているのか、応用問題として考えることができます。

 また、スーパーマーケットと一口に言っても、大きさも特徴もいろいろあります。そして、私たちはいくつものスーパーマーケットを使い分けています。1つのスーパーマーケットの品揃えだけでなく、複数のスーパーマーケットを比較してみることも、ニーズの多様性に対する理解がさらに深まるのではないかと思います。

 次に、「政策パッケージ」です。私たちはスーパーマーケットで売られている商品を、さまざまな形で調理し、お皿に並べることで食事を取ります。同じ肉でも調理方法や食材の組み合わせによってメニューは大きく変わります。お肉コーナーで買った肉と、野菜コーナーで買った野菜が、それぞれ調理され、1つの皿に盛られて、美味しい食事ができるのです。これは何となく、縦割り組織(お肉コーナー、野菜コーナー)によるサービスを組み合わせて住民や企業が受けることで、生活の豊かさ(美味しい食事)がもたらされることと似ているように思います。つまり、個々の部署単位ではなく、パッケージとして政策を捉えることが大切なのです。

 スーパーマーケットに行くと、少し分かりやすい例があります。お肉コーナーの近くに焼肉のタレとか鍋スープの素が置かれていたり、野菜コーナーの近くにドレッシングが置かれていることがあります。これは、まさにパッケージを分かりやすく見せる工夫でしょう。もちろんパッケージも無限と言えるほど多くありますから、すべてのパッケージを見せることはできません(かえって雑然としたものになってしまいます)。一部の商品だけでもパッケージとして見せることで、それぞれの商品をどのようなパッケージとして買ってほしいか、垣間見ることができます。

 地方公務員が進める政策も、パッケージとして提示することが求められています。子育て支援は、保育園の拡充から医療費支援、さらには不登校対策や公園の整備など、さまざまな部署が大なり小なり関わる形になります。縦割り組織ではなかなか想像はつかないかもしれませんが、スーパーマーケットの商品の並べ方、特に分野の異なる商品が近くにあった場合、それがどんなパッケージとして想定されているのかを考えてみると、地方公務員の仕事にも活かせるでしょう。

 行き慣れているスーパーマーケットにも、こうした目線で改めて見てみると、大きな発見があるかもしれません。

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