2022年の人事院勧告の注目ポイントについて

    今年の人事院勧告が発表され、予想どおり公務員の給与とボーナスの引き上げが勧告されました。ここ最近は新型コロナに翻弄され、給与やボーナスだけでなく働き方にも大きな変化が出てきましたが、今回は久しぶりの引き上げとなったことで注目度も高かったように思います。今回は国の取り組みですが、人事院勧告は多くの地方公務員にも波及してくるので、取り上げたいと思います。
    勧告の具体的な内容として、給与水準の引き上げが0.23%、特に初任給(大卒総合職・一般職3000円、高卒一般職4000円)と若手職員の引き上げが示されました。最近の人事院勧告はこうした傾向が続いているので、今回も同様の方向性です。公務員試験の倍率低下など人手不足が進んでいることから、若年層に手厚い給与水準の達成を少しずつ進めていることになります。そうすると、逆にベテラン層の給与水準にしわ寄せが出てきますが、60歳から65歳への定年延長に対応するために人件費の膨張を避け、スムーズな延長を図ろうと給与水準にも切り込んでいる、という側面もあるように思います。私もすでに定年を見据える年齢を迎えましたが、若手職員への期待を込めて給与引き上げを手厚くすることには賛成の気持ちです。
    次に、ボーナスは0.1か月引き上げとなります。給与と同じく引き上げですが、こちらはベテランの方が基本給が高くなるので増額の幅も大きくなります。0.1という数字は小さいですが、金額は数万円にはなるので、実感としては大きなものとなるでしょう。
    さて、人事院勧告は公務員の給与やボーナスだけを決めるものではありません。あまり報道されませんが、公務員の働き方などにも及んでいます。
   今回の勧告には、テレワーク手当の導入検討が書かれています。実は、昨年の勧告にも入っていたのですが、前回からあまり進展していないような雰囲気です。すでに活動自粛などもなくなり、テレワークも一時的な盛り上がりの後は縮小傾向にあるようです。かつてはテレワークを推進するため公務員が率先するようなことも提唱されましたが、今はコロナ禍よりもフレックスタイムなど働き方の見直しと組み合わせて進めていくような形になっているように思います。もちろん新型コロナは早く収束して日常を取り戻したいものですが、公務員の働き方改革には時間を要すると思われるので、その間にテレワークの機運が大きく低下して取り組みまで収束してしまわないか、懸念されます。
    一方、テレワーク手当の導入は、民間企業では通勤手当の見直しとともに進められているようです。しかし、鉄道会社も新型コロナの影響で乗客の減少に見舞われました。今後、時間帯に応じて運賃を変動させる「ダイナミック・プライシング」の導入なども予想されます。具体的な内容はしばらく先になるかもしれませんが、テレワークやフレックスタイムの導入によって通勤手当がどうなるのかも、注目されるところです。

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