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猪にバレた罠の取り扱い法

いよいよ罠猟デビューした夫。さっそく山で、お手製のくくり罠を仕掛けることにしたのだが、師匠がいない我々は、勉強不足で罠を仕掛けてしまった事に翌日気づいた。



猪に嘲笑られる

我々が罠を仕掛けた場所は、猪の足跡、泥のすり跡、獣道、寝床、ヌタ場。これでもかというほど、猪の痕跡が残っていた。だから、絶対にポイントとして間違ってはいなかった。

ところが、私たちは大きな過ちを犯していた事に気づいた。なぜ、ミスに気付いたかというと、ヌタ場で、前日は無かったはずの、とてもくつろいだ跡があったのだ。

さらに、仕掛けた罠の直前まで来ておきながら、その道を避けるかのように、1本道であるはずの獣道から、途端に横の歩きにくいであろう草むらへと逸れた足跡があったのである。

もうそれは、初心者の我々を嘲笑うかのような足跡だった。

猪の嗅覚は犬並み

当然、仕掛けた罠は落ち葉で隠した。ワイヤー部分もきちんと隠し、一見すると、どこに罠を仕掛けたのか自分たちでもわからなくなる程だ。しかし、なぜバレたのか?原因を考えてすぐ、予習で勉強した事を思い出した。

「猪の嗅覚は人間の6000倍」
どこかのサイトで見たこの数字。わかりやすいようでわからない。
でも、とにかく猪は匂いに敏感なのだと思わせるには、十分すぎる数字である。タウリン2000mgくらいインパクトがある。ただ、もう少しわかりやすく言うと”犬並みの嗅覚”だそうだ。

猪は犬並みに匂いに敏感なわけで、デビューしたての我々は、新品の真新しい罠をそのまま仕掛けてしまったのだ。あちらにしてみれば「あーはいはい罠ですね。ここに罠ありますね。気を付けてくださーい。皆さん通らないでくださーい。こっち避けますよー」くらいのものだろう。

猟師の間では常識だが、猪は割とかしこい。罠を解除して餌を食べる猪、お弁当箱をポイっと掘り起こしてしまう猪がザラにいるというのだ。

話には聞いていた我々だが、実践初日には、ワイヤーの金属、お弁当箱と呼ばれるプラスチックの踏み台、着ている洋服の柔軟剤。全てにおいて猪にバレそうな香りを充満させたまま、罠を仕掛けてしまったのだ。

こうして記事に書いて振り返るだけで、素人丸出しすぎるミスを犯しているので、実にお粗末なデビュー戦だったと思う。

人間の匂いを消す

こうして、出猟2日目にして早速作戦を変えることになる。猪にバレないよう「匂い対策」を取ることにした。

まず、人間の匂いを消すために、衣類の柔軟剤の使用をやめた。やめてみると、なぜ柔軟剤を使っていたのだろう?と思うほど必要がないと感じた。

田舎暮らしになってから、水の質が変わったので、柔軟剤がなくても、タオルがバリバリになることはなかった。香水のような華やかな香りも、森にいる我々には必要なかった。

さすがに洗剤を使わないと汚れが落ちにくいので、アタックの無香料はセーフにした。

そして、これはマタギの本に書いてあった事から、触発された夫がやりだしたのだが、山に行く前に「湯あみ」を行った。

お湯シャワーを浴び、余計な人間の匂いを消したのだ。だが、こちらは当初のみで、気づいたら面倒くさくてやめていたので、効果の有無はよくわからない。

罠の匂い対策

猪を捕まえるために、最も大事なのは、罠の匂い対策だと思った。金属やプラスチック臭は、森の中では違和感になる気がする。実際、何度か仕掛けた罠周辺に、猪が来た痕跡を経験したのだが、バレてしまうことが何度かあった。そのため、猪の嗅覚スゴイ説は信じており、できるだけ入念に対策を心がけている。

まず、真新しい罠は、真水で洗って新品の香りを消す。そのあと、お弁当箱には、軽くヌタ場の泥を付けて馴染ませる。持ち運びの際も素手で触れず、きちんと手袋を装着した。

ちなみに、手袋は使い捨てタイプの調理用を使っているのだが、天然ゴム製は思いの外ゴム臭いのでオススメしない。

猪どころか、人間にもバレバレのゴム臭を漂わせることになる。100枚入の天然ゴム手袋を我が家では、使い道もなく余らせている。


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