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34日目:「マイケル・ポーター」とは私が泣いた経営戦略本の著者(100日目に40歳になる猪瀬)

大学で経済学を専攻していたり、社会人になって5年目くらいには遭遇するであろう経営戦略の巨人マイケル・ポーター。

彼の著書である「競争の戦略」と「競争優位の戦略」が経済や経営者に与えた影響は大きく、製造業が主体だった時代に書かれた本であるもののその考え方は応用できるので、経営戦略の古典としていまなお生きている。

我が子が大きくなって一緒に読みたい本を選ぶとしたらこの2冊は必ずノミネートしたい。この本に書かれていることは次の時代に備えるための前提にできると思っているので早いうちに知っておくに越したことはない。

我が子にお勧めするくらいなのでボロボロになるくらい日頃から参考にしている。なぜそこまでこの本を参照するのかというと、書かれていることは理解できても、いざ自分の事業に当てはめて実行しようとすると骨が折れるからだ。

この本はすべからく競争環境を前提として書かれているので、自分の生き方、企業の生き方に競争を望むか望まないかはできるだけ自ら選択するといい。競争が前提となっているように感じるのはそれしか知らないだけで、異なる社会形態、異なる文化はあるのだから。

ただ、望むもしくは望まないにも関わらず、もし競争の環境に身を置くことになるのであればこの本はぜひ一度は手にとって欲しい。

混沌とした世界をこれだけで鮮明に見渡すことはできないが、少なくともどうしたら自分を見失わずに済むのかそのヒントにはなる。


① 「マイケル・ポーター」 とは(辞典で意味を確認)

辞書で調べてももちろん非掲載。

マイケル・ポーター
 N/A
 出典 :『新明解国語辞典(第8版)』(2020)三省堂

 N/A
 出典 :『現代国語例解辞典(第5版)』(2016)小学館

ということでwikiを覗いてみよう。

上記、Wikipediaより抜粋
<略歴>

1947年5月23日生まれ。1971年、ハーバード大学にて経営学修士号(Master of Business Administration)を取得、1973年には同学大学院にて経済学博士号(Ph.D. in Business Economics)を授与されると1982年に同学史上最年少の正教授となる。

<著書>
・Competitive strategy: techniques for analyzing industries and competitors, Free Press, 1980.

・Competitive advantage: creating and sustaining superior performance, Free Press, 1985.

どんな努力を積み重ねてきたのかわからない、輝かしい経歴というのはこういうことに違いない。

1980年に33歳で経営戦略の古典的バイブルともいえる「競争の戦略」を書き上げ、きっとその功績で1982年に正教授となり、1985年には「競争優位の戦略」を出している。この勢いは本当に圧巻だ。

戦略というと殺伐とした印象を受けるかも知れないが、いかに高業績を持続させるかという目的を実現するという点においてマイケル・ポーターの愛すら感じる2冊だ。だからこそ多くの経営者にも支持されるのだろう。

そして、2011年に彼はCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)という概念を提唱して企業が経済と社会を繋ぐ架け橋になることを言及しているのは、昨今、急速に企業でも取り組みが加速しつつあるSDGsにも繋がる。だからこそ彼の主張の変遷を理解するにもこの2冊から始めるのがいい。

そういえば、「古典」という言葉だけでみると私は古事記のような1000年以上も前の古い書物を連想するし、少なくとも数百年は経過していていそうな雰囲気さを纏っている印象を持つ。にも関わらず、40年前の本に古典という言葉を充てても違和感を感じなかったので、ビジネスの変化の速さをここでも感じざるを得ない。


② 私の釈義

マイケル・ポーターとは私が泣いた経営戦略本の著者

本を読むとき、特にビジネス書においては知行合一を意識している。なんのために学ぶのかといったら自分の生きがいであるところの仕事において、より社会に貢献したいからだ。そのためには知識を得るだけではなく、知り得た情報の実践が必要になる。しかも、いまは情報が溢れていて誰でも入手できるので、知っているだけでは勝ちにくくなっていく。だからこそ今後は知った上で行動できる人がより強くなるはずなのだ。

理想と現実の間には往々にして大きな隔たりがあるものだが、知識と現実にも気づきにくいギャップがある。私がなりたいのは実務家であり夢想家ではないので速やかに実行に移して社会からの反応を確認したいし、そこで掴んだ自分しか知らない手応えはきっと将来の自分や社会にとって宝石になりえると信じている。知行合一は私にとってモットーみたいなものだった。

いまから6年前の2015年、社会人としては遅ればせながらはじめて「競争の戦略」と「競争優位の戦略」を手にとったとき、実感があまりわかなかった。知識としてはわかるがいま自分が置かれている環境への応用ができなかった。素直に白状しよう、知行合一を掲げておきながらこのとき私は挫折した。とはいえ、完全に諦めたわけではなく再起を図った。

2016年にグロービスに通い、2017年に事業の中核を担い、そして2018年にその時が来た。捲土重来、満を持して挑んだ。すると不思議なことが起こった。それまで知識としてしか理解していなかったことが、経験した自分の経験や意思決定とすんなりと結びつき、知識としてではなく具体的な事象と紐づいて明確にわかったのだ。

そして、自分が日頃から悩んでいたことを解決する糸口は最初からそこに書かれていた。それに気づくまで3年かかった。そして泣いた。

「37歳、経営本で男泣き」 今さっき、古典であるマイケル・ポーター「競争優位の戦略」を電車の中で読んでたら、感動して涙溢れる。なんだこれはw

Posted by 猪瀬 昌彰 on Friday, October 26, 2018

この本が存在していなかったら、彼がこの本を書き上げることを投げ出していたら、私はまだ暗中模索していただろう。この日のこの涙は彼への感謝と私の中でカタルシスが起こった証だった。そして新しい一歩を踏み出す記念すべき日になった。

そしてこの後すぐ、実務への適用に四苦八苦して二度目の泣きをみた。マイケル・ポーターの本は二度泣くのだ。


・経営戦略の泣き本<その1>

・経営戦略の泣き本<その2>

■ 作品の目次はこちら


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