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35日目:「好き」とは世界を変える力(100日目に40歳になる猪瀬)

ここ数年で、自分が好きなものを素直に好きと発信することの難易度が一段と上がっているのを感じる。自分が発言した内容はどんなものであれ勝手にその人の評判と結びつきやすく、意図せずその発言の責任も増しているようにみえる。

私が好きなものを嫌いという人はいるし、私が嫌いなものを好きという人はもちろんいる。そしてどちらでもよい、そんなことには興味がないという人もいる。好み自体は個人の価値観によるので、自分と異なる意見を持つことには良いも悪いもないものだ。

しかし、SNSなどで気軽に他人の意見が閲覧できる場では、発信者へのリスペクトよりも先に発言に目が向くのでそういった価値観の対立が起きやすい。

世の中には自分と同じ考えだけの人がいるわけではない。頭ではそのことを当然のようにわかっていても感情をコントロールするのには苦心する。

SNSで同じ価値観の人達と繋がり、情報交換をしながら自分の知見を高めていこうとすると、そうではない人たちの視線にさらされるリスクが常にあるのだから本名ではなくニックネームを使わなければ自分の好きを全力で発信しずらいのも頷ける。

人と人、人と情報が繋がることでいろいろな出会いや知見を容易に手に入れられるようになった反面、本来繋がらなくてもよかったものが繋がりすぎた。

そんな状況にあるからこそ、我が子にはもし心から好きなものに出会ったなら臆すことなく本名でもニックネームでもいいので胸を張って好きと大声で叫んでもらいたい。


① 「好き」 とは(辞典で意味を確認)

好き(すき)
 ①自分の感覚や感情に合うものとして心が引きつけられ、積極的に受け入れよう(接し続けよう)とする気持ちにさせられる様子だ。
 ②他から束縛などを受けることなく、意の赴くままに行動する(ことが容認される)様子だ。
 ③物好きな様子。特に、好色な様子を指す。
 出典 :『新明解国語辞典(第8版)』(2020)三省堂

 ①物事を愛好する気持ち。心がひかれること。気に入ること。
 ②物好きなこと。また、色事を好むさま。
 ③自分の思うままに振る舞うこと。好き勝手。
 ④それに好かれる様を表す。
 出典 :『現代国語例解辞典(第5版)』(2016)小学館

新明解国語辞典の人格が変わったようにみえる(笑)。よほど「好き」に想い入れがあるのか、丁寧に括弧による説明も交えながら言葉も多く語り、語尾が「だ」っている。

それに比べて現代国語例解辞典はクールだ、淡々と己の責務をこなしている。もしかすると本当は興味があるのに体裁を気にしてそれを表出できないでいるのかいないのか……この二つの違いは面白い。


② 私の釈義

好きとは世界を変える力

モノやサービスが溢れている現代に残されたフロンティアは宇宙か人体か心の中にある価値観だ。

だからこそ、誰よりも深くその好きを愛して、誰よりも早くその良さをサービスやコンテンツとして発信することが、次の新しい価値観で包まれた世界を生み出すと私は考えている。

自分の好きなことを相手が理解してくれないからといって、わざわざ批判をしなくてもいい。価値観の違いを埋めるのは一朝一夕では難しく、それこそ140文字の言葉では焼け石に水だ。

そんな時は、北風と太陽の童話に出てくる太陽が旅人に自らの意志で服を脱いでもらったように、これまでの価値観を自ら脱ぎ捨てて飛び込んできたくなるような世界を見せてあげよう。そして好きと言ってくれる仲間を増やそう。

君の好きに共感してくれる仲間は必ずいる。そして少なくとも私は最初の共感者になり得るのだから安心して飛び込んで欲しい。私は君の好きが新しい世界を彫刻していくと信じている。


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