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【それぞれの一歩 #3】有限会社わくわくの中山さん、「実現には地道な積み重ね」

皆さん、こんにちは。
イノピー広報の岡川です。

本投稿は、8/6におこなわれた第3回イノピー座談会のイベントレポートになります。

ゲスト紹介

今回のゲストは、有限会社わくわくの代表取締役であり、理学療法士の中山 陽平 氏(以下、中山さん)です!

まずは、中山さんが代表取締役を務めるわくわくについてご紹介します。

わくわくは長野県飯田市にある会社です。
中山さん、そしてわくわくといえば介護付き旅行(ユニバーサルツーリズム)ですよね。
九州や関東圏の方からも利用されることがあるようです。

そんなわくわくですが、介護付き旅行だけの会社ではありません!
デイサービスや居宅の事業所、訪問看護・リハ、外出支援、訪問美容など、地域における役割は多岐に渡っています。

ここからは、中山さんがなぜ地域で様々な事業を展開しているのか?そのきっかけになる話と、事業として成立させるポイントをご紹介していきます。

きっかけはやはり課題感

まず、なぜ中山さんが地域で事業展開をするようになったのか?

きっかけは中山さんが病院勤務時代に抱いた疑問がきっかけでした。

「リハビリが終わった後、思ってたような生活ができてる?そんな町になってる?」

中山さんはそれを肌感覚で感じようと行動します。

・車いすユーザーのふりをして街を移動する。
・片麻痺の人と飲みにいく。

まず、車いすユーザーのフリをして街中を移動すると、歩道が坂になっていたり、ガタガタしていることに気がつきます。
「自分たち(健常者)にとって暮らしやすいだけで、障害があれば暮らしにくい」街であることを痛感したようです。

さらに病院を退職し、デイサービスで働いている頃、脳梗塞の後遺症で片麻痺となった利用者さんと飲みにいくことになった中山さん。

すると、お酒を飲む前は歩けていた片麻痺の方が、酔っ払って歩けなくなってしまい、トイレにも行けなくなってしまいました。

それを見て中山さんは、

「そこまで見れていなかった。つまりこの人はお店では1人でお酒を飲めない」

と悔し涙を流したと言います。

利用者さんのために泣けるって、なんてアツい方なんでしょう(泣)

この2件の経験から外出支援のサービスへと繋がります。
やはりきっかけは課題感の気づきでしたね。

病院や保険内のリハビリだけではどうにもできないものが、ひとの暮らしの中には存在している。

疑問を感じなければ得ることができなかった気づきだと思います。
もちろん、そのための行動力も凄まじいです。

私も、そして皆さんも日常の何気ない風景を改めて評価してみましょう。
サービスが行き届いていない場面が隠れているかもしれません。

ちなみに介護付き旅行で、最も理学療法士の専門性が発揮される場面は、片麻痺の方の大浴場での入浴介助だと中山さんは言います。

理由は、旅行に行くとせっかくだから大浴場の温泉に入りたいという方が多く、それは片麻痺の方も同様だから。
大浴場に入る時はもちろん靴も装具も外します。最近はお風呂用の杖や手すりがある浴場も多いですが、濡れた床を普段装具をつけている方が裸足で歩くのはかなりの難易度です。
その場面の歩行介助ができるのは、介護職は難しく、疾患や運動学の知識のある理学療法士ならではだと。
うん、やったことないけど、確かにそんな気がしますね。

また、これを聞いた学生の参加者の方が、

「スーパー銭湯でバイトしている理学療法学生の後輩がいるので、そいつに言ってそういう取り組みができるかやってみます」

と言ってたのが、イノピーのすごいところ!

こういうアイデアがバンバン湧き上がってくるって最高だなって感じました!

結局“ひと”としか繋がらない

どんな優れたサービスも知られなければ意味がない。
必要としている人に届かなければ意味がない。

なので中山さんは、外出支援や介護付き旅行を始めた際、新聞社に連絡を取って“取材に来てもらっていた”ようです。

私のイメージでは、何か目新しい取り組みをしていると、それを嗅ぎ付けた新聞社が“取材に来る”というイメージだったのですが、少し違ったようです。

新聞記者には、「いい記事を書きたい。自分の記事で社会を良くしたい」と思っているけどネタに困っている人もいる。

こちらはサービスを知ってもらいたい。

ここは利害関係が一致するわけです。そうなると良いビジネスパートナーになりますね。

また、それは他の業界でも同じです。
わくわくは昼神観光局とタッグを組んで、“日本一の星空”をより多くの方へ届けるお手伝いをしています。

昼神観光局は「より多くの方に来てもらいたい」と思っている。

わくわくは「障害があっても、旅行や楽しみを諦めないでほしい」と思っている。

ここも利害関係が一致します。

このように、自分たちの目標や理念を達成するためには多くの組織を巻き込んだ方が実現できたりするものです。

何か事業や取り組みを前に進めたい時、どこかと組んでやっていきたい時に意識した方が良いことを中山さんは教えてくれました。

繋がるのは“組織”ではなく“ひと(キーマン)”である。

組織と繋がろうとしても相手がぼんやりしていてなかなか話が前に進まないということがありますよね?

組織は“ひと”の集団ですから、“誰と”一緒にやっていくのか、を意識した方が良いということ。

中山さんいわく、その“ひと(キーマン)”の特徴は、

・熱量がある
・課題に気づき悶々としている
・話が好き

簡単にいうと“変態”だそうです(もちろん良い意味で)。

今、現状に悶々としている人がいるならば、少し周りを見渡してみましょう。
ひょっとすると、同じように課題感を持って悶々としている人がいるかもしれません。

また、異分野との交流を持ってみるのも良いでしょう。
利害関係が一致すると、良きビジネスパートナーになるかもしれませんね。


まとめ

今回は、介護付き旅行をはじめ、長野県で地域の介護・福祉に携わっている有限会社わくわくの中山さんにお話をうかがいました。

課題感に気づくためのアンテナ、そして行動力。
すごいけれど特別なことではない。

自分たちの想いを実現するには、気づき、学び、行動を地道に積み重ねるしかないのだと、中山さんのお話から学ぶことができました。

良い意味の変態を探すコツも教えていただき、ありがとうございました(笑)


この記事を書いた人
岡川 修士  理学療法士
【結局“ひと”としか繋がらない】の章の最後の方の文章、急に星占いの解説っぽくなってしまい、すいませんでした。


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