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『ネコはここまで考えている:動物心理学から読み解く心の進化』比較認知科の学術書
タイトルから類推した内容とは違う学術書である。さまざまな動物の認知能力を研究し、ヒトの認知能力を研究する学問として、比較認知科学がある。それによると、思考に必ずしも言語は必要ではないという。つまり、思考という機能に対し、AIとまったく逆のアプローチをしているということになる。
動物の思考研究には、3つの推論能力を関する研究が多いという。
1)因果推論
動物が原因と結果について論理的な関係性を見出す推論。例えば、捕食者の足跡から捕食者を推論したり、道具を操ると何が起こるかを推論したりする。
2)推移的推論
いくつかの前提条件から論理的に結論を導き出す能力。多くの固体と共同生活する種には優れた推移的推論能力がある。未知の固体Aと未知の固体Bが交流し、A画が優位で、次に、自分より優位である既知の固体CとBが交流し、Bが優位なことを観察すると、被検体は固体Bに服従行動を示す。
3)排他推論
不正解の選択肢の手がかりから、排他的に正解を導き出す推論。
本書では、これらの3つの推論能力を測る従来の実験には、ヒトの認知能力と比較する視点がかけているなどの問題点を指摘し、各実験がはじまる。その実験とは次の3つだ。
・ネコはどこまで物理法則を理解しているのか
・ネコは声から顔を思い浮かべるのか
・ネコはどこに何がを思い出せるのか
しかし、各実験の前に、 1)2)3)との比較認知科学的な位置づけなどがないので、素人からすると読み物としてのストーリーがつかみにくい。最初からヒトとの比較だけの方が頭には入りやすい。
家庭ネコは同居ネコの名前を聞いて、心のなかでその顔を思い描けるというような実験から導き出された結論は、すでに体験的にわかっていることなので、学問的な意味はあったとしても、驚きにはならない。要するに、学術書なのである。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。