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『新 失敗学 正解をつくる技術』前著ほど、再現性がない内容(失敗研究)

 以前に、畑村洋太郎氏の前著『失敗学のすすめ』を読んで、次のようにレビューに書いた。

『したがって、本書で紹介されている「経過」「原因」「対処」「総括」「知識化」という6項目の記述には当てはまらないことがでてきてしまう。
 例えば、リーンスタートアップにおけるMVPモデルなどはまったくあてはまらない。MVP=ペンシルロケットだとすると、水平飛行によって、小さな失敗を積み重ねる(仮説の実証)プロセスなどは、畑村洋太郎氏の「失敗学」にあてはまらない。
 冒頭に「人間が関わって行うひとつの行為が、はじめに定めた目標を達成できないこと」と失敗を定義していることが、誤りではないだろうか。この定義だと、リーンスタートアップのピボット(方向転換)は失敗ということになってしまう。
 おそらく、畑村洋太郎氏の「失敗学」はハードウェア(機械)を前提に考察されたものなのだろう。そのため、その対象をスタートアップ企業や新規事業、民族、社会システム、サービスなどに拡大するとハマらなくなってしまう』

 本書はそのレビューに対する答えではないかと思われる主張になっている。前著ほど再現性のある手法が書かれている訳ではないが、ソフトウェアのアジャイル開発やモデル化の重要性、仮説を立てて実行し検証する、スタートアップ経験者がメンターとなるVCの仕組みなどが紹介されている。しかし、これでは起業家にまったく響かない既知のことなので、こういうことを知らない大企業や失敗を恐れる優等生に向けて書いたものなのだろうか...

 いずれにしても、失敗学の対象を、スタートアップ企業や新規事業、民族、社会システム、サービスなどに拡大した再現性ある手法などがまとめられているのではなく、シリコンバレーの仕組みの一部を紹介しているに過ぎない。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。