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『とうもろこしの島』とうもろこしを運んだ孫娘は無事だったのだろうか(世界の歴史)

 ジョージアから独立を主張したアブハジアと敵国となったジョージアとの国境の川に中州があり、そこで両親を失った孫娘とトウモロコシ畑を作る物語。
 トルコとの国境を接するイスラームが大半のアジャリア自治共和国はジョージアの直轄統治。しかし、アブハジア自治共和国と南オセチア自治州は事実上ジョージアから独立している。南オセチア自治州はウクライナのドンパス地方のようにロシアが実効支配を強めるための争いになる可能性が高い。2022年3月30日に、「南オセチア共和国」のアナトリー・ビビロフ大統領が「歴史故郷であるロシアと再統一する国民投票を近く行う」と表明したばかりだ。ジョージアは南オセチアの存在を政治的に認めていない。

 この映画はアブハジアとジョージアの戦争を描く物語ではなく、主人公の老人にとって残された人生の目標は孤児である孫娘をなんとか卒業させることで、彼にとってアブハジアとジョージアの争いはまったく眼中になく、傷ついたジョージア兵がいれば匿って助ける。日々の糧を得るために大自然相手に奮闘を続ける農民の姿を描いているだけの物語で、セルフもほとんどない。最後に、中洲が消えさるシーンは人生の無常を感じるが、とうもろこしを運んだ孫娘は無事だったのだろうか。それだけが気になる。

 黒海周辺地域は民族が入り乱れ、民族的に多様な地域だ。そのような場合、支配を行う側は強い統治を行うことしかまとめることができなかったのだろうが、ペレストロイカは民族問題を一気に噴出させてしまった。皮肉なことにジョージアはスターリンの出身地だ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。