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『中国共産党帝国とウイグル』ウイグル問題とウンマの関係が手にとるように分かる1冊(環境研究)

 ウイグルはイスラームであるが、ウンマの一員であるはずのウイグルの人たちに対して、イスラームはなぜ手を差し伸べないののか、その疑問に答えてたありがたい1冊。現在のイスラームによりウイグル問題は旧ソ連における(特にスターリン時代)キルギス、カザフスタン、タジクスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンなどのテュルク系の国々の受けた大弾圧と変わらない。イスラームの聖地があるパレスチナのような身近な問題にはなりにくい。

 パレスチナ問題(中田氏は1976年の第3次中東戦争での領地返還の実現)が解決しない限り、ウイグル問題に関するアメリカ人の人権外交はムスリムには受け入れられることはなく、かえって中国にアメリカのダブルスタンダードを与える契機になる、と中田氏は指摘する。そして、イランも参加した上海協力機構が、ユーラシアレベルで国連に代わるものとして、あるいは国連のオルタナティブのひとつとして役割を果たすのではないか。

 橋爪大三郎さんの「自由主義諸国が台湾を守ることの意味」「日本の難民・移民政策が外交カードになる」など、今後の日本の選択はここにしかない、ということが手にとるように分かる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。