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『13デイズ』リーダーが戦わない、という意志を持っている(世界の歴史)

 前回見た「日本で一番長い日」は昭和天皇が玉音放送に至るまでの24時間を描いたものだが、この映画はキューバにソ連のミサイルが運び込まれ、発射準備が完了するまでのケネディーを中心とした米国政府の14日間を描いたものだ。いずれも戦いを回避したいという意志から軍部との対立が浮き彫りになる。

 「日本で一番長い日」で驚いたのは、日本軍幹部が広島、長崎に原子爆弾が落とされた後でも、そんなことは問題なく、2000万人の特攻攻撃で勝てると主張していたことや、玉音放送の文章に、負けて降伏するではなく、「戦局は好転することなく」という文言にすることにこだわったことだ。この映画でのアメリカの軍部も、戦うことを選択して欲しいと大統領に迫る。おそらく、当時のフルシチョフ配下のソ連の軍部も同じだろう。ただし、キューバ危機では40発のキューバに配備されたミサイルが発射されると、米国民の8000万人が死ぬと予測され、さらに当然反撃となるので、それ以上が犠牲になることが容易に想定できた。

 昭和天皇の戦争責任問題は別にして、昭和天皇が戦争を継続しない、という意志を持ったこと。戦争にしないという意志をケネディーが持ったことが、鉾を収めることにつながったことが両方の映画から読み取れる。

 ひるがえって、リーダーであるプーチンもゼレンスキーも「戦わない」、という意志を持ち合わせていない。そういう場合は、片方が叩きのめされるまで、つまり、日本のように原爆が落とされるまで、戦いを続けるしかないことを日本の歴史は証明している。信じられないことだが、原爆が落ちた後でも戦争を継続しようするのが軍人なのだ。

 太平洋戦争に突入することになった原因は、アメリカが武器を中国に送り込み支援したため、供給元を叩く必要性からだ。逆に、キューバに武器を送ったソ連をアメリカは叩こうとしなかった。なぜなら、核攻撃の応酬になってしまうからだ。ならば、ポーランドを経由して送られる武器を止めるためには、ロシアがポーランドを叩くことも考えられる。つまり、NATOを試すことで、キューバ危機をキッシンジャーが回避したようなロジックが働く可能性もある、ということをこの映画を観て感じた。

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