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『トヨタ式未然防止手法GD3 いかに問題を未然に防ぐか』 24,000円でも買う価値がある(他社の歴史)

 久しぶりに、超久しぶりに、本当に久しぶりに、役に立つ本を買うことができた。

 この本の著者が、自らがシステムを創造することができる人であるため、ここに紹介されている各種の方法が、世間で知られているものとどう違うのか、それはなぜかということから、こう活用すると、こういうアウトカムになる、という解説に納得感がある。

 単純に言われたことや、定型業務しかやっていない人にとっては、その価値はわからないかもしれないが、自分の頭で考えて仕事を行っている人にとっては、心にまで響く内容が解説されているということだ。
 内容から考えると、以下のように5年にわたり売れていることは納得だ。

 2002年9月6日 第1刷
 2007年4月20日 第11刷

 5年間で11刷なので、1刷で1000冊〜4000冊づつ刷ったしても11,000冊から44,000冊は売れている勘定になる。この内容なら、他の自動車メーカー、あるいはあらゆる製造業の人が購入し、なおかつ、いつでも読み返せるように、自分の本棚に保存しておくだろう。

 内容は、以下の【未然防止】の方法論を解説したものだ。

【問題解決】不具合に対し対策する
【再発防止】同じ失敗を繰り返さないように仕組み化する
【未然防止】次に起きる問題を未然に防止する

 その方法論は、以下の3つ。

 1)Good Design
 2)Good Discussion
 3)Good Dissection

 あたりまではないかとか、何のことはない、と考える人もいるだろうが、2)におけるDRBRMを生み出した背景などを知ると、あれにも使える、これにも使えると、再現性が泉のように沸いてくる。(沸いてこないとしたら普段何も考えていない証左)

 トヨタと名前のつく本は、本書のように再現性が高く、役立つと思われるものから、著者が何を与えたいのかがさっぱりわからないものまでの落差が激しい。この本は上記の販売実績にあるように、まさに不易流行な内容で、時代が変わろうとも売れ続けるだろう。また、品質上の大きな事故などがあると、再び注目され、必要性も高まる。2,400円で168ページの内容だが、24,000円でも買う価値がある。

 やはり、再現性が高い仕組みは、それを頭ごなしに解説するのではなく、そのようになった背景や、他の方法との比較、その本質的など、創造性のプロセスがあると、より納得感が増し、理解が深まる。特にこの著者は、「トヨタ自動車ではこう行っている=だから正しい」という姿勢ではなく、そこに理論があるので、思いやりを感じるのだ。またそうでないと、社内にも浸透しなかっただろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。