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『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』建築物に執着することがマイナスだというステファノのような未来志向の考え方

 IT業界と他の業界と比較すると収入格差が激しいことはよく知られている。例えば、同じ外資系だとしたらベースサラリーで5割は違い、コミッションを入れると2倍以上は違う。そのため、IT業界で働く人が多く住んでいるサンフランシスコでは、住宅価格が跳ね上がっている。家やマンションを貸す側からすると、高い家賃を払ってくれる、あるいは高く買ってくれる人が入居さた方が良いということになる。

 この映画の舞台であるフィルモア地区は、1850年代に建てられてヴィクトリアン様式の住居が集中している。以前はそこに日系人が住み、その後、黒人地区となり、今はIT業界やベンタ―企業の人たちが住むようになった。つまり、エスニック・セグリゲーションだったフィルモア地区が時代の変遷で変わってきたのだ。

 この映画の主人公は黒人だ。祖父が1946年に建てたと自慢する家から出ていくこととなり、再びそこに住みたいという願望を持っている。空き家となった際に住み込んでいたが追い出され、結局、祖父が建てたという家は1850年代に建てられたものと分かった。

 建築物へのこだわりは、それが民族の象徴となっている場合、「嘆きの壁」のように執着する。しかし、神殿偏重として建築物に執着することがマイナスだというステファノのような未来志向の考え方もある。最後に、この主人公はどの道を選んだか。それが美しいサンフランシスコのラストシーンとなり、映画は終わる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。