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『地域再生の失敗学』「経済」と「地域活性化」を切り分けて捉えることが重要(失敗研究)

 ファシリテータが地域再生の5人の専門家との対談形式でまとまた本だ。木下斉さんの意見は、私の考えとほぼ同じだ。
 「まちおこし」という大規模なイベントは、プロジェクトとして成功することができるかも知れないが、地域の経済の再生につながりにくい。必要なのは「いかにして稼ぐか、いかにして稼ぎを逃さないか」である。つまり、地域全体をひとつの会社として見立てて捉えるという考え方だ。

 日本銀行熊本支店の試算では、2011年11月から2013年10月までの2年間で、くまモンの経済効果は1,244億円だそうだ。試算方法は、昔からあったお菓子にくまモンが付けれ、それらの積み上げによるものだという。つまり、本当の増減分は分からないのだ。また、経済学的には、経済効果というものは、すでに否定されいるという。

 地域内で合意を優先するのではなく、外的競争関係から考えないと、誤ったプランで皆が合意して、大失敗してしまうことがある。工場など誘致し雇用を生むという発想ではなく、地域内資源で事業や成功例を増やし、地域内循環を図るかが重要だ。そしてさらには、地域外から外貨を獲得しなければならない。面白い例として、松江市のある茶舗が、かなり早くからアジアに目を向けていたため、タイの輸入会社の目に止まり、タイの富裕層向けに抹茶文化の体験型カフェとともに商品を販売した。それによって、日本国内で競合がいなくなったという。

 Iターン人材は役に立たないことが多い。なぜなら、人付き合いが苦手で田舎に移住しているケースが多いので、共同体の戦力にならなのだという。また、グローバリゼーションとは、国と国との関係ではなく、特定の都市と都市のつながりに収斂しつつある。人的交流の面でもこの傾向が強い。

 5人の意見を羅列したのでまとまりがないレビューとなったが、「経済」と「地域活性化」を切り分けて捉えることが重要だ、ということは5人の共通意見ではないだろうか。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。