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『ベン・ハー』最後がハレルヤで終わるのがいい(世界の歴史)

 中学生なのか高校生なのか覚えてはいないが、金曜ロードショーか何かで2週に渡って放映されたときに観て以来、久しぶりの3時間40分の大作「ベン・ハー」を観てみた。映画のサブタイトルが「Tha Tale of the Crist」(キリスト物語)ということにもはじめて知った。映画のはじまりに嘆きの壁と思われるソロモンの造ったエルサレム神殿が出てくるが、実際の全体像を捉えることができ、ゾロアスター教の東方三博士が訪れるときの星の動きも、ご丁寧に映像化されていた。

 後半1時間からの「動」として騎馬による競争シーンは、リアルな撮影だからこそのド迫力だ。撮影はカイザリアで行ったらしいが、リアル感が凄い。
 また「動」から「静」に移り、山上の垂訓から70kmの十字架を背負いヴィア・ドロローサを歩くイエスの姿は決して顔を移さないからこそ、その神秘性が伝わってくる。

 癩病はイエスの時代から差別の対象だったようだが、日本で最初の「癩病に関する法」(1907年)は、放浪するらい患者の存在が来日 した欧米人の目に触れることを国辱と考え、その一掃を図ったものとのこと。どこの政治家なのか役人か知らないが、医学的に根拠の薄い段階でどうしてこんな法律を立法したのか、呆れてしまう。1931年制定に制定された「癩予防法」では、当時の世情を反映し、「民族浄化、無癩日本」を旗印に、全ての患者を根こそぎ収容し、強制隔離してしまった。この悲劇は松本清張の「砂の器」でも描かれている。

 この映画では、癩病にかかったベン・ハーの母と妹が業谷(癩病患者が隔離されて進む洞窟)からイエスのいるゴルゴダの丘近くに行き、イエスの死後それが治り、エンディングに「ハレルヤ、ハレルヤ」と謳われ終わる。ちなみに、ハレルヤとはヘブライ語で「神を讃えよ」を意味する。

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