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『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』 ニュートリノでデータを送る方法が知りたい

 ハミングバードというと羽ばたきが目視できないくら高速なハチドリ。ハミングバードプロジェクトとは、カンザス州のデータセンターからニューヨーク証券取引所まで約1,600キロを直線の光回線でつなぐことを思いつく。0.001 秒の時間短縮を行うという実話映画。

 ファイナンシャル・エンジニアリングやAIを使う金融取引はアルゴリズムで売り買いを行うため、データを送る通信速度が大きな競争力になるという。0.001秒の差がどういうメリットを与え、年間で500億円以上のメリットがあるという。長期的な資産運用ではなく、短期の売り買いには意味のあることなのだろう。

 例えば、論文やプロトタイプ、試作前の構想段階などのかなりなアーリーステージで投資を行えば、投資額が少なくても、当たれば大儲けできるこことは誰でも分かっているが、「目利き」の能力が必要とされるため、誰でもできる方法ではない。
 したがって、大きなお金を高速で売り買いさせ、お金がお金を生む金融資本主義はバブルをさらに加速させたり、急なクラッシュを加速させたり、ロクなことはないことは分かっていても、それを金を生み出す手段とする訳だ。

 少し引いて考えると、イスラム金融の合理性が際立つ。利子なし(リバー)、不確実性なし(ガラル)のイスラム金融のシステムにはお金がお金を生む取引は禁止され、生命保険ですら、胴元が必ず儲かるギャンブルという位置付けで、禁止されている。この映画で最後のシーンで、光ファイバーで直線でデータ伝送するのではなく、ニュートリノを使えば、岩をも通過するので、もっと早く到達できるという会話があったが、イスラームの金融システムの方が、欧米の金融資本主義システムより人間の欲望に対して堅牢だ、ということに人類は気づくのだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。