見出し画像

『外国人まかせ 失われた30年と技能実習生』Z世代の若者は創造性が必要(環境研究)

 技能実習生の労働の実態がまとめてある本ではあるが、他とは大きな違いがある。それは著者が高卒で高学歴者ばかりの編集という仕事についていることから、彼の問題意識は、高校卒業後に就職を選択する人たちに向けられている。NPO進路指導 代表理事/澤田晃宏としての視点で書かれたZ世代の若者と、技能実習生の現在の動向を把握できるのが本書の位置づけだ。

 現在、進学校に対する情報があふれる一方、進路多様校(就職者が在籍する高校)に向けた進路情報が十分にあるとは言えない日本では、高校卒業後に実践的な職業教育をする専門学校への進学者が約24%、就職する学生が約16%いる。
 この16%に対し、10年前の日本では、学歴関係なく出世できる、残業すれば稼げると求人すると、応募が殺到した。しかし、現在は、ワークライフバランスを重視した人がほとんどだという。

 いわゆるZ世代は、マイペースで居心地のいい「チル」を好む。彼らはアベノミクスの申し子で、超売手市場しか知らない。アルバイトの面接でも落ちたことのないストレス耐性の弱い世代だ。そこに、お金を稼ぎたい、残業も大歓迎という外国人労働者が現れたら日本の高校生は勝てるはずがない。Z世代の労働力をあてにできない企業は、外国人労働者への依存がさらに高くなるが、同時にZ世代には単なる知識労働者ではない創造性が求められることになる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。