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足るを知る、ドレス選び。

長らく私を悩ませ続けていたウェディングドレス選びですが、やっとこさ無事に決まりました。(拍手喝采)

3店舗回って計12着のドレスを着させていただいたのですが、本当に頭を抱えておりました。
繊細なレース、ふわふわのオーガンジーとチュール、キラキラのビジュー。どのドレスも職人さんの想いがこもっていて、うっとりするものばかり。
最初は心躍らせキャッキャうふふしながら試着していたのですが、だんだんと「一生に一度だから失敗できない」という謎のプレッシャーに変わってきて、何を基準に選んだら良いのかわからなくなっていたのでございます。

そんな時に、とあるお方からいただいたアドバイスで心に残ったものがありました。

ドレス選びは「テンションがあがるドレス」と「足るを知る」のバランスが大事だよと言われたのです。久しぶりに聞きました、「足るを知る」という言葉。

「足るを知る」とは、古代中国の思想家、老子の言葉。「足るを知る者は富む」、つまり「何事に対しても、“満足する”という意識を持つことで、精神的に豊かになり、幸せな気持ちで生きていける」ということを表しています。 不満を言っても、自分がミジメになるだけで状況は変わりません。

「足る」というのは、十分であること・満たされていること。
それが自分の今の状況にふさわしい満足感、という意味を表しているそうです。
「足るを知る」とは、現在の自分の状況に満足する、今目の前にあるものに対して感謝する、という意味なのだそう。

「いの姉さんの式に出てくれる人はみな、いの姉さんの幸せを願っていて
ドレスを着て式をあげてくれてるだけで、みんなが幸せになるの。

式で着るドレスの意味って
それ以上でも以下でもないの、きっと。

ドレスにはそれぞれ着る場所によって役割があるんだと思う」

(原文のまま載せてしまったことをお許しください…
でも私はこの言葉にとてもじーんとしたのです。
とても嬉しかった。ありがとうございます。)

元々入籍当初は前撮りだけで結婚式自体しない予定でしたが、母に「何かに誓いを立てた方がいいよ」と言われたのも私の中で大きなきっかけでした。周りの先輩や友人達からも「結婚式はやった方がいい」と言われていて、そういうものか…と思いながら夫婦で重い腰をよっこらせと上げながら進めていた結婚式準備。
結婚式は親族のみの最小限に人数を絞ったため、子供の頃お世話になった記憶がある方々ばかりです。

20代、芝居の道を志し、鳴かず飛ばずだった私を見守り続けていた両親。
そして30代になってからの私は入退院を繰り返していたのにも関わらず頑なに実家に帰らず、なんとか復帰して働き始めたかと思えば半年間休職もしているので、心配ばかりをかけていたと思います。

長い間浮いた話もない娘をずっと見ているのですから、そりゃぁ小言の一つも言いたくなるわけで。そんな母に「もうそんなことばっかり言うなら帰らないから!」なんて言ってしまったりしました。

私という愚か者は無償の愛に甘えてのうのうと生きていたのです。「優しさ」というのは時に人をダメにすることもあるけれど、私はそんな優しさというお布団の中でぬくぬくと甘えていました。
決して、当たり前のことではないのに。

ドレスの細やかな刺繍を眺めながら、母は刺繍が好きだなぁ、これを着たら喜んでくれるかなぁなんて考えながら選びました。そして私もテンションが上がるものを。
ドレスの値段に目玉が飛び出そうになりましたが、「一生に一度だし」という魔法の言葉と共に最後は「このドレスにしよう」と決められたのです。

12着ドレスを着てみて思ったのは、確かにウェディングドレスというのは人を幸せにする力があるもので、言葉じゃ言い表せない何かがあるのだと思います。
きっと私の場合、こじらせにこじらせまくって自分は結婚をしないと思っていたのもあり、憧れや羨ましさが詰まっていたのかもしれません。そんな長い年月をかけて育ってしまった私のドス黒い塊みたいな感情をも、真っ白なウェディングドレスは包み込む威力がある気がしました。

「足るを知る」
誰かと比べて心が痛くなる日もあるし、そのせいでSNSが見れなくなる時もある。悩みだってたくさんあって、悔しくて眠れない日もある。
でも、私はきっと幸せだし、これからも幸せなんだと思います。
当たり前の日常があること、そして目の前にあることに感謝をして過ごしていきたいです。



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