見出し画像

ドラフト・オブ・サイレンス

歓声なき2020年

 今年はここも無観客――

 機構や球団関係者ですら一堂に会することなく各個室からの指名で、重複時はクジを引く代表者が専用の場所で抽選に臨む。予想できたこととはいえ、寂しいというか何か物足りないものがあるなァと、26日(月)のライブ中継を見ながら感じさせられた。

 2000年代に入っての何年か、会場で"取材"する機会が多かった、プロ野球のドラフト会議。2009年以降はファンも招待されるようになっているが、強く印象に残っているのは2011年だ。

 巨人入り希望(≒巨人以外だったら拒否)を表明していた、東海大のエース・菅野智之。原辰徳監督の甥ということもあり、他の11球団は指名回避と予想されていたが、「ポジションに関係なく一番いいと評価する選手から指名する」方針を打ち出していた日本ハムが指名したとき、その日本ハムが抽選で【交渉権確定】を引き当てたときの、会場を包んだ歓声とどよめき、一種独特の雰囲気を思い出す。

画像1

 ポジションに関係なく一番いいと評価する選手から指名――ドラフトってそういうもんだよなと、なんとなく心地よく感じたのを覚えている。菅野や巨人は心地よくなかったろうけど。

戦力均衡策?

 近畿大学・佐藤輝明、早稲田大学・早川隆久を、それぞれ4球団が1巡目で指名した2020年。従来のように抽選がファンの前で行われていれば、盛り上がっていただろうことを思うと、やはり残念だ。

 指名重複時の、他人事ながらけっこうドキドキする抽選シーン。個人的には好きなのだけど、このときの「ドラフト総決算号」編集後記で、こんな趣旨のことを書いた。《1位指名重複による抽選は、確率イーブンではなく、より下位の球団に当たる確率が高まる方法を考えるべきじゃないのか。最も重要な1位選手の指名に有利不利の差がない現状は、戦力均衡化をはかる点で一考の余地ありじゃないのか!?》と。

 最下位だった横浜が藤岡貴裕(東洋大→ロッテ)、再指名でも重複した松本竜也(英明高→巨人)と2度とも外した不運に見舞われたこの年。横浜をひいきにしているわけでは全然ないけど、下位球団が優遇されなさすぎなのって、ちょっとおかしいよな…の思いはこの当時からあって、今も変わっていない。今年もヤクルトが早川(楽天)、鈴木昭汰(法政大→ロッテ)と2度臨んで2度とも外してしまった。

2011抽選箱06s

 もちろん、上位球団が外すこともあるけど、それは結果論。

 といって、メジャーのように完全ウエーバーがいいかというと、それも違う。優勝やクライマックスシリーズ進出の可能性がなくなったチームが、より上位の指名権を得ようとして積極的に勝とうとしない(負けたほうがいいと考える)、なんてことが絶対ない…とは言いきれないと思うから。

 重複したら抽選、外れた球団はまた入札…を繰り返す現行の“平等”な方法ではなく、NBAが採用しているロッタリーというシステムを参考にするとか、一時期やっていたような、抽選で外れた球団は下位からウエーバーで指名する(=抽選は最初の指名入札で重複した場合の1度だけ)とか、やはり改定すべきと思うけど、そう考えたり言ったりしてる人は…いないか ^^;


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?