高野丈

自然観察者、写真家、編集者。著書『世にも美しい変形菌』(文一総合出版)、『身近な野鳥の…

高野丈

自然観察者、写真家、編集者。著書『世にも美しい変形菌』(文一総合出版)、『身近な野鳥の観察図鑑』(ナツメ社)、『井の頭公園いきもの図鑑 改訂版』(ぶんしん出版)、『美しい変形菌』(パイ・インターナショナル)、共著書『変形菌 発見と観察を楽しむ自然図鑑』(山と溪谷社)。

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井の頭公園にすむオオタカが教えてくれたこと

 毎朝観察している井の頭公園の森で、オオタカのつがいが仲良くとまっているようすを見て、心が動かされた。思い出したのは、かつて通っていた山地でのイヌワシの調査。自然番組でしか見られないような生きものの営みが、家から歩いて10分の公園で見られるとは予想もできなかった。しかもイヌワシのように遠くない。すぐ目の前だ。微笑ましい光景を眺めながら、こんなに仲が良いなら今シーズンは大丈夫だろう。そう確信した。2023年2月、真冬の一場面だった。  オオタカのつがいは今年、カラスの古巣を乗

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      カイツブリの巣に産みこまれた謎の卵。托卵したのはいったい何者なのか。 本当にそんなことあるのだろうかという懐疑的な見方と、きわめてまれな場面に立ち会うことができるかもしれないという期待。前代未聞の珍事に、気持ちは揺れた。 この「自由研究」は、井の頭池のカイツブリを誰よりも観察し続けているKさん、公園全域をくわしく観察しているMさんなどすぐれた観察者と、池で毎朝顔を合わせる比較的観察歴の浅い数人の仲間とでゆるいチームを組み、モニタリング(継続観察)するという設計にした。 K

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