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サーナイトexデッキにおける輝くゲッコウガについて

チャンピオンズリーグ2024札幌の準優勝のサーナイトのリストはすごい。

デッキが回れば勝つという自信を感じる

カイ4!この構築はエボリューションではなく、ハイパーアロマを採用しているので、必ずしもペパーでなくともよいのだが、それ以上に、このカイというカードからは輝くゲッコウガ(以下、単にゲッコウガ)への厚い信頼を感じる。

アンフェアスタンプ(自分側の動きというより相手への干渉手段)ではなくハイパーアロマ(自分側の動きの最大値)であることからも、デッキが回りさえすれば勝てるという自信がこのリストから感じる。

4/30【火】フルコンプ札幌駅前店(北海道)優勝
5/1【水】竜星のPAO多摩境店(東京)優勝

マシマシラと悪エネがデッキに入り始め、変幻の仮面発売後の初週のサーナイトはゲッコウガが枠を空けるために抜けていったように思われる。

その後、カイ4のリストが札幌で準優勝した後、サーナイトにゲッコウガが戻ったり、抜けたままだったりしている。
私もいまだにゲッコウガを入れるべきなのか、他のメタに枠を優先すべきなのか頭を悩ませている。

結論から言うと、この記事でサーナイトというデッキがゲッコウガを採用すべきか否かについて明確な答えはない。
考える過程をつらつら書いていく。

なお、以下で考察するサーナイトデッキは札幌準優勝の「カイ、ハイパーアロマ」のリストではなく「ペパー、ワザマシン エボリューション、アンフェアスタンプ」のリストを中心に考察する。


ゲッコウガは手札の事故を解決する

例えば、ゲッコウガを入れていない構築で、

・ラルトス
・フワンテ
・仲良しポフィン
・ネストボール
・超エネルギー
・大地の器
・フトゥー博士のシナリオ

というような初手が来た場合、これはけっこう事故である。
盤面が動かせず、手札も回転しないため、上からキルリア(に繋がるハイパーボール・エボリューション)、ペパー・ナンジャモあたりを引いてこないとドロー・ゴーを繰り返すことになる。山札の上2枚がお守り・釣り竿・カウンターキャッチャー、追加の種ポケあたりだともうゲームにならない。

これがゲッコウガだと、ネストボールから手札の回転を図れる。2ターンあれば4枚追加で掘れるため、キルリア・エボリューション・ハイボ・ペパー・ナンジャモあたりに到達できるだろう(7+1枚の初期ハンドを除いた52枚から4枚掘ってお目当ての16枚にたどり着ける確率は78.24%)

フトゥー博士も普段は初動にならないが、ゲッコウガを戻す→再登場で追加の隠し札を行える。サポが引き込めない状態でも、死に札を1ディスカード2ドローに変換できるのだから、困った初手の復旧には大変にありがたい。

エネをトラッシュに送れる

序盤からドラパルトやリザードンを立てられ、攻め込まれてる場を沈下させるためには、こちらも速やかに反攻に転じる必要がある。

場のアタッカーを落とすかベンチのシステムを狙うかは状況にもよるだろうが、リザードンやドラパルトを落とそうと思うと、フワンテ・HP増強の道具・サーナイト・マシマシラ(悪エネつき)、そしてなんといってもトラッシュの超エネが必要になる。
330≧X>330の打点をフワンテで出すのに最低限必要な超エネは5枚である(場のキルリアに2回サイコエンブレイス、逃げて道具つきフワンテ場、キルリアのダメカンをマシマシラで相手アタッカーに、フワンテに5回サイコエンブレイス)。
他の要求は置いておいて、何ターン目にこのトラッシュ5エネを実現できるだろうか。

後手1ターン目エボリューションが成功したとして、リファインができるのは最速で2ターン目からになる。2匹のキルリアで超エネをそれぞれ捨てられたとして、まだ2枚。ハイボ+超エネ2枚/大地の器という持ち方ができていたとしてもまだ4枚だ。
そして何より前提となるのが、ポケストップや探検家の先導のような、直接山からトラッシュにエネを叩き落すギミックをサーナイトは採用いないため、手札にエネ/大地の器を抱えたうえでそれを捨てなければならない。リファインでエネを引き込んでから、では遅いのだ。

これがゲッコウガで1ターン目隠し札ができていると、1ターン目にトラッシュ1エネ、そしてなにより、2枚引き込んでから2ターン目のリファイン/隠し札につなげられる。超エネを捨てられる公算が高まるのだ。
キルリア2匹、2ターンでの2回ずつのリファイン/隠し札でまだトラッシュの超エネが4枚なのは心苦しいが、ここまでくれば場のポケモンに手張りして逃げるだけで達成する。

(そうはいっても2ターン目にトラッシュに超エネ5枚は机上の空論だと思う。そもそも上17枚に超エネが5枚以上ある確率は10%もない。
最初の反攻はベンチのシステムを狙うことになるだろう)

とにかくゲッコウガはトラッシュにエネを送れる速度が速い。そのことは、手札の回転もリファインのディスカードを上質なものにすることも含まれる。

ゲッコウガは何ターン目に出るのか

ゲッコウガは手札を回転させ、最序盤からエネをトラッシュに送る。つまり、早いターンからベンチにいることが望ましい。
では、何ターン目に出ているのか。

輝くポケモンはルールを持つポケモンのため、ボウルタウンから出ない。もちろん、ゲッコウガは仲良しポフィンには対応していない。
ゲッコウガ自身(1枚)、ネストボール(仮に2枚)、ハイパーボール(仮に2枚)が登場に必要である。ペパーはいったん考えない。

上から7+1枚でスタートして、この5枚のうち1枚以上を引けている確率は52.41%。
感じ方は人それぞれだと思うが、個人的には心もとない。ゲッコウガを採用する以上、必ず、再序盤からベンチにいて欲しい。

ここまで書いて初めて、札幌準優勝リストのカイに得心いった。再序盤のゲッコウガの再現性を誠実に高めようとしている。
あのリストはゲッコウガ1+ネスト2+ハイボ3+カイ4なので、この10枚のうち1枚以上引けている確率は79.02%。3割近く高まっている。

ちなみに、ペパーを勘定から外したが、序盤のペパーはとにかく忙しいのだ。ラルトスを並べるためのポフィンがまずは優先されるし、エネがないなら大地の器も持ってきたい。状況によってはヒスイヘビボも必要だ。
ラルトスが十分に並び、エネ/大地の器を手札にある程度抱えている際にネストボールでゲッコウガを呼んでくる択になるだろう。

ただし、再序盤のネスト/ハイボが常にゲッコウガに充てられるとは限らない。
メタ枠のポケモンが刺さる対面にはそちらが優先されるからだ。

最序盤のサーチをゲッコウガに充てられるか

フワンテ/サケブシッポで大打点を出すという戦略に関与しないにも拘わらず、サーナイトデッキにはハバタクカミが2枚(あるいはフレッフィと散らされて1枚ずつ)採用されている。
序盤から爆速でロストを貯めてくるキュワワーに抗うために、ハバタクカミ/キュワワーはとにかく偉い。

シルバーバレット的に立ち回る対面は他にもある。
後手1ターン目から殴りかかってくるテツノカイナ相手にはミミッキュが採用されていれば即座に呼んできたい。先2ターン目にドラパルトがベンチに20・20・20でばら撒き始めたらクレセリアが必要だ。

ゲッコウガは序盤に出すのが最大効率だが、これらの対面では残念ながら手札に1枚だけのネストボールはゲッコウガに充てられない。

まぁハバタクカミはともかく、ミミッキュやクレセリアは採用されていたり、いなかったりだ。
しかし、そのことが次の問題にもつながる。

デッキの枠がマジできつい

なぜゲッコウガの採否が問題になっているのか。
問題の所在はマシマシラの新規加入による。

特性の利用には悪エネが必要

変幻の仮面環境になり、サーナイトにマシマシラが採用された。
詳細は割愛するが、打点ラインに貢献したり、ドラパルトのダメカンばら撒きを跳ね返したり、リザをワンパンするためだけに入っていたダメージポンプみたいなカードパワーの低いカードを入れなくて良くなったり、とにかく偉いのだ。

こいつは悪エネがついていることを要求するが、じゃあ悪エネを何枚入れるのかは問題である。
マシマシラがサイド落ちすること自体はヒスイベビボで解決するが、1刺しの悪エネがサイド落ちすること(10.00%)については解決方法がない。そのゲームの大部分はマシマシラに頼らないゲームプレイが要求されてしまう。

悪エネの枚数についても明確な答えはないが、札幌準優勝のリストが2枚採用であったことも影響してか、以後のリストには1枚より2枚採用の方が気持ち多いように感じる。
とにかく、こいつは自身は1刺でよくても追加で1,2枚のスロットを喰うカードなのだ。サーサイトデッキはデッキ枠を明け渡すことを求められた。

ここで、マシマシラ加入後のサーナイトデッキの最小スロットを考えていきたい。
以下のリストの詳細は問題ではなく、要は56~58枚くらいは固まっている、という話をここではしたい。

●ポケモン17
 4ラルトス
 4キルリア
 2サーナイト
 2フワンテ
 1サケブシッポ
 2ハバタクカミ(クレッフィと散らされることもある)
 1マシマシラ
 1マナフィ

●グッズ16ないし15
 4仲良しポフィン
 4前後 ネスト+ハイボ
 1ヒスイのヘビボ
 2ないし1大地の器
 2カウンターキャッチャー
 2すごい釣り竿
 1アンフェアスタンプ

●ポケモンの道具4ないし3
 2ないし1エボリューション
 2勇気のお守り
(なんと最近のリストからはゴージャスマントが抜けていっている!)

●サポート10
 4ペパー
 4ナンジャモ
 1フトゥー博士のシナリオ
 1ボスの指令

●スタジアム1
 1ボウルタウン

●エネルギー10
 超エネ9,悪エネ1 ないし
 超エネ8,悪エネ2のリストがほとんどのように思われる

上記は本当に最小限だ。
ゲッコウガの他、シンオウ神殿(ないし改造ハンマー)、ミミッキュ、クレセリア、友達手帳(ないし追加のボス・フトゥー)、追加のボール、ゴージャスマント(追加のHP増強の道具)あたりが残りの枠を争う。

あるデッキを少しでも重く見たとき、シンオウ神殿・ミミッキュ・クレセリアあたりは特定対面への勝率UPに貢献してくれるだろう。
友達手帳も1枠で2枚分の枠を作るカードだ。ゴージャスマントはフワンテで3回目に殴るプランを作ってくれる。ボールだってあればある程いい。

この記事は60枚のうちの1枚(ゲッコウガ)がいる/いらないについて何をうだうだ言っているんだと思われていたかもしれないが、要はゲッコウガの代わりにこれらのカードを入れたいと言っているのだ。
ゲッコウガを採用することによって、これらのカードを使えない機会損失が発生している。序盤に立てられるか分からない、中盤以降はキルリアで代替可能なカードの為に1枠割くのかというのが論点である。

ゲッコウガはデッキの動きを円滑・高速回転には貢献しても、対応幅を広げるカードではない(勿論、早いターンにリザードン・ドラパルトに打ち合えるという意味で対応力を上げてはいる)。

もっと言おう、クレセリアはボウルタウンから出てくる。ミミッキュやクレッフィは仲良しポフィンからも出てくる。デッキにさえ入っていればゲームに絡んでくる蓋然性がゲッコウガより高いのだ。
(じゃあアクセスの悪いシンオウ神殿はデッキに入らないのか、という話になるのでこれは乱暴な議論だ。そもそも役割の違うカードを比較するな)

全てのデッキに対応しようとしてデッキを弱くしてしまうことが多々あるが、回っているサーナイトは何でもできてしまうが故に全てに対応してしまいたくなる誘引が強く感じる。
じゃあ、そのデッキを回す存在を抜こうとするなという話になるのだが。

ベンチの枠もマジできつい

マシマシラの加入に伴う話は他にもある。
このカードの加入により、回っているサーナイトのバトル場は以下のようになった。

場フワンテorサケブシッポorハバタクカミ(サナが前に立つ事もある)
ベンチ①サナ ②キルリア ③キルリア ④マシマシラ

もう1枠しか空きがない。ベンチが本当に狭いのだ。マナフィが必要なマッチアップもあるし、ロスト対面にはテツノツツミの存在を考えると追加のハバタクカミ/クレッフィをベンチにも立てておきたい。
考えなしにゲッコウガを出してしまうとうっかりベンチ枠が埋まりなねない。

札幌準優勝者の執筆されたnoteはここが本当にありがたくて(ずっとこの人の話しかしていないが、特にこの記事を書き始めてから札幌準優勝のリストが大好きになってしまったのだ!)、対面を想定しながらにサーナイト側の最終盤面を整理して載せて下さっている。

まぁとにかくベンチは狭い。崩れたスタジアムを重く受けることも多くなった。
中・終盤のゲッコウガの役割はキルリアに代替されることも考えると、ここでも枠を捻出しづらい。

ゲッコウガと考えるボール配分デザイン

5/1【水】トレカショップVOW(滋賀)準優勝。ハイパーボール3、ボウルタウン2。ネストボールとゲッコウガは0

ゲッコウガを抜きにして考えると、サーサイトデッキにおいてネストボールはそこまで重視されない。

ハイパーボールはキルリア・サーナイトに触る唯一の手段だ(エボリューションを除く)。ここへのアクセスを担保するためにも、ハイボの枚数は甘えない方がよいとされる。

ボウルタウンも素晴らしい。気絶したフワンテを釣り竿で戻してボウルタウンで再供給する動きが本当に強い。序盤をハバタクカミ、ミミッキュあたりのシルバーバレットに充てて、ゆっくりラルトス、フワンテを展開していくのもいい。

ネストボールが果たす役割の多くは4積されている仲良しポフィンで達成可能だ。しかし、ゲッコウガを採用することによって事故からの復帰札としての役割が生まれる。

要はゲッコウガの有無がボール配分にも影響を及ぼす。ゲッコウガを採用しなくていいなら、ネスボの枚数をハイボ・ボウルタウンに振り分けてもいい。

クレッフィの特性いろいろ消し過ぎる問題

※筆者はクレッフィを使ったことがないのでこの章はエアプの妄想で書かれています。

ミライドンや草オーガポン+ラケルライコデッキの台頭もあり、クレッフィは本当に多くの特性を消すようになった。
イキリンコ、草オーガポン、ミライドン、ロトム、シャリタツetc…筆者はハバタクカミ2枚採用派だったが、クレッフィと散らすのもいいかなと考え始めている。

ゲッコウガの特性も止まる。相手のゲッコウガも止まるが、そのリスクはこちらも負うことになる。
つまり、特定の対面ではゲッコウガを使えない機会損失が発生するのだ。

具体的には、ロスト(ハバタクカミで代替可)、草オーガポン+ラケルライコ、ミライドンあたりか。パオジアン(とその後ろにいるゲッコウガ)の特性も止まるが、マナフィを立てなければいけない都合、クレッフィ前はやめた方がいいだろう(こちらのマナフィの特性もなくなる)。

とにかく、クレッフィを採用する際には特定対面ではゲッコウガは使えない。これもまた機会損失だ。

中盤以降のゲッコウガと手札のエネ問題(ゲッコウガ縛られる問題)

最後に、中盤以降にゲッコウガに役割がないこと、ゲッコウガが呼び札で縛られることを指摘しようとしたのだが、
先に挙げた札幌準優勝者のnoteを読んでいるうちにプレイングで改善できるような気がしてきた。

私はリファインのディスカードを手なりでプレイしすぎて、中・終盤のゲッコウガをよくニートにしてしまっている。釣り竿でエネを戻すこともしてこないでいた。
手にエネがないことによって「ここゲッコウガ縛られたらやだな-」と危惧する場面も多く作っている。

場に呼ばれたサーナイト/超ポケが逃げエネをサイコエンブレイスで賄えないくらいにダメージをおった状態でいる、という事態もマシマシラによってだいぶ改善されてた。
カビゴンや水オーガポン等を除き、場に縛られてしまうのはゲッコウガ(とマナフィ)くらいなのだ。

それが、手札にエネを抱えるようなリファインをしたり、釣り竿でエネを戻すようなプレイングによって回避可能かもしれない。
いや、余裕のない状態でのリファインのディスカードは本当に苦しい。中盤以降のポフィンや不要な対面でのマナフィなど、簡単な択がない場合には、とりあえず間違いのないエネディスカードに逃げてしまいたくなる。

この辺、上手い人なら中盤以降も強いゲッコウガを運用可能なのかもしれない。
全体的にゲッコウガにネガティブな内容になっているのも私がそこにたどり着けていないのが原因だ。

終わりに

ゲッコウガは手札事故を解決し、エネを高速でトラッシュに送れる。それには序盤からいることが望ましいが、そのことの再現性は高くはない。デッキ・ベンチの枠もカツカツで、他のカードにゲッコウガの枠を譲ってもいいんじゃないか。
特にゴールも定めず記事を書き始め、思いついたことを書き連ねていたらうっかり7000字を超えてしまったが、自分の記事を見返してみて、どうやらこんな結論になった。

とはいえ、冒頭にも書いたとおり、ゲッコウガがデッキにいて欲しいのか、他のカードに枠を割きたいのかについて、答えは出ていない。
本当に唯一無二のカードだ。どんなに苦悩しても採用する余地を追求すべきだとは考えている。

札幌準優勝のリストはハイパーアロマなのも含めデッキが回りさえすれば勝てる、という自信を感じられて好きだ。
こういう強者の構築は見ていて小気味いい。

(特に続きはないですが、賽銭箱だけ置いておきます。次は消えたゴージャスマント(3枚目以降の道具枠)について検討したいと思っているので、執筆のモチベーションになります)

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