【生物学×短歌】代謝、いきる、化学反応②


小腸をまく君と会ったあの冬はまだ消化不良 胃薬を飲む


代謝

 生命の最小単位と言える細胞を見てみると、それらは膜によって外界と区切られていて、自ら代謝を行い自己複製することができます(生命の三つの要件を満たしているということ)。

膜によって外界と区切られた空間(細胞)の中で、酵素や器官が様々な大きさ、形態で存在しています。それらは、酵素自身や酵素の集まり、ミトコンドリアなどの器官であり、それぞれが複雑に役割分担をしながら働きます。

これは言い換えれば、特定の場所で物質の濃度にむらがあり、局所的に秩序が高まっている状態だと言い換えることができるでしょう。通常物質は濃度にむらがない状態(秩序の低い状態)に進もうとしますから、秩序の高い状態を維持し続けるためにはエネルギーが必要になります。

エネルギーとは仕事に変わりうるエネルギーのことで、生物学においてはギブズエネルギー(自由エネルギー)Gを指していることが多いです。

では、秩序を維持し続けるためのエネルギーを生物たちはどのように獲得しているでしょうか?

 ある種の生物は光のエネルギーをエネルギー源として単純な無機物(二酸化炭素やアンモニアなど)から複雑な有機化合物(炭水化物、タンパク質や脂質)を合成して生き延びています。

このような生物を独立栄養生物といい、そのなかでも特に光合成独立栄養生物といいます。

単純な無機物から複雑な有機化合物を合成することができない生物(従属栄養生物)がエネルギーを獲得するためには、独立栄養生物が合成したエネルギーを持つ有機化学物を食物として取り込み、体内で自身が利用できる形に変換する必要があります。

それら一連の化学反応(単純な無機物から複雑な有機化合物を合成する反応や、取り込んだ物質を変換する反応)を含む過程を代謝といいます。

代謝、異化と同化

ブロックは脂質糖質タンパク質レゴみたいに体を作る


異化と同化

 代謝には複雑な有機化合物を単純な無機物に変換する過程(異化)と複雑な物質を合成する過程(同化)の二つの過程に分けられます。

異化は糖類、タンパク質、脂質、核酸などの複雑な物質を単糖、アミノ酸、脂肪酸とグリセリン、ヌクレオチドなどの単純な物質に分解していく過程です。それらの物質はさらに、二酸化炭素、水、アンモニアなどに分解されていきます。

(図では左側の右矢印を分解、右側の右矢印を異化としていますが、右矢印を含む流れの全体を異化といってもいいかもしれません。)

異化では複雑な物質がもつ結合エネルギーの放出を伴い、そのエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)などの物質に蓄えられます。

ATPは体温の維持、筋肉の収縮、物質の移動、同化反応の駆動力など生命活動の維持に重要な場面のほとんどで利用されます。

 同化は異化とは反対に、エネルギーをつぎ込み、単純な物質から複雑な物質を合成する過程です。

同化は体を形作り、生命を維持、成長させる生命にとって非常に重要な過程です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?