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#3 神経管閉鎖不全

病院に到着したのが28日(日曜日)の午前2時30分。

受付で、子供の診察券を受け取りました。そこには、「(ハハの名前)ベビー」と記載してありました。私たち夫婦では、サクラ(本当の)の名前は決めてあったので、複雑な気持ちになりました。

薄暗い廊下を歩きながら、案内された場所に向かいました。

待合室で待っていると、看護師さんがきました。


看護師さん 「これから、手術の説明をそれぞれの先生が行なっていきます。お父さん、体調は、大丈夫ですか?」

チチ 「はい。私は、大丈夫です。」

看護師さん 「今、先生が緊急で集まって、手術の予定や計画を話しています。」

また、しばらく待っていると、米倉涼子さんの従姉妹ではないか?(あの、ドラマのモデルさん??)というほど、カッコよく品のある女性の脳外科医の先生が現れました。先生は、丁寧に、言葉を選びながら現状を説明してくれました。

・数十年前に産まれていたら、この症状では生きれなかったこと

・現在は医療の進歩で、多くの場合、命が助かること

・髄膜炎などの危険性が高まるため、緊急に手術が必要なこと

・神経管閉鎖不全といって、10,000人に数人という稀な症状ということ


<今後、考えられる後遺症について(軽度から重度まで様々)>

・下肢の運動障害や、感覚障害。成長障害。

・排尿障害や、排便の障害。

・多くの確率で、髄液循環不全。(水頭症)

サクラの状態が心配になるかと思いますが、その辺りの状況も続きのブログに現状を記載していきたいと思っています。この段階では、まだ誕生したばかりなので、何も分からない状態です。(手術は、無事に成功しました。)

チチは、鍼灸師の国家資格を持っているため、(ちなみに、ハハは鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師の国家資格を持っています。)

一通りは、解剖学を学んでいました。だからこそ、一つひとつの言葉が重く感じました。

この時は、私しか先生にサクラの意見を聞くことができない。という環境から、とても頭が冴えている状態でした。

たくさん質問をしました。

先生は、一つひとつの質問に丁寧に答えてくれました。

実績を積み重ねてきた先生の一言ひとことが、本当に頼もしく、心強く、安心に繋がっていきました。お話を伺うほど、日本の医療現場への偉大さを感じました。

その後も、他の専門の先生に入れ替わり、サクラの手術の同意書の説明が続きました。

手術ために準備した書類は、10枚を超えていました。無駄は一切なく、全てサクラの治療のための書類でした。


看護師さん「お父さん、私たちは外に出るので、しっかりと目を通して、名前を記載してください。記載できたら、またインターホンで読んでください。」


夫婦、2人で決めた約束。 

■ 医師を信じて、治療に万全を尽くす

個室でひとり。まだ名前が書けない産まれたばかりの娘の代わりにチチは、書類にサインを続けていきました。


最後のサクラの名前を書くときには、「がんばれ。がんばれ。」って、涙が出てきました。寂しいとか、辛いとか、苦しいとかじゃなくって。

産まれてすぐに、命をかけて挑戦する娘を応援する気持ちと、命を削ってサポートしてくれる先生方の感謝の気持ちでいっぱいでした。


「手術は、明日の午前中に行います。お父さんは、遅くても午前9時までには、もう一度戻ってきてください。」

どしゃぶりの雨は、少し小雨になり、うっすらと明るくなる中の帰宅道。病室で待つハハに現状を連絡して、一時帰宅しました。