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聖剣3でループもの【5】 運命の王子

リメイク版でほぼ原作そのままだった聖剣伝説3のストーリーを、よくある「ループもの」に再解釈して新たな可能性を提案するアイデア帳の5ページ目です。同人漫画や、Steam版のストーリー改変Modの叩き台にどうぞ。

【4】までで主人公6人のストーリーを一本につなげたり、公式設定を利用してデュラン&アンジェラ編のストーリーに一応の決着をつけてみました。次はリース&ホークアイ編を解決に導いてみましょう。

ラスボスとの接点の薄さ

そうなんです。デュラン&アンジェラ編では、ふたりとも竜帝勢力の幹部にきちんと接点がありました。ケヴィン&シャルロット編でも、それぞれに接点がありますね。

ですが、リースもホークアイも黒幕との接点が薄い。現代で三つ巴の戦争が起きるのを阻止するには、歴史改変をかなり頑張らないといけません。

公式設定に使える材料が少ない

デュラン&アンジェラ編の場合、竜帝に滅ぼされる前の古の都ぺダンに行くイベントがあるおかげで、何をすればいいのかが簡単に分かります。

ロキが生存すれば黒曜の騎士は存在しなくなる、竜帝の死体が見つからなければ紅蓮の魔導師も闇堕ちしない。分かってしまえば、よゆーでちた。

黒の貴公子率いる、魔界勢力の場合は

光の城の王子が闇堕ちしなければ、黒の貴公子は誕生しない
魔界勢力を事前に滅ぼすか、人間界に侵攻する理由を失わせる

この二つを達成すればいいと思います。問題は、ぺダンの時空の歪みから行ける「竜帝大戦当時の過去世界」では、現在のダークキャッスルがどうなっているのかが詳しく分からないことですね。

一応、ぺダンの住人の話でこんなのがありました。

「あ?ダークキャッスル?知らないねえ。
反対に光のお城と言われてた所なら知ってるよ。
ローラントの北の大きな島に光かがやくお城があったんだ。
「ところが、予言に記された運命の王子ってのが生まれて
国は滅んでしまったらしいよ。何でか?そんな事
あたしゃ知らないよ!とにかく今はもう誰も住んでないってよ!

どうやら、もう滅んでしまった後みたいですね。

こちらから資料をお借りしました。ありがとうございます。

聖剣伝説3セリフ集 http://rabi3.nobody.jp/index.html

難易度ノーフューチャー!?

さらに美獣の死に際のセリフから察するに、歴史改変はかなり困難です。

美獣
「…かつてこの城が光の城と呼ばれていた頃、
予言に記された、国を滅ぼす運命の王子として生まれたために
生まれてすぐに国王によって幽閉されたかわいそうな男の子…
美獣
「幼い頃から誰にも愛されず、暗い地下の牢屋の中で
育てられ、闇と絶望が彼の心を支配していった。
美獣
「魔界の王は、彼の生い立ちと闇に閉ざされた心に目をつけ、
魔王の後継者として、魔界の力を彼に与えた。やがて
黒の貴公子として覚醒した彼は、予言通り国を滅ぼしたのだ。
美獣
「光の城は闇の城ダークキャッスルと化し、魔界から
我々魔物がうつり住むようになったが、黒の貴公子様の心は
暗く閉ざされたままだったのだ…
美獣
「私は、あの人の閉ざされた闇より暗い心を
開いてあげたかった……

この話は、繰り返されるループの世界でリースもホークアイも嫌というほど聞いてきました。もう美獣への憎しみも消えていると思います。哀れな彼女を救う術はあるのでしょうか?

正義はたやすく反転する

魔界勢力を事前に滅ぼせば、人間界には攻めてこれない。けれど、何度もループを見てきた6人の少年少女ならば、こう思うでしょう。

フォルセナを攻めるのは、マナの減少で困窮するアルテナにとっての正義。ローラントを攻めることは、水不足に悩む砂漠の民にとっての正義。乱暴な話ですが、ビーストキングダムの獣人たちに自信をつけさせるには力を示す相手が必要だったのでしょう。

魔界勢力を事前に滅ぼすやり方では、今度は自分たちが美獣と同じになってしまいます。悩む6人。

本当の愛とは

それでも、6人はひとつの結論を見つけます。何度も同じ世界を繰り返して普通の人の何倍も人生経験を積み、もう大人と変わらないくらい精神的に成長した6人なら。

好きな人の言いなりになることは、本当の愛ではない。それはただの盲信。

美獣が本気で黒の貴公子を愛しているなら、閉ざされた闇より暗い心を開かせたいなら、彼の過ちを止めるべきです。それが主君への忠義。

美獣を心変わりさせることができたら、もしかすると歴史を変えられるかもしれません。思い悩む彼女の所に、正体を隠した謎の男としてホークアイが現れて「美女に愛の手ほどきをする」なんて、面白そうですね。

何しろリメイク版追加シナリオで「美女から逃げるのはポリシーに反する」なんて言う場面があるほどですから(笑)。

強者に従うのが魔界流?

黒の貴公子を本当に愛しているなら、彼の過ちを止めるべき。その言葉と共にホークアイから未来の予言を告げられた、竜帝大戦当時の美獣。魔界の住人ですから、姿は現在と変わらないかもしれません。

何を馬鹿なと笑いつつも、きっと美獣の心には深く刺さるものがあったと思います。彼女亡き後、マナの聖域で黒の貴公子は美獣のことをただの駒扱いしていたことまで告げられて。

さらには、ホークアイ以外の5人はすでに先回りして、黒の貴公子(あるいは当時の魔王)を力ずくで生かしたまま取り押さえていました。いかに魔界の王を倒した実力者でも、ループを繰り返して強くなった聖剣の勇者たちにはかないません。

リメイク版で主人公たちがレベル99だと、神獣の最終形態の力を得ていてもあっという間に瞬殺です。それを得てない状態の黒の貴公子など、赤子の手をひねるように屈服させられるでしょう。そこへ合流しに来たホークアイを追って、美獣が駆けつけます。

全ての神獣を倒した脳筋勇者、おそるべし(笑)。

おそらく、魔界では「力こそ全て」の価値観が強いと思います。黒の貴公子が魔王を倒した後、邪眼の伯爵をはじめとする魔界の住人がすんなり彼に従っていることからもそれがうかがえます。

よって歴史を改変するには、竜帝大戦当時の魔界トップの座を6人が奪うこと。勇者が魔王を兼ねればいいんです。でも6人は現代に戻らねばいけませんから、こう指示を出しておきます。

希望の王子

運命は変えられる。ループする世界を変えたことで、自分たちはそれを証明した。だから黒の貴公子だって、魔界と人間界の架け橋「希望の王子」になれる。自分の人生を呪われたものだと思っちゃいけない。人の痛みを知る者だからこそ、名君になる素質がある。そして名君を支える本当の忠臣、美獣もここにいる。世界にマナの変動が起きるころ、魔界の人々に人間界の各国が援助の手を差し伸べるように、自分たちが魔王として交渉しておく。

何しろ、6人のうちアンジェラとリースは王女。ケヴィンも王子。他の3人も全員、有力者と近い位置にいます。魔界もある意味、ビーストキングダムと同じ人間から疎まれた立場ですから案外仲良くなれるかも。

マナの女神に関しては、6人を勇者に選んだフェアリーが次代の女神になるんですから、かつての女神が魔界の人々を隔離したような過ちは起こらないでしょう。

めっちゃ力技ですが、なんとか丸く収まりそうじゃありませんか?これでローラントは陥落せず、ジョスター王は生存、エリオットも誘拐されません。ナバール盗賊団が美獣に乗っ取られることも、イーグルが命を落としたり、ジェシカが死の首輪をつけられることもありません。

美獣が本当の愛の意味を理解したなら、いずれ黒の貴公子も心を開いてくれることに期待しましょう。現代に戻ったら、彼の妻になってるかも。

以上、公式ではまず絶対無理なリース&ホークアイ編でした。同人漫画やModなら、全然OKでしょう!革新はいつだって辺境から始まります。

残るはケヴィン&シャルロット編です。

他にも発見!聖剣3でループもの

資料探しでいろいろ検索していたら、偶然見つけました。こちらはなんと、リメイク版が出る6年も前のもの。さすがに長年愛された作品ですね。

聖剣伝説3逆行 https://syosetu.org/novel/21089/

こちらはホークアイが中心のループものです。

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