NHKドラマ『パーセント』最終回についての一考

NHKにて2024年5月11日から4回シリーズで放送された、障がい者の役を障がい者自身が演じるドラマ『パーセント』のテーマは、「障がい者とともにある世界」であったと思う。
"note"にも、ドラマ自体や主演の伊藤万理華さんに関する記事が多く投稿されている。
私もいくつかを読み、その1つにコメント書き込ませていただいたりもした。

私が書いたコメントは、最終回の最終盤に登場した、未来とともにクレーンゲームをする車椅子の女性のことだ、
彼女は、生まれたときに37秒呼吸が止まっていたために脳性まひとなった自身の経験がタイトルにつけられた日米合作映画『37セカンズ』(HIKARI監督、2020年)で主演した佳山明かやまめいさんで、だから彼女自身が車椅子での人生を送る障がい者である(知らない人のために説明しておくと、ドキュメンタリー映画ではなく、劇映画。必見!)。
映画はその年の映画賞で数々の賞を受賞し、佳山さん自身も主演俳優として、第75回 毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞している。
つまり彼女は、ハル(和合由依さん)をはじめ"劇団S"の劇団員(さらには、全国の障がい者の方々)にとって、実在する素晴らしいロールモデルなのだ。
その彼女に取ってもらったぬいぐるみ(=トロフィー)を返して『そろそろ憧れから卒業しなきゃ』と言う未来のセリフには、だから、物凄い意味が込められている。
さらに言えば、映画とは別の視点から描いたバージョンをNHKが『国際共同制作バリパラドラマ』として放送された経緯から、NHK自身も「障がい者が出演するドラマを『バリパラ』に戻さない」という決意の表れでもあるのではないか。

以下は、コメントには書かなかったこと。

ドラマ(或いは「物語」)を撮りたいという主役の未来を演じた伊藤さんと、彼女が過去に主演した映画『サマーフィルムにのって』(松本壮史監督、2021年)を重ね合わせた記事をいくつか読んで、なるほど確かになぁ、と思ったのだが、ドラマ最終回の未来のセリフは映画『女優は泣かない』(有働佳史監督、2023年)を想起させる。この映画(蓮佛美沙子さんとのW主演)で伊藤さんが演じた瀬野咲は、バラエティー班からドラマ班に行きたくて空回りする。

「ドラマが終わったら、バラエティー班に行くことってできないですかね」

この、ドラマのセリフは、完全に映画の逆転構造になっている。


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