今日、夢に出てきてくれたね。

僕の家に繋がる曲がり角
そこに停めた車に寄りかかってる君。
僕に気づいて顔を上げた君の
照れくさそうな、気まずそうな
いつもの笑顔。数ヶ月ぶりの君。
驚きと嬉しさで駆け出した途端。

ソファに仰向けに横たわる自分に気づいた。

『あ…夢か…』

そう思った瞬間、この勢いで『元気?』って
連絡したい衝動に駆られて、握ってるスマホを顔の上へ持っていく。

見えない…
スマホが見えない…

スマホを握っているはずの手すら
僕の視界に入らない。
そこにある感覚はあるから
目の前にあるはずなのに…

もう一度、手に集中してみた。
いつのまにか手は体の横に戻っていた。
スマホも握っている。
奇妙な感覚に混乱しながらも

『早くっ…早く送らなきゃっ…!』
『なんだか連絡とれる気がする!』

その思いと願いに急かされるように
スマホを強く握りしめて再び顔の前へ!

…………………………………

やはり……スマホも握る手も見えない…
感覚はあるのに…スマホが扱えない…
君に連絡できない……どうして…

悲しい気持ちのまま、
目を開けると、布団の中にいた。

スマホは手の中にはなく
頭上で充電機に刺さっている。

あんなにもがいたのに何もできなくて
見えない何かが2人の間に立ち塞がってて
もうどうしようもない現実を突きつけられたようで
悲しくて悲しくて虚しくて…
連絡しようなんて、なんて馬鹿なこと
しようとしたんだろうって。

布団をかぶり声を押し殺して泣いた。
夢で見た久しぶりの君の笑顔を思い出して。

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