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【FF14】お前はセイブザクイーンの戦場で全てを見届けるものになれ

※6/28 23:00追記あり※

恩徳のユンブ : よくも、私の仲間たちを……!
皆、自由を信じて戦っていたんだッ……それをッ……!
鋭刃のブラズ : 死した仲間が、復讐を望んでいるのか……?
信念のためにこそ武器をとっていたのではないのか?
恩徳のユンブ : 黙れ、黙れ、黙れッ……!
蛮族が軽々しく、私の仲間の想いを口にするなッ……!

おれだ。ひさしぶりじゃないか。おれはここのところメキシコの荒野から距離を置き、ほぼエオルゼアの大地…おまえたちにわかりやすく言うと、FF14の世界に住んでいる状態だ。変わらず元気であるから気にしないでいてほしい。

セイブザクイーンの話をする

今日はおまえたちにセイブザクイーンの話をする。イギリス国歌やクイーンの話ではない。FF14の膨大なコンテンツの中にそういうシナリオがあるのだ。ちなみにクイーンの話ではないが、シナリオを書いた男はクイーンをしょっちゅう引用することで有名だ。そう、松野泰己である。

いまさら松野泰己について説明する必要はないだろう。知らないのであればてきとうにググれ。FF14は膨大なコンテンツがあるからして、シナリオごとにライターも違う。松野泰己が担当した「セイブザクイーン」は戦争の話だ。松野泰己が戦争の話を書いたのだ。もうだいたいお前らなら予想がつくだろう。お前の予想通りの光景が繰り広げられるシナリオだ。

そしてこのセイブザクイーンはお前のための物語ではない。シナリオは勝手に現地のNPCが進めていき、おまえは帝国軍のドアが開かない時だけレジスタンスに呼び出されて戦場を転戦させられる暴力装置だ。お前はドアを開けるポイントを稼ぐため、広い戦場を駆け巡ることになるが、そこかしこで行われている小競り合い全てを松野泰己が監修しているため、おまえはいやでも戦場の人間模様を見せつけられることになる。

洗脳された仲間を取り返そうと必死に呼びかける者。

非道な実験に我慢ならず、実験生物とともに逃亡してきた女。

一騎討ちを求めて突然現れる敵将。

外道魔導士とニンジャ軍団の激闘。

お前たちは通りがかった戦いを制し、たいして知りもしない敵将の首を奪るだろう。その時、お前のポケットにはその敵将の人生が記された戦果記録がねじ込まれるのだ。そう、セイブザクイーンは「戦えば戦うほど松野泰己のSSが手に入る」コンテンツなのだ。おまえはアイテムと交換できるポイント稼ぎに討ち取った相手がどう生きたか、倒すか殺すかしてから知らされることになるのだ。

恩徳のユンブ

今日はそんなセイブザクイーンの戦場に生きた女、「恩徳のユンブ」についての話をしたいと思う。いいか、ここから先は恩徳のユンブの話しかしない。この女がどういうやつで、どのような末路を辿ったのか、そんな話をするだけだ。セイブザクイーンの効率の良い攻略情報が欲しくてここまで読んできたやつはいないと思うが、もしそうだったならさっさとブラウザバックしろ。そして知り合いのヒカセンに聞け。企業系攻略サイトは信用しすぎるな。

恩徳のユンブとは

恩徳のユンブは敵役である帝国軍に所属する若き治療術士だ。非常に温厚で真面目であり、自分の所属する帝国軍の思想を頭の先から信じて疑わない純粋さを持つ。そもそもこのセイブザクイーン編に登場する帝国軍は普段と指揮系統が異なり、実力があれば出自を問わず将として登用するし、属州も別に虐げる事なくきちんと福祉まで考えて支配するようなやつらである。

よく考えればそれは当たり前であり、それをしたからといって国を奪われた者たちは納得などしない。だから今こうやって帝国軍とレジスタンスがバチバチやり合ってるのだが、ことユンブは「わたしたちのボスがしっかり支配すれば全てハッピー」だと考えている。不安に駆られる兵たちにも「わたしたちがレジスタンスの腰抜けどもを駆逐しますから、がんばりましょう!」と声をかけまくり、兵士からの人気も高い。もうこの辺りで絶望的に想像力が欠けている。

この女が後方の病院などでこんなことを言っているだけならそこで終わりなのだが、こいつはこんなお花畑の頭のまま戦場に出て来てしまった。国を取り返すべく命懸けで向かってくるレジスタンスに「投降せよ!抵抗しなければ命までは取らない!」と言い放つのだ。生かされてる現状に我慢ならないレジスタンスにかける言葉としてマイナス5億点である。とんでもないメンタルをしている。

復讐鬼へ

当然のことながらそんな気構えでレジスタンスと渡り合えることはなく、ユンブの部隊は後退を余儀なくされる。いつまでも追撃してくるレジスタンス相手に、ユンブはこう叫ぶのだ。

恩徳のユンブ : なぜ、ガブラス様の理想を理解しようとしないのです!そんなに私たちが憎いのですか……!
花嵐のイソルデ : ん~、わたしたちは、
祖国を取り戻したいだけなんですよ~?
花嵐のイソルデ : あなた……ガレアン族じゃないですよね~?属州からの徴用兵ってところですか~?
恩徳のユンブ : それが何だというのです……!
ガブラス様の下では、種族も性別も関係ありませんッ!
花嵐のイソルデ : でも、こうやって独立したいっていうボズヤの民を、踏みにじるのはやめないんですよね~?
恩徳のユンブ : ボズヤは、ボズヤ人だけのものではなく、すべての人を受け入れる「王国楽土」となるべきなのですッ!

勝手に人の家を奪っておいて「ここはシェアハウスにするべき」などとのたまうのである。そしておれはこの掛け合いを聞きながら、ユンブの部下をひとり、またひとり斬り殺していくことになる。最後にユンブをノックアウトさせると、彼女はそれまでの穏やかな雰囲気を豹変させ、敗走しつつこう言い放つのだ。

恩徳のユンブ : 嗚呼……そんな……私の仲間たちが……!
恩徳のユンブ : 解放を謳う、血に飢えた蛮族ども……!
私は、貴様たちの顔を忘れない……絶対に、絶対にッ!

帝国軍がどれほどレジスタンスから奪って来たか理解せず、そして自分が何か奪われるとは露ほども考えていなかったユンブは、仲間の全滅とともに理想も砕け散り、ただただ復讐を考えるだけの存在に成り下がってしまうのである。おれはもうこの時点でユンブの暗い魅力に取り憑かれていたのだろう。おれは逃げたユンブの行方を探るべく、さらにドアを破壊し戦場の奥へ進んだ。

燃え上がる南方戦線

やがて別の小競り合いに参戦していると、なんの前触れもなく恩徳のユンブが突然乱入してくるのである。この時、おれとレジスタンスは全く別の敵を相手にしており、ユンブの出番などまるでないイベントであるにも関わらず、やつは襲いかかってくるのである。それが冒頭のセリフだ。レジスタンスのセリフは戦場に立つものが胸に刻むべき信念であるはずだが、もはやユンブにはそんなものなど存在していなかったのだ。

はっきり言ってこんなやつに負けるおれではない。ユンブは本来の敵と共に無残に殺される。ほかならぬおれの手によってだ。死に際にユンブは

「嗚呼…やっと… 皆に逢える…」

などと最後まで自分だけ気持ち良い感じで死んでいく。まるで自分は悲劇のヒロインであるかのように。だがしかし、帝国兵もレジスタンスたちもユンブに何ひとつ言葉を投げかけない。なぜならユンブの死と同時に間髪入れず更に強大な帝国の将が現れ、レジスタンスも増援が到着し、一大決戦が開始されるのだ。誰にも顧みられず死んでいったユンブのことを覚えているのは、プレイヤーたるおれしかいないのだ。

おれはFF14メインシナリオで様々なものを託されて来た。倒した悪役からも想いを受け継いできた。だから、おれはこのどうしようもない女の事を、ずっと覚えておかなければならないと思ったのだ。そうでなければ悲しすぎるではないか。だからおれは襲いかかって来たユンブに向き合い、我が光の戦士「ソフィア」とサシでやりあってしっかりトドメを刺す幻覚をアウトプットした。

願わくば、彼女の魂に安らぎがあらんことを。

そう願い、ここでユンブの話は終わった。

終わったはずだった。

終わったはずだったのだ!

ザトゥノル高原編での再登場

セイブザクイーンのシナリオがさらに進行したとき、ユンブは戻って来たのだ。ルカヴィ・シュミハザの死霊術によって、アンデッドモンスター「不浄のユンブ」として…!

松野泰己!!!!!!!
おまえおまえおまえ!!!!!!!!
なんてことを…なんてことをォォォォォ!!!!
おれが夢想した幻覚を、粉微塵に打ち砕いて!!!!!満足か?????!!!!!ありがとうございます!!!!!!!!!!

シュミハザとの戦いの最中、突然背後からユンブが「コロスコロスコロス!!!」と叫びながら襲いかかってくるのだ。おれはこの時思い知った。どんな相手も、殺した後は絶対に焼き殺さねばならぬと。そしてこの戦いでもユンブはあくまでシュミハザの攻撃手段のひとつであり、差したる苦労もなく撃退することが出来る。撃退した時、こんなセリフを吐きながら消えていくのだ。

不浄のユンブ:「ここは…一体?嗚呼…皆…どこ…」

正気を!!!!!取り戻させるな!!!!!!!おい!!!!!!!松野!!!!!!!!

更に補足すると、ファイナルファンタジー14は「人は死ねばやがて魂は星の海へ還る」「星の海へ還れず、現世に留まっているものが死霊」「人は肉体、記憶、魂で構成されている」という世界設定があり、これらを踏まえると「呼び出されたユンブには明確にヒカセンへの恨みの記憶がある」「つまりガワだけでなく本人の魂が使われている可能性が高い」「星の海に還った存在は生まれ変わるまで戻ってくることはまずない」ため、「ユンブは殺されてから未だに仲間の元に辿り着けておらず、シュミハザが召喚されるたび、ついでのように呼び出されては、一瞬でズタズタに切り裂かれてまた闇に還る」サイクルに陥っている可能性が高いのである!!!!!!おい!!!!!!!あんまりだろ!!!!!!あんまりだろうが!!!!!

たしかにユンブは戦場に出るべきではなかったどうしようもないやつだが、ここまでされる謂れはないだろうが!!!!!!!!!なんでだよ!!!!!!!なんでだよ松野泰己!!!!!!!!!!!でも最高の味です!!!!!!!ありがとうございます!!!!!!!!!

それでも…それでもおれはユンブをどうにか救いたく、また勝手に幻覚をアウトプットした。おれのヒカセン「ソフィア」はスーパーヒーローなので、ユンブの魂も救ってくれたはずなのだ。おれの生み出したソフィアならやってくれるはずなんだ。

とにかくだ。おれはセイブザクイーンのメインでもなんでもないキャラクターだけで致命傷を負ってしまった。このほかにもたくさんの感情をぶつけられ、おれはもうおしまいだ。ほとんどのやつらがユンブのように救われない結末を辿ったセイブザクイーンは本当に地獄であり、最高であった。スーパーヒーローであるはずのうちの「ソフィア」ですら、助けることは叶わなかったのだ。

それでも、それでも構わないと思う。

全てを見届けろ

なぜ自分サイコーが普通であるMMOで、こんなにも部外者で無力なシナリオがあるのか。おそらくそれは松野からのメッセージなのだ。この戦場で散っていったやつらを全て見届けたのはプレイヤーたるおまえしかいない。おまえの役目は、ずっとそれを覚えていることだよ、と。本当にありがとう松野泰己。あまりにセイブザクイーンが良かったので、おれはついにFFTに手を出した。そう、ここまで松野泰己松野泰己と言っておいて、未履修だったのだ。すまない。だが、おれはもう逃げない。セイブザクイーン同様、獅子戦争も見届けてみせる。

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おれからは以上だ。それでは、また、いずれ…。

未来へ

追加エピソード(6/28夜)

フットワーク!!!!!!!!!!!!!


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