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DX推進とAI活用の関係、AXについて情シスが整理しておきたいこと

多くの企業が「DX推進」を掲げて取り組んでいます。そしてDX化を加速すると言われているのがAIの活用です。今回は、DXを進めるにあたり、AIがどのように関与していくのか、その関係を整理していきます。
なお、このnoteは主に中堅・中小規模の企業の新任情シスや兼任情シス向けの内容です。


1.今、話題のAIはDXとどう関わってくるのか?

生成AIに注目が集まる中、AIを様々な業務に活用する取り組みが広がっています。その中でも、多くの企業の重要な取り組みであるDX推進にもAIは大きく関与することになります。

DXにAIがどのように関与するかを考えるためにも、まずは「デジタル活用」の4つの段階について整理していきましょう(※)。

 ①デジタル化が全く未着手

アナログ業務が中心の状態。「紙」や「電話」などが中心でデジタル化が進んでいない状況を指します。例えば、受発注をFAXや電話で受けていたり、勤怠管理や承認申請業務に押印が必要な状態です。

②デジタイゼーション(digitization)

アナログ業務の一部を、デジタルツールを利用した業務に移行している段階です。例えば、従来FAXと電話だった受発注を、電子メールに切り替えるというような状態です。 デジタル化の初期段階と言えます。

③デジタライゼーション(digitalization)

これまでの業務プロセスなどのデジタル化を進めることで、さらなるコスト削減や業務改善を実現します。例えば、在庫情報システムにより、在庫量・発注量が管理されているような状態です。 デジタル化がさらに進んだ段階です。

④DX(デジタルトランスフォーメーション:digital transformation)

新たな価値を創出する段階。デジタル化が進み、ビジネスモデル変革や競争力強化、データ活用による販路拡大や新商品開発を実施するなど、企業や組織変革を通じた成長が実現している状況です。

このような段階でDXへの取り組みは進められますが、AI は様々な業務や業務プロセスの デジタル化を効率的に進めたり、デジタルデータの分析や抽出などを効果的に行ったりすることが期待されています。では、どのようにAIがDXに関与していくのか、その例をもう少し詳しく見ていきましょう。

※参考:経済産業省「DX支援ガイダンス:デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ」   

2. AIの活用でデジタル化は加速する

デジタル活用段階の初期では、アナログからデジタルデータへの変換が必要になりますが、この時にどのようにAIが活用されるのか、いくつか例を挙げます。 

(1)紙文書のデジタル化

上記の例では、FAXからメールへの転換を挙げました。ここをもう少し詳しく見ると、紙文書をスキャンしてメールに添付して送信するというケースが考えられます。この時、紙文書を画像データにしていますが、一歩進んで、スキャンした画像をOCR技術を利用することでテキストデータ化できますが、AIを活用することで高精細な判読や、必要な項目を抽出するといったことが可能になります。また、テキスト情報を持つファイルとして保存することで、検索性も向上するのみならず、AIによる活用にもつながります。

 (2)音声情報のテキスト化

生成AIの活用で議事録を作成する企業が増えています。これは、会議の音声情報をテキストデータ化することだけではなく、話者と発言内容を整理することや、会議の要約なども行うことが可能です。

ほかにも、コールセンターなど顧客サービスの際に音声をテキスト化することで、対話記録を保存したり顧客管理に役立てることもできます。

(3)画像データのデジタル化

製造業での品質管理の分野では、製品の撮影データをデジタル化することで、例えばベテランなどが場所を問わずに確認することができるようになりましたが、さらに画像をAIが解析することで異常検出の効率化につなげることができます。ほかにも、医療分野、橋梁などインフラ点検でもAIの活躍は進められています。

ここで挙げた例は一部ですが、デジタル化を進める際にAIを活用することで、より高い価値が得られることがわかります。

 3. DXからAIトランスフォーメーション(AX)へ

DX活用の初期におけるAI活用の例について取り上げましたが、デジタル化が進むにつれてさらに高度な活用も可能となるでしょう。ある商社を例に考えてみましょう。

●ある商社の問い合わせ改善事例
ある商社では、取り扱う商材ごとに事業部が分かれていて、問い合わせ記録もバラバラに管理されていました。これを一元管理する方法はないか、取り組みを開始しました。

<解決策A:AIを使わない従来型>
(1)商材ごとの問い合わせ記録を集約するように部門ごとに通達
(2)クラウド型のツールを駆使して情報集約
(3)問い合わせ項目の分類、入力しやすさ、操作性向上の取り組み
(4)UI改善に難航、例外処理が発生
 ※改めてマスター化からやり直し、取り組み直しが発生することも…
 
<解決策B:AIを活用>
(1)初期問い合わせ対応はAIの合成音声で
(2)対話は生成AIで行い、会話内容はAIの音声認識でテキスト化し記録
(3)商材ごとに内容を分析、
    応答品質や感情表現はAIの学習や進歩により向上
(4)問い合わせ品質向上による顧客満足度向上、
    問い合わせのレポート化により商品ごとの改善企画へ

 このようにAIにより強力にDXを推進することは、AIトランスフォーメーション(AI Transformation:AX)とも呼ばれ、「これまでの制約や概念を打ち破る」ようなDX推進につながることが期待されています。多くの企業では業務単位で少しずつデジタル化を進めていくことと思われますが、まずはAIを積極的に活用することも検討してみてはいかがでしょうか。

 おわりに

今回は、DXとAIの関係と、AX(AIトランスフォーメーション)について取り上げました。AIを活用することが、DXを推進する企業にとって大きなプラスになることがわかったのではないでしょうか。今後の自社のDX推進の取り組みにぜひ、AIがどのように活用できるのかを考えて取り入れてみてはいかがでしょうか。

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