回想録 17才そしてその日はついに来た
17才
母はわたしへの嫌悪を隠さなかった。
普通に社会に出られてからでは遅いのだ。そしたら生きてしまうだろうから。
タイムリミットは迫っている。
もちろんわかっているから、だ。
ぜんぶわかってやっている。
だから畳み掛けてくる。
家の中でわたしをみると、まるでバケモノにでも会ったみたいに、比喩ではなくて叫んで逃げた。
ご飯はもちろん与えなかった。
家事する水も使わせなかった。
そしてその日はついに来た。
「わたしとこの子、どっちを取るの?」と母が父に迫った日。
、、、困るんだけどな本当に。高校3年の夏なんだけどな、進学希望。暮らしにハンデがありすぎる。
せめて普通に卒業したい。
ここまでされたらどう出来る?どうやって生き延びられる?
こんなにもひっそりと
息を殺して存在してもゆるされないの
わたしが無言で伸ばした手を、父は持ってはくれなかった。
あ、終わりだ。
このとき心はパリンと割れた。心って割れるんだ、と思った。それでしかない音がした。
ごめんなさい
ありがとう
ゆるしてください
あいしています
いくらいってもいいたりないよ。
もうだめだね。もう限界。引き延ばすことはできないみたい。
あともう少しだけいたかった。
ただ普通に暮らしたかった。
リフレイン
これもやはり8月だった。
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