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「#わたしのマンガを見て」応募作品への編集部からの講評を発表します!

2月6日〜3月18日の約1ヶ月半にわたって開催した投稿企画「# わたしのマンガを見て 」。期間中には合計3,020件もの作品を投稿いただきました。ありがとうございました。

マンガ雑誌「週刊少年マガジン」「別冊少年マガジン」、マンガアプリの「少年ジャンプ+」「Palcy」「マガジンポケット」「マンガMee」、Webtoonスタジオの「STUDIO ZOON」各編集部が、それぞれ将来性を感じた作品に講評を寄せてくれましたので、ご紹介します!


作品の紹介と編集部の講評

光進堂メランコリー① / 美代マチ子

少年ジャンプ+編集部

舞台が閉店間際の書店という着眼点が非常に面白かったです。地元書店の温かい雰囲気やそこがやむを得ず店を畳んでしまう切なさがひしひしと伝わりました。またそちらでアルバイトとして働く主人公の考えや感情、行動もリアルで、生々しさが上手く描けておりました。ご自身の体験を漫画という形で表現できる部分が強みだと思いますので、次回作も期待しています。 


STUDIO ZOON編集部

書店で働く人々の感情と出来事のディテールが積み重ねられていて、面白く読みました。このディテールを描く力は綿密な取材をやるタイプの作品で、より花ひらくと思います。何かの業界とそこに生きる人々を描いた作品を読んでみたいと思いました。


Palcy編集部

気が付いたら近くにあったもの、空気のように見守ってくれた存在。そんな当たり前だったものへの喪失を、取りこぼさないよう大事に大事に描いたのが伝わる作品でした。育った町の忘れたくない記憶、私もあるなぁとつい思いを馳せてしまいました。丸くてすべすべな線が美しくてとても好きです!連載も拝見させていただきます^^


政とイチ 第七巻 ー妊娠編ー / 森川響喜

マンガMee編集部

現代ではない時代を扱う作品は、生活の詳細や背景資料、服装に至るまで、たくさんの資料が必要で大変に気力がいるものかと思いますが、この作品はそのすべてに向き合い、しっかりと掘り下げて描いていらっしゃいますね。その真摯な姿勢がキャラクターたちが懸命に生きている輝きを伝える後押しになり、作品の厚み、読み応えにつながっているなと感じました。思わず他の話数も拝読してしまいました。続きも楽しみです。


Vitamin 前 / sassa

少年ジャンプ+編集部

2人の軽妙な掛け合いが魅力的な作品でした。絵と作品全体の雰囲気が合っているところも良かったです。1ページあたりのコマ数・文字数が多く感じることがあったので、少し整理できるとより読みやすくなるかと思いました。作品全体の展開は丁寧で読後に爽快感がある作品でした。次回作も楽しみにしております。 


Palcy編集部

ストーリー、セリフ回し、演出など、すべてにおいてセンスを感じる素晴らしい作品でした。まるで短編映画を見たような気分です。全体に漂うそこはかとない色気と、軽妙洒脱なキャラクターたち。匂いまで感じさせる背景描写も見事です。願わくば、この二人が日本各地を旅するロードムービー的漫画が読みたいです!


いとこの良太くん / あまいろ/漫画家

週刊少年マガジン編集部

激しく動揺しました。女子高生の移り気な心が恐ろしく、やるせなく、それでいて瑞々しく描かれており、読者の心を強く動かすことが漫画の本領だと改めて気づかされました。狙いもハッキリしていて短いページ数でよくまとまっているようには思いますが、強いて言えば主人公のキャラクターとしての個性は表現しきれていなかったように感じましたので、もう少し彼女の価値観が見えるようなシーンを読んでみたかったです。


気分で髪色が変わる女の子の話(1,2話まとめ) / あららぎ菜名

STUDIO ZOON編集部

虹見さんが可愛かったです。絵柄も可愛らしく読みやすく好感度の高い作品と思いました。欲を言うなら、感情が髪の色でわかるというわかりやすい設定だからこそ、わかりづらい、複雑な感情を描いてもらえるとより良かったかな、と思いました。


#わたしのマンガを見て応募作品 / 青神香月

Palcy編集部

読者に伝えたいこと・読んでもらいたい世界観が、このページ数の中にきちんとまとまっているのが好印象でした。ヒロインが歌声を披露するシーン、とても素敵です!ラストのもどかしい距離感にもきゅんとしました。せっかく恋のときめきを描かれているので、もう少し大人っぽく繊細な絵柄になるよう研究されるとより良いと思います。今の読者がどんなキャラの造形を求めているか、人気作品から傾向を掴んで、ぜひ試行錯誤してみてください!


『天狗VSタイフーン』全編 / 粉骨堂(ふんこつどう)

STUDIO ZOON編集部

天狗、めっちゃカッコいいっすね!渋い。出てくる人々がみんな自然で地に足がついていて、全てのキャラクターに非常に好感が持てました。話もきっちり構成されていて巧みです。


短編漫画作品「もがり浜」 / 斧沢龍

少年ジャンプ+編集部

丁寧に描き込まれた画面と苦しそうなキャラの表情が印象的で、惹き込まれる作品でした。オチも切なくて良かったのですが、ただ「ここには何もなかった」という締め方がやや言葉足らずで、読者に解釈を委ねすぎているようにも感じられました。 


[漫画&ブログ] オッサン(46歳)の気づき 第35話 ~持ち込みに気づいた!~ / 杉村

STUDIO ZOON編集部

一見淡々としながらもしっかり重要な感情を拾って表現できていて、引き込まれて読むことができました。シンプルな絵をいろんな角度から描けていて本質的に絵が上手だと思います。


【漫画】魔女狩りで生計を立てる双子がお菓子の魔女に出会う話 / 雄鹿

Palcy編集部

キャラクターたちを「可愛く描いてあげるぞ!」という気合を原稿からひしひしと感じました。実際メインキャラ3人とも、どの表情も美形で目の保養でした^^コスチュームのデザインも素敵です!全体的にトーンの使い方を工夫してみると、さらに完成度が高まると思います。またどちらかと言えば少女漫画タッチの絵柄に対して、主線が太めに感じたので、そのあたりも研究してみてもらえたら嬉しいです。


創作漫画「永友(エターナル・フレンドシップ)」 / 猫野サラ

少年ジャンプ+編集部

物語冒頭に紡がれていた少しシュールな会話がとても記憶に残りました。また後半では序盤の少し柔和な雰囲気とは打って変わり、「愛」をテーマとした重厚なドラマも演出できていたと思います。一方で後半は少しテーマに寄りすぎた印象で、展開が静かに感じました。起承転結の「転」の部分を一番盛り上がる形にするため、今後は動きのある展開を後半に持ってこれるように意識してみてください。 


【マンガ】異能バトルはゾンビパニックのなかで【第1話】 / 白零

週刊少年マガジン編集部

異能力のアイデアが面白く、「どんな方法で勝つか」というバトル漫画の基本に向き合った良作だと感じました。二人のキャラの立て方もよく、作者さんの少年漫画への理解の深さを感じます。惜しいなと思った点は、「二人の友情の話に帰結しきれなかった」ところです。第1話ということなので今後の構想も様々あるとは存じますが、出来事上のプロットと二人の関係値のグラフが重なっていくと、よりエンタメ度が増して感動が大きくなるのではないかと思います。


サクラのトキに / さてよ

マンガMee編集部

続きがとても気になります!年の離れた不思議な2人ですが、それぞれ抱えている課題が今後どのように絡まっていくのか、困難が待ち構えていそうでドキドキする反面、この2人が一緒なら明るい未来が待っているのでは?と期待できる雰囲気が作品から漂っており、構成力含めとても情報の見せ方と期待値コントロールが上手にできている1話目でした。ぜひ、続きを描いてほしいです。


25の時に乳がん検診を受けたレポ漫画 / 糸虫(いとむし)

マンガMee編集部

まずは検診無事でなによりでした…!検査の丁寧な描写、地方の乳がん検査の現状など、読みやすくちりばめられている情報が勉強になることはもちろんですが、なによりも医療関係者にも関わらず無神経で強烈な先輩と上司のエピソードに腹が立つと同時に、引き込まれてしまいました。何か自分に事件が起きた時に、周りの人の反応など新しく見えてくることがあるかと思いますが、それをしっかりと描けているエッセイマンガで読み応えがありました。


「引き出しにしまった話」(注 ・微BL) / 笑い猫(細村 誠)

マンガMee編集部

シーンとキャラクターの表情にしっかりと想いがこもっていますね。無駄な説明や、コマがないので読みやすいのはもちろんですが、テーマとキャラクターの想いがまっすぐに伝わってくるので引き込まれました。主人公が毎回引き出しに大事そうに返事を出せない手紙をしまい、最後にそれがあふれ出してくる演出も見事です。返事は求めないけれども、手紙を出し続けた棗くんと、手紙を受け取り続けてきた主人に想いを馳せ、余韻に浸れるラストは切なくも優しい気持ちになりました。


漫画【私の思い入れグルメ#4】彼の朝ごはん。からのカルボナーラ / 峯鳥子のエッセイ漫画

マンガMee編集部

この食事のどこがスペシャルなのかを、献立ごとにしっかりと表現できていて読んでいるこちらまでおなかが空いてきます。また、温かく優しい2人の関係に大変癒されました。他の話も思わず読ませていただきました。菜の花の回も素敵ですね。全体的にグレーっぽい画面に真っ黒な文字を載せているため、絵の印象がぼやけてしまい、下絵のように感じるのがもったいないなと感じました。デッサンなど基本的な力はしっかりあるので、もう少しコントラストや描線の濃さの研究をしてみるともっと、絵でも食事を楽しませられる画面にレベルアップしそうです!


轍01 / サウス

週刊少年マガジン編集部

アウトローの哀愁がたっぷり入った力作でした。男のかっこよさには色々ありますが、一つ一つのシーンに熱がこもっていて、作者さんの「好き」が詰まっているような感覚を覚えました。ただ、その「好き」が盛り上がってしまってか、お話の主軸を判別しにくい点が気になりました。ジンと二階堂の、恋人でも家族でも友人でもない二人だけの特別な関係性を粒立てる意識を持つと、さらに熱く切ない作品になったのではないかと思います。


創作百合漫画『きみとゆめのなか』 / 栗藻

Palcy編集部

友達を意識してしまう主人公の心情が丁寧に描かれており、甘酸っぱくて思わずきゅんとするお話でした。そして相手の女の子・さとちゃんがすっごく可愛い! いつも眠たげで肩の力が抜けていて、どこか猫っぽい自由な雰囲気が非常に魅力的なキャラでした。欲を言えば、夢で2人がどんな素敵なキスをしたのかも知りたかったです。これからもぜひ、可愛い女の子たちのきらきらした恋を描いてください!


タイトル「転送」 / ルシ

少年ジャンプ+編集部

特徴的でコミカルなキャラクターデザインと、躍動感のある構図で楽しく読めました。能力を上手く生かしつつ行われるバトルシーンも、よく考えられていて読み応えのあるものでした。2人がどのような背景で戦っているのか、ドラマの演出と併せて演出できると、物語の深みが増してより面白くなるかと思います。 


漫画【宇宙にてやどかり】第一話 / 片々原 たを

週刊少年マガジン編集部

綺麗だけど親近感の湧く、魅力的な絵柄に惹かれました。絶望の中でも他者との出会いから主人公が希望を見出す様はとても力強く、勇気が湧いてくるようなシーンでした。「大事な設定説明部分にテキストを用いている」点は少し惜しいなと思いました。ファンタジー作品に読み手を深く没入させるには、ストレスをなるべく減らしてあげることが肝要です。作者さんの武器でもある「絵を用いて設定を伝える」アプローチを、ぜひ試してみてほしいです。


【ネーム】パンダと綴る日々 / 夏本

週刊少年マガジン編集部

力の抜けた二人のやりとりに癒されました。大人の男性×動物の組み合わせは人気ジャンルの一つですが、本作は「いや、まず編集者がバクなの!?」とツッコミたくなるような世界観の仕掛けも見られ、独特な緩い空気に読者を引き込まんとする新規性・企画性を感じました。知川先生の不健康さをもっとアピールできると、健康オタクパンダとのカップリングがより魅力的に映るのではないかと思います。

各編集部からの総評

週刊少年マガジン編集部(週刊少年マガジン、別冊少年マガジン、マガポケ)

ご投稿、誠にありがとうございました。普段の弊誌への投稿作では目にしないジャンルの作品も沢山拝見することができて、心から楽しませていただきました。少年漫画も大人向け漫画もエッセイ漫画も「自分の中にある感情を描く」という点は変わらないと思います。読者にそれらを上手く伝えるためにはテクニックは重要ですが、あまり手段に囚われ過ぎるのは、必ずしもいいことばかりではありません。初心を忘れず、楽しんで今後も創作を続けていただければ幸いです。


少年ジャンプ+編集部

読者に見せたいもの、伝えたいことがはっきりとしている作品が多かったように思います。自分の武器を理解した上で描いている作品もたくさんあって良かったです。演出、構図などにこだわりを持てると、より作品の魅力が伝わりやすくなると思います。自分にしか描けない作品を今後も作っていって欲しいです。


STUDIO ZOON編集部

たくさんの力作をご応募をいただき、誠にありがとうございました。バラエティに富んだ作品の数々を楽しく拝読させて頂いたのですが、逆にいうとバラエティがありすぎて的を絞れなかった、という面もありました。例えば少年マンガとして良い作品があったとして、その良さはエッセイコミック誌の編集者も理解できると思うのですが、自分達の編集部の領域とは別の作風の作品について語る言葉は、どうしても他人事になってしまいます。自分達は何者で、どういう作品を求めているか、どういうWEBTOONを作っていきたいか、ということを駆け出しの編集部だからこそ、もっと発信すべきだったと反省しました。今後、審査に参加させていただく際にはその点に力を入れていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。


Palcy編集部

「#わたしのマンガを見て」は今回初の試みということでしたが、ひとつのジャンルに括ることができないようなチャレンジングな作品も多く、拝見するのがとても楽しかったです!
これからも皆さまの豊富な人生経験や独創的な世界観をどんどん表現・発信していただき、一緒に漫画業界を盛り上げていけたら嬉しいです。
Palcyでは持ち込みも募集していますので、気になる方はぜひ気軽にご応募ください。
たくさんのご参加、本当にありがとうございました!!


マンガMee編集部

マンガMeeは少女・女性向けのアプリマンガ編集部なので、今回は特に女性の心に刺さりそうな作品を選んでコメントさせていただきましたが、ご自身の気持ちを深く掘り下げた自伝エッセイから、壮大なファンタジーまで情熱のこもった作品をたくさん拝見でき、大変に刺激を受けました。今は、マンガの描き方や発表の仕方も多岐にわたり、マンガMeeでも、マンガはもちろん、ネーム原作から、シナリオ、作画希望の方まで幅広く募集しておりますので、機会がございましたら是非お持ち込み、投稿お待ちしております!

noteでは、これからもクリエイターの創作を支援していきます

noteは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに掲げています。インターネットでの創作すべてを対象にした「創作大賞」をはじめ、これからも、あたらしいクリエイターの才能を発掘し、活躍を後押しする取り組みを積極的に行っていきます。

● #創作大賞2023 (2023年第2回開催)

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