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算数の思い出

算数は得意だった。5段階評価では概ね5だったと思う。なまじ自信があっただけに解けない問題に出くわすと悔しかった。勉強で悔し涙を流したことが人生で2回あって、そのどちらも算数・数学に関することだった。

1回目は小学生の時に問題文の意味がわからなくて泣いた。その日、先生に当てられる予定だった問題を登校前の朝のクソ忙しい時間に思い出して家族を巻き込んで大騒ぎした。前文をちゃんと読めばわかる問題だったのだろうが、時間に追われて視野が狭くなっていた。結局どうなったのかは覚えていない。

2回目は高校生の時で、17歳にもなって男泣きに泣いた。授業ではやらなかった数学的帰納法を家で勉強していて、まったく歯が立たず絶望した。

何が難しいって、日本語が難しい。まず、「帰納」がわからない。それを「数学的」と修飾されても困る。半世紀生きた今でもこれ以外の場所で使われているのを見たことがない。

を表すというが、がまったく頼りにならない状態でを会得しなければならない。これがまた難しい。理屈を理解している今ならあの説明で納得できるが、あの説明から自力で理屈を読み取るのは当時の僕には不可能だった。

日本語がいかに大切かということを算数は教えてくれた。