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取扱い注意

なりたい自分がいるからできない自分が生まれる。夢を追わずに生きる僕には基本的に「なりたい自分」はいないのだが、厄介なことに「できない自分」は競争によっても生まれてしまう。

悔しさは人を成長させる。

明確な勝負だけに限らず、勝手にライバル視して勝手に負けた気分になっていたものを含めると数えきれないくらい多くの敗北感を味わってきた。

その悔しさをバネにしたから今日の自分があるのは間違いない。現状には満足している。このように考えられるのも敗北を経験したおかげなのだろう。しかし、望んだ結果ではない。

悔しさは劇薬でもある。

処方には細心の注意が必要で、ひとつ間違えれば大惨事を引き起こす可能性がある。もし、できない自分を許せないまま、悔しさをずっと胸に抱えて生きることになったらと思うとゾッとする。おそらく闇落ちは不可避だろう。

僕は泣くほどの悔しさを感じる一方で、諦めるのもそこそこ早かった。できない自分を適当なところで認めることができたのだ。その辺のバランスがちょうど良くて、うまくやってこられたのだと思う。

運が良かったとしか言いようがない。